これからiPad/iPhoneでDTMを始めようとされている方へ。
音楽制作ができるアプリは色々な種類があって、どれを選んだら良いのか分からないですよね。
また、買った後に「思ってたのと違う!」と後悔するのも避けたいですよね。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のあるトラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、あなたにピッタリのDAWアプリ選びをサポートします。
- DAWアプリとは?パソコン版DAWと何が違う?
- iPad/iPhone対応のDAWアプリのおすすめは?
Contents
DAWアプリとは?
「DAWアプリ」とは、iPadやiPhoneなどのモバイル端末で音楽制作(DTM)ができるアプリのことです。
デスクトップで作業を行うパソコン版のDAWとは違い、いつでもどこでも好きなときに曲作りができるのが、DAWアプリの大きなメリットです。
他にも、DAWアプリのメリットをまとめると、以下の通りです。
- いつでもどこでも好きなときに作業できる
- 初期費用が安い
- 初心者でも気軽に始めやすい
もし今、パソコンかiPad/iPhoneのどちらで音楽制作を始めようか悩まれている人は、以下の記事も参考にしてみてください。
パソコンとモバイルで行うDTMそれぞれのメリット・デメリットを詳しくまとめています。
iPad/iPhone対応DAWアプリの選び方は?
という人のために、選定ガイドを作りました。
こちらを順番に読んでいくだけで、自分にあったDAWアプリの候補を絞り込めるようになっています。
- 必要な機能は揃っている?
- データの連携は?
- 付属プラグインは?
- 動作が軽いのは?
① 必要な機能は揃っている?
iPad/iPhone用のDAWアプリは、とても魅力的ですが、まだ発展途上なこともあり、搭載されている機能の部分でパソコン版DAWに劣りがちです。
そもそも、一般的なDAWのほとんどは、最低限、以下の3つの機能を搭載しています。
- レコーディング・加工・編集機能
- MIDIシーケンス(打ち込み)機能
- ミックス・マスタリング機能
しかし、iPad/iPhone用のDAWアプリの場合、これらの機能のうち、部分的にしか対応してないアプリも多くあります。
そのため、自分が必要な機能が搭載されているDAWアプリなのかをちゃんと確認しましょう。
② データの連携は?
すでにパソコンでDTMをしている人は、iPad/iPhone用のDAWアプリを2台目のサブDAWとして使うパターンも多いと思います。
その場合、パソコン版DAWとiPad/iPhone用DAWで、データのやりとりが簡単にできると、とても便利ですよね。
DAWアプリのデータ共有は、主に以下のような種類があります。
- オンラインストレージ共有
- プロジェクトファイル共有
- Ableton Link
オンラインストレージ共有
多くのDAWアプリは、DropboxやiCloudなどのオンラインストレージ経由で、他のデバイスと音源データ(Wav、mp3など)を共有できるようになっています。
プロジェクトファイル共有
同じメーカーが開発しているDAWどうしの場合、プロジェクトファイル(DAWの専用データ)をそのまま共有することもできます。
「Cubase(パソコン版)」では、「Cubasis(iPad/iPhone版)」で作成したプロジェクトファイルを開くことができます(2020年4月時点)。
Ableton Link
Ableton Linkとは、Ableton liveとテンポ同期してMIDIシーケンスを再生することができる連携機能です。
Ableton Linkに対応したDAWアプリを楽器として使い、ableton liveと連携させてライブやジャムセッションをすることができます。
③ 付属プラグインは?
DAWで音楽制作をする場合、音作りに最も影響を及ぼすのが、プラグインのクオリティです。
そのため、iPad/iPhone対応のDAWアプリにおいても、以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 付属プラグインの数が多いもの
- 内部課金で追加できるプラグインがあるもの
- 外部プラグインが起動できるもの
当然、最初から付属されているプラグインの種類が多いに越したことはありませんよね。
また、アプリで内部課金をして追加できるプラグインに、たとえばWavesなどの魅力的なプラグインが揃っているかも見ておきたいです。
また、サードパーティ製の外部プラグインを読み込んで使えるDAWアプリを選んでおけば、可能性が大きく広がるので安心です。
④ 動作が軽いのは?
iPad/iPhone対応のDAWアプリを使った音楽制作にのめり込んでくると、気になり始めるのが、モバイルDAWの動作性能の限界です。
高性能なパソコンに比べると、スペックで劣るため、トラック数が増えてくると、再生が遅れたり、ブツブツと音が途切れたりすることがあります。
こればかりは仕方がないのですが、対策としては、以下があります。
- サイズ(容量)の軽いDAWアプリを選ぶ
- モバイル端末のスペックを上げる
- DAWアプリでの作業内容を減らす
サイズ(容量)の軽いDAWアプリは、機能や見た目が地味になりがちですが、その分動作は軽くなります。
また、iPad Proなどの高スペックなモバイル端末を使えば、容量のあるアプリでも、かなり快適に音楽制作ができます。
iPad/iPhone対応DAWアプリのおすすめは?
それでは、ここまでの情報を踏まえて、DTMについてそれなりの知識がある私が、皆さんの立場だったらどのアプリを選ぶか、
本当に使えると思うDAWアプリを、コスパ重視のランキング形式で紹介していきます。
- Cubasis 3
- Auria Pro
- KORG Gadget 2
- FL Studio Mobile 3
- Nano Studio 2
- MultiTrack DAW
1位 Cubasis 3
機能が充実したDAWアプリの大本命!
