これからDTMを始めるために新たにパソコンを購入することを検討されている方へ。または、DTM用のパソコンを買い替える予定の方へ。
色々なパソコンがありすぎて、どんなスペックのものがDTMに最適なのか分かりませんよね。
そこで、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役のトラックメイカー&パソコンに詳しい勤続7年のエンジニアが、DTMパソコンに最適なスペックの選び方や、徹底的に無駄を省いて安く買うためのポイントを紹介します。
- OSの選び方
- デスクトップ型orノート型の選び方
- CPUの選び方
- メモリの選び方
- ストレージの選び方
- グラフィックボードの選び方
DTMパソコンの選び方は?
DTM用のパソコンを選ぶときに、おすすめなスペックをまとめると、以下の通りです。
- OS:コスパ重視ならWindows。デザイン重視ならMac。
- タイプ:自宅のみならデスクトップ。ライブで使うならノート。
- CPU:Core i7(ベンチマーク8,000点)以上
- メモリ:8GB以上
- ストレージ:SSD:500GB以上×1、HDD:500GB以上×1
- グラフィックボード:最安の標準のものでOK!
また、OSごとのおすすめパソコンは、以下の通りです。
- Windowsの場合:「BTOパソコン」がおすすめ!
- Macの場合:「Mac mini」がおすすめ!
それでは、なぜこのように言えるのか、その根拠について解説していきます。
OSの選び方
WindowsとMacのどちらを選べば良いか迷っている人は、以下のポイントを確認しましょう。
- 使いたいDAWが対応しているOSはどっち?
- 対応プラグインが多いOSはどっち?
- コスパが良いOSはどっち?
- 見た目は良くてモテるOSはどっち?
Windows/Macそれぞれのメリット・デメリットはこんな感じです。
OS | メリット | デメリット |
---|---|---|
Windows | ・コスパが良い。 ・対応しているプラグインが多い。 | ・見た目がダサい。 |
Mac | ・パソコン自体の見た目がオシャレ。 ・フォントなど、画面の見た目がキレイ。 | ・Windowsと比較すると高い。 ・対応しているソフトシンセが少ない。 |
① 使いたいDAWが対応しているOSはどっち?
まずは、DAWソフトに合わせてパソコンを選ぶという方法です。
あなたが使いたいと思っているDAWが、どちらのOSに対応しているかを確認しましょう。
例えば、DAWソフトのLogic Pro XはWindowsに対応していません。
代表的なDAWソフトのOS対応状況は以下の通りです。
DAWソフト | OS対応 |
---|---|
Cubase | Windows/Mac |
Logic Pro X | Mac |
Pro Tools | Windows/Mac |
Ableton Live | Windows/Mac |
FL Studio | Windows/Mac |
Studio one | Windows/Mac |
Digital Performer | Windows/Mac |
なお、DAWソフトがまだ決まっていない人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
② 対応プラグインが多いOSはどっち?
Native Instrumentsなど、メーカーが公式に販売している有料のプラグインに関しては、Windows/Macどちらでも使える場合が多いです。
しかし、無料のプラグインに関しては、Windowsにしか対応していないものが多いのが現状です。
というのも、Windowsの方が開発環境が充実しているため、皆がプラグインを自由に開発しやすいという理由からです。
そのため、この状況はこの先も大きくは変わらないでしょう。
③ コスパが良いOSはどっち?
Windowsのメリットは何と言っても、その安さです。
Macと比較したときに、パソコンメーカーの選択肢が圧倒的に多く、BTOパソコンなどもあるため、同じ価格でも、高いスペックのものが手に入りやすいです。
④ 見た目は良くてモテるOSはどっち?
デザイン面に関しては、Macがリードしています。
パソコン本体の見た目はもちろんのこと、Retinaディスプレイの鮮明なグラフィックや、Mac標準のフォント「ヒラギノ角ゴシック」によって、とても高級感のあるデザインに仕上がっています。
一方、Macよりお手頃で良いスペックのPCが手に入りやすいWindowsですが、見た目のオシャレさには欠ける部分があります。
もちろん、WindowsでもオシャレなPCはありますが、そういうモデルを選ぶとMacと値段がそこまで変わらなくなります。
デスクトップ型orノート型の選び方
デスクトップとノートのどちらを選ぶかについて、選び方のポイントは以下の通りです。
- ライブセットで使用する?
- 移動中や出先でも使いたい?
① ライブセットで使用する?
