これからDTMを始めようとされている方へ。
DAW(DTMソフト)は色々な種類があって、どれを選んだら良いのか分からないですよね。
また、買った後に「思ってたのと違う!」と後悔するのも避けたいですよね。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のあるトラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、あなたにピッタリのDAW選びをサポートします。
- Cubase
- Logic Pro
- ProTools
- Ableton live
- FL Studio
- Studio One
- Digital Performer
Contents
DAWとは?
DAWとは、「Digital Audio Workstation(デジタルオーディオワークステーション)」の略で、音楽制作専用のソフトウェアのことです。
以下の記事で「DAWで何ができるの?」という内容を詳しく解説しています。
DAWの選び方は?
どれを選んだら良いか分からない人のために、選び方のチャートを作成しました。
こちらのチャートに従っていくだけで、自分に合ったDAWソフトの候補を絞り込むことができるようになっています。
- 自分の音楽ジャンルに合ったDAWは?
- 多機能 or 操作性?
- 予算はどのくらい?
- みんなが使っているものが安心?
- 音質が良いのは、どのDAWソフト?
- パソコンへの負荷が軽いソフトは?
① 自分の音楽ジャンルにあったDAWは?
DAWソフトには、特定の音楽ジャンルの制作に向いているものがあります。
そのため、自分の作りたいジャンルに合ったDAWソフトを選んだ方が効率が良いです。
ポップスやロックなどのバンドサウンドには、ボーカルやギターなどの楽器の音が必要ですよね。
そのため、作業として録音をする機会が多くなる場合が多いです。
これらのソフトは、テイク管理機能など、DAWでレコーディングするのに便利な機能を持っていますので、おすすめです。
EDMやヒップホップなどのジャンルでは、MIDIの打ち込みをメインで行うことが多く、どちらかと言えば、パソコン内部で完結するスタイルです。
また、多くのダンスミュージックの曲の構成は、基本となる1ループと、それを発展させた複数パターンのループを組み合わせることによって構成されています。
これらのDAWソフトは、MIDIの打ち込みや、ループの構築を行うのに便利な機能を持っていますので、おすすめです。
ソフトウェアを購入すると、バンドルセットでDAWソフトが付いてくるものがあります。
例えば、「初音ミクV4X」には「Studio One Artist Piapro」が付属していますので、これらを両方使う予定の方はセットで購入された方が断然お得です。
また、ボーカロイドソフト「Vocaloid5」はVST、AUに対応していますので、ProTools以外なら、どのDAWでもプラグインとして立ち上げて使うことができます。
ちなみに、ボーカロイドソフト「Vocaloid4」以前はプラグインとしては使えませんが、付属の「Vocaloid Editer for Cubase」を使うと、Cubaseと連携して使うことができます。
② 多機能 or 操作のしやすさ?
DAWソフトには、プロユース向けの多機能なものから、シンプルな操作で初心者でも比較的簡単に曲作りができるものがあります。
これらのソフトは、開発の歴史も長く、プロユース向けでも十分に使えるほど、多くの機能を持っています。
その分、使いこなせるようになるまでには少し時間がかかりますが、慣れてきた頃に、その便利さを実感できます。
マニュアルを読んで丁寧に覚えていける派の人なら、問題は無いでしょう。
初心者DTMerにとって、最初の難関はDAWの操作に慣れることです。
ここで煮詰まって、途中で辞めてしまう人も少なくないのが現状です・・。
これらのソフトは、とても分かりやすいUI(ユーザーインターフェイス)になっており、操作が比較的簡単なため、マニュアルを読むのが苦手で、身体で覚えていく派の人にも優しいです。
③ 予算はどのくらい?
DAWソフトを購入する上で、気になるのがお値段ですね。
そこで、今回紹介する7つのDAWソフトの販売価格(税込)をまとめてみました。
どれくらいの予算なら許容範囲なのか、お財布と相談してみましょう。
Logic Pro Xは、フルバージョンであるにも関わらず、かなり安いのが目立ちますね。
※なお、こちらの価格は公式サイトを参考にしてますが、この記事の後半で紹介するサウンドハウスなどの販売店では、ここに記載されている値段より安く購入できる場合があります。
④ みんなが使っているものが安心?
世の中のアーティストやプロデューサーの皆さんは、どんなDAWソフトを使っているのでしょうか?
