シンセサイザーの老舗メーカーArturiaが満を持してリリースした複合型ソフトシンセ「Pigments 2」。
このシンセを徹底的にレビューし、メリットやデメリット、他のシンセとの違いから、無料でお試しする方法や使い方などについてまとめてみました。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Pigments 2はどんなシンセ?何が良いの?
- Pigments 2を購入する前に注意しておきたいこととは?
Contents
Pigments 2とは?
「Pigments 2(ピグメンツ 2)」とは、フランスのArturia(アートリア)社が開発しているソフトシンセです。
VA(バーチャルアナログ)とウェーブテーブル、グラニュラーの3方式を搭載した、複合型のソフトシンセです。
モジュレーションなどが見た目に分かりやすいインターフェイスと、Arturiaが得意とするアナログエミュレーション技術によるフィルターが搭載されているのが最大の特徴です。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 21,457円 ※Plugin Boutique |
発売時期 | 2018年 |
音源方式 | 複合型(VA、ウェーブテーブル、グラニュラー) |
プリセット音色 | 1,000以上 |
オシレータ | 以下のENGINEが2セット Analog:3基。波形4。 Wavetable:120以上 Sample:300以上 |
フィルター | 搭載数:2 種類:9 |
エフェクト | 搭載数:2 種類:14 |
なお、「シンセの方式の違いって何?」という人は、以下の記事を参考にしてみてください。
Pigments 2を使うメリットは?
それでは、簡単な概要が分かったところで、Pigments 2の良い所について、もう少し詳しく説明していきます。
- インターフェイスが分かりやすい
- アナログとデジタルの良い所取りができる
- V Collectionのフィルターが使える
① インターフェイスが分かりやすい
Pigments 2を使ってみて、最初に良いなと思ったのが、GUIがとても見やすいことです。
とくに、モジュレーションのアサイン状態がとても明確で、リアルタイムに動くGUIによって、どのパラメータにどれくらいモジュレーションが適用されているのかが、他のシンセより分かりやすいです。
また、モジュレーションソースの一覧メニューから、アサイン内容を確認できるのも、とても素敵です。
② アナログとデジタルの良い所取りができる
Arturiaのソフトシンセは、アナログサウンドの再現性の高さに定評があります。
Pigments 2は、そのVA(バーチャルアナログ)サウンドに、さらにウェーブテーブル、グラニュラーの2方式を組み合わせた複合型シンセとなっています。
そのため、これらの組み合わせることで、幅広い音作りが可能になります。
③ V Collectionのフィルターが使える
Pigments 2に搭載されているフィルターは、名機と呼ばれるOberheimのSEMやMatrix12などのフィルターをエミュレートしたものです。
これらは、ArturiaのV Collectionに個別のプラグインとして搭載されていますが、Pigments 2では、これらを含めた全部で9種類のフィルターを使うことができます。
Pigments 2を使う上での注意点は?
次に、Pigments 2を使ってみて、ここは購入する前に知っておいた方が良いと思ったポイントを紹介します。
- プリセット音色は落ち着いた雰囲気のものが多い
- 使い方によっては負荷が重くなる
① プリセット音色は落ち着いた雰囲気のものが多い
Pigments 2には、ファクトリープリセット音色が1,000種類入っていますが、全体的に大人しい雰囲気のものが多い印象を受けました。
モーフィングをかけた激しいベースサウンドや、EDMなどで耳にするような、いわゆる「ザ・シンセ」という感じの派手な音色は少ないです。
そのため、人によっては、ちょっと肩透かしを食らった感じになるかもしれません。
② 使い方によっては負荷が重くなる
Pigments 2の負荷がどれくらいなのか、実際に検証してみました。
結果は、以下の通りです。
オシレーター | 平均負荷 | 重いプリセット |
---|---|---|
Analogのみ | 5%前後 | 10%くらい |
Wavetable、Sample | 5~10%くらい | 20%超える |
Analogだけを使っている場合は、気になるほど負荷はありませんでしたが、WavetableやSampleを使うと重くなりやすい傾向がありました。
また、単音よりも和音など複数音を同時に鳴らすと、負荷が高くなることも分かりました。
そのため、低スペックなパソコンで使う場合は、トラックフリーズを上手く使ってやる必要がありそうです。
Pigments 2の評判は?
Pigments 2を実際に使っている人の評判がどんな感じなのか、Twitterから意見を探してみました。
Pigments 2の無料お試しは?
