これからDTMを始めようとされている方へ。モニタースピーカーは色々な種類があって、どれを選んだら良いか分からないですよね。
また、「モニタースピーカーって必要なの?」「普通のスピーカーじゃダメなの?」という疑問もあると思います。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のあるトラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、あなたにピッタリのモニタースピーカーの選び方とおすすめの機種について解説します。
- モニタースピーカーって何?メリットは?
- モニタースピーカーの選び方は?
- モニタースピーカーのおすすめは?
Contents
モニタースピーカーとは?
「モニタースピーカー」、「スタジオモニター」とは、音楽制作をするときに、細部まで音をチェックするためのスピーカーです。
気持ちよく聞こえるように調整された音楽鑑賞用のスピーカーと違い、原音忠実でフラットな出音が特徴です。
音楽鑑賞用のスピーカーとモニタースピーカーの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
モニタースピーカーには、以下の2種類があります。
- アクティブスピーカー
- パッシブスピーカー
① アクティブスピーカー
「アクティブスピーカー」とは、アンプが内蔵されているスピーカーのことで、コンセントやUSBから電気を供給することで音を出すことができるタイプです。「パワードスピーカー」とも呼ばれます。
別途アンプを準備する必要がなく、スピーカーから電源ケーブルを接続するだけで使うことができるため、DTM初心者でもセッティングが簡単です。
また、一体型でコンパクトであることから、自宅でDTM環境を作る場合には、アクティブスピーカーがおすすめです。
② パッシブスピーカー
「パッシブスピーカー」とは、アンプが内蔵されていないスピーカーのことで、パソコンやiPadと直接接続して音楽を聴くためには、別途アンプが必要になります。
大音量でもキレイな音が出せることがパッシブスピーカーの最大のメリットです。そのため、自宅よりも、野外やライブハウス向きのスピーカーです。
ただし、スピーカーとアンプの相性を考えて機種を選定する必要があったり、個別に購入すると合計費用が高くなるなど、初心者にはあまりおすすめできません。
初心者はアクティブスピーカーを選ぶのがおすすめ!
モニタースピーカーの選び方は?
という人のために、選定ガイドを作りました。
こちらを順番に読んでいくだけで、自分にあったモニタースピーカーの候補が絞り込めるようになっています。
ちなみに、ここでは、ほとんどの人が選択している「アクティブスピーカー」に絞って解説します。
- モニタースピーカーを使う場所は?
- パソコン/iPadとの接続構成は?
- 音質が良いモニタースピーカーは?
- 購入前の注意事項は?
① モニタースピーカーを使う場所は?
モニタースピーカーの選び方として、まずどのような場所で使うかによります。
あなたは、モニタースピーカーをどのようなシーンで使う予定ですか?
- 自宅のみでの使用
- ミニライブや野外でも使いたい
自宅のみでの使用
まず、音量についてですが、スピーカーの音量や音圧の大きさの目安となるのは、以下の仕様によります。
- アンプ出力[W]
- 最大出力音圧[db]
このうち、一番分かりやすいアンプ出力を例にして説明します。
モニタースピーカーを、DTM用として自宅だけで使用する場合には、アンプ出力は小さいもので問題ありません。目安としては、20W程度あれば十分です。
ただし、20畳を超えるような広い部屋で、スピーカーから離れて使用するようなレアケースの場合は、50Wくらいあっても良いです。
ミニライブや野外でも使いたい
スタジオのように、防音が施されていて大きな音が出せるスペースや、屋外などでも使用したい場合には、アンプ出力50W以上のものがおすすめです。
ただし、屋外では、壁からの反響がなかったり、周りの騒音によって思っているより音が聞こえにくくなります。
また、そもそもモニタースピーカーと、ライブ用のスピーカーは、周波数特性や音質も変わってきますので、別々に用意するのがおすすめです。
② モニタースピーカーとパソコン/iPadの接続構成は?
というDTM初心者は多いです。
そこで、モニタースピーカーの接続構成について説明します。
- パソコン/iPadと直接接続はNG!
- オーディオインターフェイス経由で接続
- ミキサー経由で接続
パソコン/iPadと直接接続はNG!