そこで、DAWソフトの人気アンケート調査を行っている国内外のサイトを参考にさせて頂いて、今回紹介する7つのDAWソフトの利用者数をまとめてみました。
なお、日本国内は非常に特殊な市場で、海外と比べると人気DAWソフトに違いがあるようです。
<国内の市場>
☞Cubase、Logic、Studio Oneが人気
<海外の市場>
☞Ableton Live、Logic、Pro Toolsが人気
<参考にしたサイト>
・Ask Audio:Top 12 Most Popular DAWs 2017
・DTM Station:2018年の日本のDAWシェア調査
・Sleepfreaks:最新のDAWソフトランキング2019
⑤ 音質が良いのは、どのDAWソフト?
「DAWソフトによって音質って違うの?」という疑問は、誰もが一度は考えたことがあると思います。
音質が違うのであれば、良い出音のDAWソフトを選びたいですよね。
安易に「このDAWソフトは音が良い!」といった、ソースの分からない情報に惑わされないように、実際にDAWソフトの音質を比較してみました。
その結果については、以下の記事で詳しく解説していますので、音質が気になる方はチェックしてみてください。
⑥ パソコンへの負荷が軽いソフトは?
最適なDTM環境を得るためには、DAWソフト専用に1台のパソコンを用意するのが理想ですが、予算的になかなかそうもいかない人へ。
DAW上でプラグインを立ち上げて再生した時に、同時に何台まで問題なく再生できるかを検証したサイトがありましたので、参考にしてみてください。
1位:Digital Performer (バージョン 9.5)
5つのDAWを比較してわかったCPU使用率が1番軽いDAWはどれ? | 96bit-music
2位:Pro Tools (バージョン 11.3.1)
3位:Studio One(バージョン 3.5)
4位:Cubase(バージョン Artist9.5)
5位:Logic(バージョン 10.4.1)
Digital Performerは、特にMac版が落ちづらく、トラブルを起こせないライブ現場などで使用しているプロも多いと評判ですが、それは事実のようですね。
それでも候補が絞れない場合は・・・
ここまで読んでも、自分に合ったDAWソフトが絞り込めなかった人は、こんなポイントもチェックしてみてください。
- インターフェイス(見た目)のデザインの好みで決める。
- どんなアーティストが使ってるかを参考にする。
- 試しに無料のDAWをしばらく使ってみる。
おすすめのDAWは?
自分のスタイルに合っているDAWソフトが、なんとなくでも絞り込めた人は、これから解説する各DAWの
・特徴と選ばれる理由
・使用アーティスト・プロデューサー
をチェックして、「なんとなくこれかな~」を「やっぱこれが良いな!」という確信に変えていきましょう。
- Cubase
- Logic Pro
- ProTools
- Ableton live
- FL Studio
- Studio one
- Digital Performer
① Cubase(Window/Mac)
Cubaseは、ドイツのSteinberg(YAMAHAの傘下)が開発しているDAWです。
Cubaseの特徴と選ばれる理由
- 最も歴史のある、高機能・多機能なDAW
- 日本国内シェアNo.1
- iOS、iPadOS対応のアプリ「Cubasis」との連携機能
今回紹介した中で最も歴史のあるDAWです。それゆえに、これまでのアップデートによって追加されてきた多くの機能は、どんなDTMerでも満足できる納得のボリュームでしょう。
日本国内シェアNo.1であることから、ネット上に使い方やFAQなどの情報が「日本語」で豊富にあるのも安心です。
また、iOS、iPadOS対応のアプリ「Cubasis」と連携できるため、外出先にスマホでアレンジの続きをするなど、とても効率良く音楽制作ができるのも、忙しい現代人にとっては大きなメリットです。
Cubaseを使用しているアーティスト・プロデューサー
Chemical Brothers、Zedd、New Order、中田ヤスタカ(Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ)、DE DE MOUSE、石野卓球、岡崎体育、蔦谷好位置、神前暁、鈴木Daichi秀行、田中隼人、Supercell ryo など
Cubaseのエディション一覧
② Logic Pro(Mac)
Logic Pro Xは、お馴染みMacBookの開発元であるApple社が開発しているMacOS専用のDAWです。
Logic Proの特徴と選ばれる理由
- とにかくコスパが最高
- シェアNo.1
- GarageBandと連携できる
その魅力は何と言ってもコスパの高さです。他のDAWがフルバージョンだと5万円かそれ以上するところ、たったの2万円代で入手できます。
しかも、「安かろう悪かろう」ではなく、付属するプラグインもクオリティが高いです。