Pigments 2は、無料お試しキャンペーンを行っており、2020年7月2日までは機能制限無しで利用することができます。
ただし、7月以降もおそらく機能制限されたデモ版は準備されると思いますので、そのタイミングでまた記事を更新したいと思います。
- Arturiaのユーザー登録
- Arturia Software Center (ASC)の導入
- DAW上でプラグインを起動
① Arturiaのユーザー登録
まず、ArturiaのPigments2のページにアクセスします。
少し画面スクロールしたところにある、[Free Trial]をクリックします。
Arturiaのユーザーアカウントをすでにお持ちの人は、そのままユーザー名とパスワードを入力してログインします。
そうでない人は、[Create an account]をクリックして、登録情報を入力したら[Register]をクリックします。
入力内容に誤りがなければ、以下のような画面が表示されますので、登録したメールアドレスに届いたメールを確認します。
メール本文にあるURLをクリックします。
※ちなみにUsername(メールアドレス)も記載されています。
アクセスしたページにある[Get Pigments]をクリックします。
② Arturia Software Center (ASC)の導入
Pigments 2をダウンロードするためには、まず、Arturia Software Center (ASC)というアプリを導入する必要があります。
ダウンロードした.exeファイルを実行してインストールします。
インストールしたASCを起動して、先ほど作成したアカウントでログインします。
基本的には、[Next]をクリックして次に進めば良いですが、プラグインフォルダのディレクトリだけ、自分のDAWと合っているか確認しましょう。
すると、[My Products]にインストール可能なプラグインの一覧が表示されています。
Pigmentsを選んで[Activate]をクリックすると、アクティベーションが完了しますので、続いて[Install]をクリックします。
③ DAW上でプラグインを起動
Pigments 2のインストールが完了したら、お使いのDAWを起動して、プラグインを起動します。
このとき、プラグインフォルダにPigments 2が表示されていなかったり、上手く起動できない場合は、以下の記事を参考にして設定を見直してみてください。
Pigments 2の使い方は?
それでは、Pigmentsの使い方について、機能を紹介する程度で、なるべく簡単に説明していきます。
より詳細を知りたい人は、Pigmentsの公式マニュアル(ver1)を参照ください。
- プリセットの選択
- 画面サイズの変更
- オシレーターの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- モジュレーションの使い方
① プリセットの選択
プリセットを選択するには、左上にあるPigmentsのロゴの横のマークをクリックします。
プリセットブラウザでは、キーワードで検索したり、タイプ・スタイルでソートすることができます。
また、画面中央上部にあるプリセット名や、その横の[◀▶]をクリックして変更することもできます。
② 画面サイズの変更
画面サイズは、左上のPIGMENTSのロゴマークをクリックして、[Resize Window]から変更できます。
ちなみに、2020年5月時点では、Pigments 2のスキンはデフォルトの1種類のみでした。
③ オシレーターの使い方
複合型のシンセであるPigments 2は、オシレーターとして以下の3方式を搭載しています。
- Analog: VA(バーチャルアナログ)
- Wavetable: ウェーブテーブル
- Sample: グラニュラー
Analog
Analogでは、オシレータを3基搭載しており、4種類の波形から選択できます。
さらにこのセット(ENGINE)が2つあるので、3基×2=計6基になります。
Wavetable
Wavetableでは、120種類以上のテーブル波形から好きなものを選択することができます。
Sample
Sampleでは、300種類以上のサンプル波形から選べます。ちなみに、このサンプル波形のクオリティがとても高いです。
また、外部のサンプルを取り込んで使うことも可能です。
④ フィルターの使い方
Pigmentsのフィルターは2基搭載されており、それぞれ9種類のタイプから選択することができます。
- Multi Mode
- Lowpass Gate
- Surgeon
- SEM
- Matrix12
- Mini
- Comb
- Phaser
- Formant
SEMとかMatrix12などは、名機と呼ばれるフィルターをエミュレートしたものです。
Comb(コム)フィルターがあるのも特徴ですね。
⑤ エフェクトの使い方
Pigments 2には、3基のエフェクトスロットが搭載されており、それぞれ14種類から選んで使うことができます。
- Multi filter
- Parametric EQ
- Compresser
- Distortion
- Overdrive
- Wavefolder
- Bitcrusher
- Chorus
- Flanger
- Phaser
- Stereo Pan
- Delay
- Tape Echo
- Reverb
歪み系が、Distortionの他にOverdriveもあるのが珍しいですね。
⑥ モジュレーションの使い方
Pigments 2のモジュレーションは、見た目にとても分かりやすいのが特徴です。
LFO
LFOは、3基搭載されています。
エンベロープ
エンベロープも3基搭載されています。
モジュレーションのアサイン方法
モジュレーションをアサインするには、まず画面中央のモジュレーションソースの一覧から、アサインしたいソースを選んでクリックします。
アサイン元となるモジュレーションソース(LFO、エンベロープ等)のパラメータは、先ほど説明した画面下部のところで設定します。
次に、モジュレーションを適用したいパラメータにカーソルを合わせると、[↕]マークが表示されるので、モジュレーションを適用する量を設定します。
すると、画面中央のエリアに、アサインした内容が表示されます。
全くの初心者の人は、何のことだかサッパリかもしれませんが、ちょっとだけシンセの使い方が分かってくると、「確かに分かりやすい!」と納得できると思います。
まとめ
ArturiaのPigments 2について、このシンセを使うメリットから注意点まで、詳しくまとめてみました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Pigments 2は、VA(バーチャルアナログ)とウェーブテーブル、グラニュラーが使える複合型のシンセ。
- 動きのあるインターフェイスで視覚的に分かりやすく、音作りがしやすい。
- V Collectionで採用されている、実機をエミュレートしたフィルターを搭載している。
- ファクトリープリセット音色は好みが分かれる。
Pigments 2は、Arturiaのアナログモデリング技術と、流行りのウェーブテーブル方式などを組み合わせた、同社の決定版ともいえるソフトシンセです。
UIも今どきな感じで分かりやすいので、これからシンセを使い始める最初の1台としても、アリだと思います。
この記事が、これから購入を検討される人の参考になれば幸いです。
なお、他にもおすすめが知りたい人は、以下の記事をご覧になってみてください。