なんとなく納得のいくフレーズが出来上がってきて、曲らしくなってきたけど、「展開が上手くつくれない!」という人へ。
音楽制作において、曲の展開をどう構成するかはとても重要なポイントですよね。
そこで、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現状のトラックメイカーが、アレンジのやり方について、初心者向けに分かりやすく解説します。
- アレンジのやり方の手順は?
- どうすればアレンジができるようになる?
Contents
アレンジのやり方は?
楽曲を構成するための手順をまとめました。
- ジャンルを決める
- リファレンス曲を準備する
- 楽曲構成を知る
- 展開パターンを作る
ジャンルを決める
アレンジはこうすれば良い!という絶対の正解はありません。
というのも、音楽のジャンルによって、リズムやテンポが変わりますので、楽曲の展開や構成も変わってくるためです。
そのため、アレンジ(編曲)のやり方も変わります。
そこで、まずは自分が作りたい曲のイメージが、どんなジャンルになるのかを明確にしましょう。
「自分の好きな音楽のジャンルが分からない!」という人は、以下の記事で、音楽の代表的なジャンルを紹介していますので、チェックしてみてください。
リファレンス曲を準備
全く音楽を聴かずに曲を作れる人はいないです。
そのため、まずは自分が作りたい曲の完成イメージに近い、リファレンス曲を準備しましょう。
リファレンス曲とは、音楽制作する上で、お手本にする曲のことです。
「こんな曲が作りたい!」という曲を聴いて参考にするのは、自分のアイディアだけで1から作るよりも手っ取り早いですからね。
リファレンス曲をDAWに取り込んで、波形データを見るだけでも、曲の中のサビなどの、盛り上がっている部分がどこにあるのかが分かります。
多くのアーティストが、憧れのアーティストの曲をリファレンスにして、それをマネしながら曲作りを覚えています。
楽曲構成を知る
リファレンス曲を準備できたら、その曲の構成を研究していきましょう。
なお、皆さんがどんな曲をリファレンスに選んでいるのか分からないので、この記事では、代表的なジャンルについて、楽曲構成を紹介していきます。
- ポップス、ロックなどのバンドサウンド
- EDMなどのダンスミュージック
① ポップス、ロックなどのバンドサウンド
ポップスやロックなどのジャンルで良く使われている楽曲構成は、以下のようなパターンです。
- AメローBメローサビ
皆さんもこの展開パターンは良くご存じだと思います。
シンプルな構成ですが、楽曲のストーリー展開が分かりやすいため、定番となっています。
ポップスやロックなどのバンドサウンドでは、コード進行を変えることによって曲の展開を作っていきます。
そのため、AメロとBメロではコード進行を変えます。
サビは一番盛り上げたいので、キーを上げたり、転調したりすることで雰囲気をガラッと変えるパターンが多いです。
例えば、「米津玄師 – Lemon」の楽曲構成を分析してみましょう。
A’メローAメローBメローサビーAメローBメローサビーCメローC’メローサビ
という感じになります。
この曲はイントロがなくてA’メロから始まっていたり、Cメロが登場したりしますが、おおまかな流れとしてはAメローBメローサビであることが分かります。
② EDMなどのダンスミュージック
EDMなどのダンスミュージックで良く使われている楽曲構成は、以下のようなパターンです。
- ブレイクダウンービルドアップードロップ
ポップスやロックと異なり、ダンスミュージックの場合は、ドラムやパーカッションなどのリズム体が重視されたパート構成になっています。
そのため、コード進行と合わせて、リズム体の重ね方で曲の展開を作っていきます。
ただし、サビに向かって盛り上がっていく流れをつくるという点では、やり方は同じです。
曲の序盤である、ブレイクダウンはキックをメインとして、音数を少なめにして、ビルドアップの部分でシンセやハイハット、スネアなどの、派手めな音を足していきます。
ドロップはいわゆるサビの部分ですが、一気に音数を増やして盛り上がりをつくるパターンと、逆に一気に音数を減らして、リズム体だけにするというパターンがあります。
と思われるかもしれませんが、ダンスミュージックでは、ドラムとベースの音量配分がとても大きいので、音数が減っても、迫力が失われることはないのです。
例えば、「Marshmello – Alone」の楽曲構成を分析してみましょう。
イントローブレイクダウンービルドアップードロップーブレイクダウンービルドアップードロップ
という感じになります。
ダンスミュージックの方が、展開がハッキリ分かりやすいので、初心者には作りやすいかと思います。
展開パターンの作り方は?
曲の構成が把握できたら、次に楽曲のコード進行や、メロディーの展開パターンの作り方について解説していきます。
展開パターンの作り方のポイントは、以下の通りです。
- サビからつくる
- バリエーションをつくる
- 各展開での主役は1つだけ
① サビからつくる
もし、何も考えずに、曲のアレンジを作った場合、どうなるでしょうか。
「なんか物足りないな~!あ、こんな音も増やそう!」という具合に、曲が進むにつれて、どんどん音が増えてきて、ゴチャゴチャしがちです。
これは、初心者に限らず、多くのDTMerにありがちな状況です。
もちろん、先ほど説明したEDMのように、だんだん音数が増えてくる展開の曲もあります。
ただし、最初にサビやドロップなど、一番派手なブロックから作るのがおすすめです。
② バリエーションをつくる
基本となるリズムやフレーズができたら、それに変化をつけて、いくつかのバージョンをつくっていきましょう。
それらの素材を差し替えることで、曲に抑揚をつけて、飽きさせないようにすることができます。
変化の付け方のポイントとしては、以下の通りです。
- 音数を減らしてみる
- メロディーを部分的に変えてみる
- キーやピッチを変えてみる
ちなみに、複数の音を重ねたまま、一部のパートを差し替えて、音の相性を確認するには、「セッションビュー」の機能を持ったDAWを使うのがおすすめです。
セッションビューをもったDAWは、「Ableton live」と「Digital Performer」の2種類になります。
③ 各展開での主役は1つだけ
各展開における音の足し方ですが、展開が進むにつれて音数を増やしていく場合でも、単純に素材を足していくのではなく、常に「主役が誰か」を意識しましょう。
「このシーンで一番目立たせたい音はどれか」ということを意識して、目立たせたい音を隠してしまうような音は消してしまうくらいの方が、メリハリが付いて音の抜けも良くなります。
「プロはトラック数が多い」みたいな記事もあるので、ついつい重ねる音を増やしてしまいがちになりますが、初心者であれば特に、重ねるのではなく、素材を差し替えて展開をつくることを意識してほしいです。
まとめ
アレンジ(編曲)のやり方について、手順を追って解説しました。
この記事で解説したアレンジ作業のポイントは、以下の通りです。
- まず曲のジャンルを決めること。
- リファレンス曲を用意して、曲の構成を研究しよう。
- 同じジャンルであれば、構成自体はもたいして変わらない。
- 音を重ねるのではなく、変化をつくろう。
「音楽理論」や「アレンジ」は、DTMerに嫌われがちな部分ですが、憧れのアーティストがやっていることを良い感じにパクって自分のものにすれば良いです。
せっかく世の中には素晴らしい曲がたくさん存在しているのに、それらを使わない手はないです。
色んな音楽を聴いて、自分の引き出しを増やしていってください。