それゆえ、シェアNo.1で、日本でも多くの人が使っているため、ネット上に使い方やFAQなどの情報が豊富にあるのも安心です。
同じくMacOS専用のフリーソフト「GarageBand」で作成したプロジェクトファイルを、Logicでそのまま開くことができるので、まずは無料のGarageBandで勉強してからLogicを購入するという人も多いです。
Logic Proを使用しているアーティスト・プロデューサー
James Blake、Disclosure、Calvin Harris、David Guetta、浅倉大介、冨田ラボ、Cornelius、Monkey Majik、Mabanua、Wonk、尾崎雄貴(ex Galileo Galilei)、AZUMA HITOMI、佐藤純一(fhana)、AA=、Deco27 など
③ ProTools(Window/Mac)
Pro Toolsは、映像およびオーディオ機器を製造・販売している、アメリカのAVID社が開発しているDAWです。
ProToolsの特徴と選ばれる理由
- 世界の音楽業界のレコーディングのデファクトスタンダード
- テイク管理など録音に関する機能が充実
世界中のレコーディングスタジオに導入されており、プロのミュージシャンやエンジニアはPro Toolsのプロジェクトで楽曲のやりとりをすることが多いです。
そのため、ミックスやマスタリングを業者に依頼する時も、Pro Toolsのプロジェクトファイルを渡すことができれば効率が良いかもしれません。
レコーディングに最適化されており、録音した全テイクを一覧表示して、良い部分を繋ぎ合わせてベストテイクを作成する作業がとても簡単にできるなど、テイク管理機能が充実しています。
ProToolsを使用しているアーティスト・プロデューサー
Benny Sings、小室哲哉、KREVA、北川悠仁(ゆず)、SUGIZO、金子ノブアキ、Ken Ishii、大橋トリオ、YANAGIMAN、STUTS、井上ヨシマサ、BENI など
④ Ableton live(Window/Mac)
Ableton LiveはドイツのAbleton社が開発しているDAWです。電子音楽家のMonolakeこと、ロバート・ヘンケが創設時から開発に携わっていたことでも有名です。
Ableton liveの特徴と選ばれる理由
- 海外シェアNo.1
- 操作が簡単でアイディアをすぐ形にできる
- ライブパフォーマンスにも使える
- 付属音源とMax for Liveで無限のプラグイン
海外シェアNo.1のAbleton Liveですが、最大の魅力はその操作性にあります。
タイムラインに沿って曲を作るのではなく、オーディオをループ再生しながら、ジャムするような感覚で音の抜き差しが簡単にできるセッションビューという画面を採用しており、アイディアを形にしやすいです。(セッションビューを採用しているのはAbleton LiveとDigital Performerのみ)。
また、取り込んだオーディオのテンポを自動的にプロジェクトのテンポに合わせるストレッチ機能と組み合わせると、楽曲制作だけでなく、ライブパフォーマンス用としても活用できます。
最上位グレードのSuiteを購入すれば、約90種類のプラグインが付属しており、ネット上に公開されているMax for Liveのプラグインもダウンロードして使うことができるため、それだけで必要なプラグインのほとんどは揃ってしまいます。
Ableton liveを使用しているアーティスト・プロデューサー
Grimes、Flying Lotus、Mura Masa、Skrillex、Marshmello、Ludwig Goransson、Diplo、Deadmau5、tofubeats、オリジナルラブ、川上洋平([ALEXANDROS])、SKY-HI、Seiho、TeddyLoid・Neetz(KANDYTOWN)、MONJOE(yahyel/DATS)、ものんくる 、80KIDZ、小森茂生 など
Ableton liveのエディション一覧
⑤ FL Studio(Window/Mac)
FL STUDIOはベルギーのImage Line社が開発しているDAWです。
FL Studioの特徴と選ばれる理由
- EDM、ヒップホップなどダンスミュージックに最適化
- 他のDAW上でVSTiとして動作する
- 生涯無料のアップデート
プラグインではなく、DAW標準機能としてステップシーケンサーを採用しており、簡単にリズムが作れるため、初心者でもすぐに慣れることができます。
ダンスミュージックと相性の良い、派手な音のシンセがたくさん付属しており、Producer以上のグレードのエディションであれば、80種類以上ものプラグインが付属しています。
FL Studio自体がVSTiとして動作するので、他のDAW上で読み込んで使うことができます。「Abletonで制作したいけど、FL Studioのソフトシンセも使いたい!」という時に便利です。これは、他のDAWには無い、唯一無二の機能です。