「Cubasis 3」は、オーディオインターフェイスやCubaseで有名なSteinberg(スタインバーグ)社が開発するiPad/iPhone対応のDAWアプリです。
Cubaseとプロジェクトファイルを共有(※1)したり、DropBoxやiCloud経由で作成した音源を他デバイスと共有することができ、外出先でサブDAWとして使うのに最適なアプリです。
機能としても、24bit/96kHzでのレコーディングや、外部のAUプラグインが使えるなど、DAWとして必要な機能を、一通り兼ね揃えています。
対応OS | iPad/iPhone |
---|---|
トラック数 | 無制限(センド8まで) |
サイズ(容量) | 1.2GB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング、MIDIシーケンス、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源3、エフェクト18 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | 起動可能(AU対応) |
価格 | 6,100円 |
※1 専用ソフト「Cubasis Project Importer」でファイル変換が必要です。
2位 Auria Pro
レコーディングに特化したDAWアプリのProTools的存在!
「Auria Pro」は、シカゴのWaveMachine Labs社が開発しているDAWアプリで、Cubasisと並んでDAWアプリの人気を分けています。
最大の特徴は、レコーディングスタジオでも良く見るビンテージサウンドで定評のあるPAPAudiowareのプラグインエフェクトが標準機能として装備されていることです。
また、24bit/96kHzで48トラックをレコーディングできるなど、パソコン版DAWにかなり近い高性能なDAWアプリに仕上がっています。
対応OS | iPad/iPhone |
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トラック数 | 無制限(センド6まで) |
サイズ(容量) | 1.1GB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング、MIDIシーケンス、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源3、エフェクト5 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | 起動可能(AU対応) |
価格 | 6,100円 |
3位 KORG Gadget 2
iPad/iPhoneでシンセを打ち込みするのに最適なアプリ!
「KORG Gadget 2」は、Monopolyなど数々の伝説的なシンセを開発してきたKORG(コルグ)社が開発しているDAWアプリです。
最大の特徴として、ソフト音源やエフェクトが約34種類付属しており、これだけで多彩な音作りが可能です。
残念ながら外部プラグインは使えませんが、BluetoothのMIDIキーボードが使えたり、パソコンやNintendo Switchでも使えるなど、誰でも楽しく音作りができるのでDTM初心者にもおすすめです。
対応OS | iPad/iPhone/Mac/Windows/Nintendo Switch |
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トラック数 | 無制限 |
サイズ(容量) | 1.9GB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング、MIDIシーケンス、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源20、エフェクト14 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | ×(本アプリをプラグインとして起動可能) |
価格 | iPad/iPhone版 4,900円 Nintendo Swith版 5,000円 |
4位 FL Studio Mobile 3
動作が軽くて価格も安いDAWアプリ!
「FL Studio Mobile 3」は、FL Studioを開発しているImage-LineのDAWアプリです。バージョン3から機能が大幅に変更になりました。
今回紹介するDAWアプリの中で唯一、Androidでも使えるマルチプラットフォーム対応のアプリです。また、アプリの動作が軽いのもメリットです。
画面操作が直感的で分かりやすく、値段も安いので、DTM初心者におすすめです。
対応OS | iPad/iPhone/Android/Windows |
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トラック数 | 無制限 |
サイズ(容量) | 272.2MB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング、MIDIシーケンス、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源2、エフェクト12 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | ×(本アプリをプラグインとして起動可能) |
価格 | iPad 1,720円 Windows 1,750円 |
5位 Nano Studio2
使いやすさはピカイチのDAWアプリ!
「Nano Studio 2」は、イギリスのBlip Interactive社が開発するDAWアプリです。
Nano Studio 1のときから、使いやすいと評価が高いです。また、付属しているシンセ「Obsidian」、サンプラー「Slate」のプリセットが豊富でイケています。
注意点として、レコーディングはできますが、オーディオトラック機能がないため、編集・加工ができません(近い将来、機能追加される予定とのこと)。
対応OS | iPad/iPhone |
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トラック数 | 無制限 |
サイズ(容量) | 267.1MB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング(オーディオトラックなし)、MIDIシーケンス、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源4、エフェクト11 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | 起動可能(AU対応) |
価格 | 2,440円 |
6位 MultiTrack DAW
24bit/96kHzレコーディングに対応した最安DAWアプリ!
「MultiTrack DAW」は、Harmonicdog社が開発するDAWアプリで、2019年にバージョン5がリリースされました。
24bit/96kHzの高音質でレコーディングができる最安のDAWアプリです。
MIDIトラック機能がないので、打ち込みはできないため、DAWというよりレコーディングメインのMTRとして使えるアプリを求めている人におすすめです。
対応OS | iPad/iPhone |
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トラック数 | 8トラック ※アプリ内課金で24まで追加可能 |
サイズ(容量) | 21.8MB |
保存できるプロジェクトファイル数 | 無制限 |
機能 | レコーディング、ミックス・マスタリング |
付属プラグイン | ソフト音源0、エフェクト6 ※アプリ内課金で追加可能 |
サードパーティ製プラグイン | 起動可能(AU対応) |
価格 | 1,220円 |
まとめ
iPad/iPhone対応のDAWアプリのおすすめを紹介しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- DAWアプリは初期費用が安く、場所を選ばないため、初心者にもおすすめ。
- 音源データやプロジェクトはクラウドで共有できる。
- 外部のプラグインを読み込めるものがおすすめ。
少し前までは、iPad/iPhoneで音楽制作なんて無理!というイメージでしたが、使えるDAWアプリがどんどん増えてきています(2020年4月時点)。
ぜひ、気に入ったものを選んでモバイルDTMを始めてみてください。