まず、大前提として、モニタースピーカーとパソコンを直接接続するのはNGです。
確かに、パソコンの3.5mmステレオミニジャック端子から、スピーカー側の接続端子にコネクタ変換すれば、無理やり接続できないことはありません。
ただし、ほとんどのモニタースピーカーは、もともとパソコンから直接接続することを想定したつくりになっていません。
そのため、パソコンからモニタースピーカーに直接接続すると、音量が上がらなかったり、音が劣化するなど、不都合が生じます。
オーディオインターフェイス経由で接続
基本的にモニタースピーカーとパソコン/iPadは、オーディオインターフェイス経由で接続します。
オーディオインターフェイスは、パソコン内部のデジタル信号をアナログ音声信号に変換する装置で、モニタースピーカーの能力をフルで使うことができます。
ミキサー経由で接続
ミキサー経由でモニタースピーカーに接続してもOKです。
ミキサーには、ALLEN&HEATH社の「ZED10」などのように、内部にオーディオインターフェイスの機能を搭載している便利なものがあります。
あるいは、パソコンからオーディオインターフェイス経由でミキサーに接続するのも、よくある構成です。
詳しくは、以下の記事で詳しくまとめています。
③ 音質が良いモニタースピーカーは?
モニタースピーカーの音質の良さをカタログスペックだけで判断する場合、
- 周波数特性[kHz]
の数値をチェックして、再生できる帯域の広さを確認します。
人間が音として聞き取れる可聴域は、20Hz~20KHzと言われていますので、モニタースピーカーの周波数特性としては、80Hz~20KHz以上あると良いです。
80Hz以下の低音域は、そもそも音量をかなり上げないと聞こえないため、モニタースピーカーにはそこまで必要ないです。
なお、スピーカーとヘッドホンの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
④ モニタースピーカー購入前の注意事項は?
DTM初心者が、モニタースピーカーを購入する際に注意しておきたいこととしては、スピーカーの販売形態についてです。
2台1セットで売られているのが当たり前だと思いがちですが、スピーカーの販売形態として、以下の2種類があります。
- ペア売り
- 単体売り
ペア売りは、モニタースピーカー2台で1セットとして販売されているものです。
たとえば、こんな感じです。
一方、単体売りは、モニタースピーカー1台だけの販売で、もう1台を別途購入する必要があります。
こんな感じです。
そのため、ネットの商品ページを見て、
と勢いよく購入したものの、届いた段ボールを開けると、「モニタースピーカーが1台しか入ってなかった!」なんてことにならないように注意しましょう。
モニタースピーカーのおすすめは?
それでは、ここまでの情報を踏まえて、DTMについてそれなりの知識がある私が、皆さんの立場だったらどれを買うか、おすすめのモニタースピーカーを、コスパ重視のランキング形式で紹介します。
- みんな使ってる人気のモニタースピーカー
- 高コスパのハイエンドモニタースピーカー
① みんな使ってる人気のモニタースピーカー
まず最初に、これからDTMを始める初心者におすすめの、格安なのにとても出音の良いモニタースピーカーを紹介します。
YAMAHA ( ヤマハ ) | MSP3 ペア
ずっと使い続けられるスタジオモニターの定番!
YAMAHAのMSPシリーズは、音質が良いことで有名です。超低域こそ出にくいですが、スタジオモニターとして必要な、フラットで味付けの無い音という意味では満点の品質です。
また、このスペックなのに本体サイズがコンパクトなので、机の上に置いても邪魔になりにくく、とてもおすすめな1台です。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 65Hz~22kHz |
アンプ出力 | 20W |
最大出力音圧 | 98dB |
ドライバー口径 | ウーハー:100mm ツイーター:22mm |
入力端子 | XLR、TRS PHONE、RCAピン |
YAMAHA ( ヤマハ ) | HS5
DTM初心者が選ぶ、超定番のスタジオモニター!