「Lifetime free update」という「生涯アップデート無料」の制度があります。一般的なDAWはアップデートの都度費用がかかりますが、本ソフトはアップデートを生涯無料で受けることができます。
FL Studioを使用しているアーティスト・プロデューサー
TM88、Tank Gods、Martin Garrix、Afrojack、Avicii、DJ Myosuke、Avec Avec など
FL Studioのエディション一覧
⑥ Studio One(Window/Mac)
Studio OneはアメリカのPresonus社が開発しているDAWです。
元々、Steinberg社でCubaseやNuendo、Halionなどの開発に携わっていたメンバーが独立する流れで、Cubaseの不満を解消するべく新たに開発されたのが、本ソフトです。
Studio Oneの特徴と選ばれる理由
- 操作が簡単
- プラグインの音がキレイ
このソフトの最大の魅了は何といっても、その操作性でしょう。マニュアルを読まなくてもある程度触れてしまうくらい、初心者でも直感的に操作できるUIデザインになっています。
モダンコードを使用して、最初から無駄の無い設計によって作られたという本ソフトは、リバーブ系などのエフェクトプラグインの高音成分への掛かり方が、他のDAWと比較してキレイです。その音を気に入って乗り換えたアーティストもいるようです。
この記事で紹介したソフトの中では一番新しいDAWですので、まだ多機能・高機能とは言えませんが、最も重要な「音質」にこだわりがみられることと、将来性を考慮すれば良い選択肢といえるでしょう。
Studio Oneを使用しているアーティスト・プロデューサー
Teddy Riley、砂原良徳、Chara、Ampm、浅田祐介、田辺恵二 など
Studio Oneのエディション一覧
⑦ Digital Performer(Window/Mac)
Digital Performerは、オーディオインターフェイスなどのハード機材で有名な、アメリカのMOTU社が開発しているDAWです。
Digital Performerの特徴と選ばれる理由
- MIDI打ち込みのプロフェッショナル
- ライブパフォーマンスにも使える
- パソコンへの負荷が軽い
元々、MIDI打ち込み専用のソフトPerformerから歴史が始まっており、MIDI編集機能に関しては、分解能が高く、生演奏のノリがそのまま記録できたり、ベンドやモジュレーションの情報が同時に表示できるなど、多くのプロに支持されています。
DP10から、Ableton Live同様のセッションビュー機能が追加されており、音楽制作のアイディア実現をサポートしたり、ライブパフォーマンスにも使うことができます。
パソコンへの負荷が軽いDAWソフトであることが実証されており、プロジェクトファイルがクラッシュするのを防げたり、トラブルを起こせない現場でも安心して使用することができます。
Digital Performerを使用しているアーティスト・プロデューサー
TOWA TEI、野崎良太(Jazztronik)、権藤知彦、織田哲郎 など
購入前の注意事項
DAWを購入する前に、注意しておきたいことは、以下の通りです。
- DAWはアカデミック版で安く購入できる。
- DAWを乗り換えるなら、クロスグレード版で安く購入できる。
① DAWはアカデミック版で安く購入できる。
多くのDAWソフトには、学生や教職員を対象とした、割引制度があります。
全てのエディションで学割購入できる訳ではないですが、自分の購入予定のものが対象になっているか、以下の表で確認してみましょう。
② DAWを乗り換えるなら、クロスグレード版で安く購入できる。
DAWソフトには、他社からの乗り換えプランも存在します。それがクロスグレード版です。
すでに有料のDAWソフトを使っている人が、他社のDAWに切り替える場合は、クロスグレード版でお得に購入できます。
ちなみに、デモ版、トライアル版、インターフェイスやMIDIキーボード等に付属されているLE版(廉価版)などは対象外です。
まとめ
DAWソフトによって、機能や価格に結構な違いがあるため、自分に合ったものを選ぶポイントについて、解説しました。
この記事で説明した内容をまとめると、以下の通りです。
- 自分の音楽ジャンルや制作スタイルに合ったDAWを選ぼう。
- 予算に見合ったDAWを選ぼう。
- 音質や動作性能、画面の見た目で選んでも良い。
- 世間の評判や使ってるアーティストを参考にしても良い。
- アカデミック版やクロスグレード版でお得に買おう。
- それでも決まらないなら、無料のDAWを試してみよう。
とはいえ、どのDAWソフトでも音楽制作をすることは可能ですので、そこまで気負わずに気に入ったものを選んで頂ければ良いと思います。
一番大切なことは、早く音楽制作を始めてDAWの操作に慣れていくことです。
ぜひ、この記事を参考にして、初めの一歩を踏み出してみてください。
DAWを購入した後の、音楽制作の方法については、以下の特集記事でサポートしていきますので、チェックしてみてください。