同じくYAMAHAのHS5です。こちらはMSP3と値段もそこまで変わらないので、よく比較対象にされています。
音質としても似ており、フラットで味付けの無いサウンドは、ミックスに最適です。周波数特性や見た目のデザインはMSP3より一歩リードしてる感じですが、少しだけサイズが大きいので2位にしました。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 54Hz~30kHz |
アンプ出力 | LF:45W HF:25W |
最大出力音圧 | – |
ドライバー口径 | ウーハー:127mm ツイーター:25mm |
入力端子 | XLR、TRS PHONE |
JBL ( ジェービーエル ) | 305P MKII
スタジオでのライブ練習などに最適なコンパクトミキサー!
世界的に有名なスピーカーブランド、JBLのホームユース用スタジオモニターです。
先に紹介したYAMAHAのスタジオモニターに比べて、価格が安いのがメリットです。もちろん、モニターとしての音質も申し分ないです。
ただし、HS5よりも、さらにサイズが大きくなるので、そこは価格とのトレードオフ(どっちをとるか)です。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 43Hz~24kHz |
アンプ出力 | 41W |
最大出力音圧 | 108dB |
ドライバー口径 | ウーハー:127mm ツイーター:25mm |
入力端子 | XLR、TRS PHONE |
② 高コスパのハイエンドモニタースピーカー
それでは次に、
という人のために、比較的安くて、音質の良い高コスパのモニタースピーカーを紹介します。
ADAM AUDIO ( アダムオーディオ ) | T5V
高級スタジオモニターのホームユース版!
プロ向けの高級スタジオモニターブランドであるADAMのスピーカーは、安くても30~50万くらいするので、気軽に買えるものではないですが、こちらはホームユース向けの廉価版であり、たったの4万円程度で購入することができます。
廉価版といっても、ADAMのスピーカーは、特に高域の解像度など、とにかく文句なしで最高に音が良いので、コスパの高さから1位としました。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 45Hz – 25kHz |
アンプ出力 | LF:50W HF:20W |
最大出力音圧 | 98dB |
ドライバー口径 | ウーハー:127mm ツイーター:25mm |
入力端子 | XLR、RCAピン |
GENELEC ( ジェネレック ) | 8010AP
プロが良く使っているスタジオモニターの定番!
プロユースのハイエンドモニターで有名な「GENELEC」。特に、8000シリーズはスタジオでも良く見かけますが、こちらはその廉価版です。
とてもコンパクトなのに音が良いので、自宅でのDTMには本当におすすめということで2位です。
Licaxxxや、クボナオキ、DJ DARUMA & JOMMYといったアーティストも愛用しています。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 74Hz~20kHz |
アンプ出力 | 25W |
最大出力音圧 | 96db |
ドライバー口径 | ウーハー:76mm ツイーター:19mm |
入力端子 | XLR、TRS PHONE |
YAMAHA ( ヤマハ ) | MSP5
プロフェッショナルモニターの代名詞YAMAHA MSP5!
さきほど紹介した、YAMAHA MSP3の人気の理由が、もともとこちらのMSP5が世界的に大ヒットしたスピーカーだからです。
日本国内の所有者はとても多いと思います。なお、MSP3も音が良いですが、MSP5を試すと、やはりMSP5が欲しくなると思います。
音質は最高ですが、お得感という意味では、1位、2位に劣るため、3位にしました。
タイプ | アクティブ(パワード)スピーカー |
---|---|
周波数特性 | 43Hz~24kHz |
アンプ出力 | LF:40W HF:27W |
最大出力音圧 | 101dB |
ドライバー口径 | ウーハー:127mm ツイーター:25mm |
入力端子 | XLR、TRS PHONE |
まとめ
モニタースピーカーのおすすめや選び方について解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 自宅でのDTMにはアクティブスピーカーがおすすめ。
- アンプ出力値はそこまで重要ではない。
- 接続方法を間違えると、せっかくの音質が台無しになる。
- 高級モニターブランドの廉価版は本当にオススメ。
モニタースピーカーは、DTMで音楽制作する上で、ずっと耳にする音なので、良い音のものを選びたいですよね。
とはいえ、どのモニタースピーカーでも、フラットで味付けが無く、原音を忠実に再現するというコンセプトは同じなので、どれを選んでも失敗ということはありません。
気負いせずに、デザイン、サイズ、ブランド、などで自分が気に入ったものを直感で選ぶというのもアリだと思います。
この記事が参考になれば幸いです。