将来的に、パソコンや機材を使ったライブセットをやりたい場合は、ノートパソコンを選ぶのもひとつの手です。
できれば、作業用パソコンとライブ用パソコンは、別々に持っておくのが理想ですが、最初から2台購入するのは、予算的に厳しいですよね。
なので、最初はノートパソコンを購入して、DTMにハマってきたら、デスクトップを新調して、ノートパソコンはライブ用に使うみたいな買い方もおすすめです。
② 移動中や出先でも使いたい?
本当にごくたまにですが、電車の中でノートパソコンを使ってDTMをしている人を見かけます。
iPad/iPhoneに比べると、やや大きいサイズにはなりますが、ノートパソコンも、十分持ち運べるので、移動時間や別の場所でもDTMをすることができます。
友達と一緒にDTMする場合などは、「ノーパソ持って集合な!」なんてことも可能になりますので、楽しみ方が広がりますね。
と思った人は、こちらの記事もチェックしてみてください。
CPUの選び方
CPUの選び方のポイントは、以下の通りです。
- CPUはDTMにどう影響する?
- どんなCPUを選べばよい?
① CPUはDTMにどう影響する?
CPUの性能によって、1曲のプロジェクトファイル上で立ち上げられるトラック数が変わってきます。
キック、ハット、スネア、ベース、リードシンセ、パッドと音を重ねていくほど、自然とトラック数が増えていきますが、トラック数が増えて、CPUの性能の限界を超えてくると以下のような現象が起きます。
- プロジェクトやプラグインの起動に時間がかかる。
- トラックの再生中に音がブツブツと途切れたり、ノイズが入る。
- 突然フリーズして編集中のプロジェクトが飛ぶ。
- バウンス(曲の書き出し)の待ち時間が長くなる。
CPUの性能は、このような制作中のロスタイムをどれだけ我慢できるかとのトレードオフになります。
より性能の高いCPUを選定しておけば、これらのうっとおしい現象を最小限に抑えることができます。
② どんなCPUを選べばよい?
インテル製の比較的新しいバージョンのCPUを選定することが望ましいです。
という人のために、より具体的な目安として、ベンチマークテストのスコアが8,000点以上がおすすめです。
「ベンチマークテスト」とは、CPUの性能を数値化した指標のことで、数値が大きいほど性能が高いことを表しています。
以下のサイトで、主なCPUのベンチマークスコアが確認できます。
<参考にしたサイト>
・PassMark Software:CPU Benchmarks
インテル製のCPUのベンチマークスコアの目安は、以下のような感じです。
CPU | ベンチマークスコアの目安 |
---|---|
Intel Core i3 | 5,000~ |
Intel Core i5 | 8,000~ |
Intel Core i7 | 10,000~ |
上記の表を見る限り、Corei7以上あれば安心で、最低でもCorei5以上は欲しいところですね。
メモリの選び方
メモリの選び方のポイントとしては、DAW上で使用するトラック数に合わせて選定することです。
制作する曲のジャンルによって、おおよそのトラック数が決まってきます。そして、トラック数や同時に立ち上げるプラグインの数により、必要となるメモリの目安が決まります。
ただし、デスクトップパソコンなど、メモリを後から増築できるタイプであれば、最初からフルスペックで購入しなくても良いとは思います。
トラック | メモリの目安 |
---|---|
① 録音と加工・編集がメイン | 4GB以上 |
② EDMやヒップホップなどのダンスミュージック | 8GB以上 |
③ ポップスやロックなどのバンドサウンド | 16GB以上 |
④ オーケストラやビッグバンド | 32GB以上 |
① 録音と加工・編集がメインの場合
メモリをたくさん消費するイメージのあるDTMですが、録音やエフェクトを使った編集がメインであればメモリは4GB程度でも十分作業することができます。
とはいっても、メモリを大量に消費するプラグインも増えていますので、今後パソコンを長く使うのであれば、8GB以上のモデルを選ぶのがおすすめです。
② EDMやヒップホップなどのダンスミュージック
EDMなどのダンスミュージックの曲作りでは、シンセサイザーなどのプラグインの使用がメインになります。
比較的負荷の軽い、減算方式やFM方式のシンセサイザーを選べば、高スペックなパソコンでなくても曲作りは可能です。
ただし、「Serum」などのサンプリング方式のシンセやボーカロイドを使って、トラック数を増やしていくなら、少なくとも8GB、可能なら16GB以上がおすすめです。
なぜなら、楽器の音を再現するサンプリング方式のプラグインは、1台だけでも負荷が高いものが多いです。また、ボーカロイドソフトも、サンプリング方式なので同じように負荷が高いです。
③ ポップスやロックなどのバンドサウンド
ポップスやロックなどのバンドサウンドでは、ボーカルやギターなどは録音して、その他のドラムのリズムパターンは「打ち込み」で作るような場合が多いと思います。
そのようなスタイルであれば、[録音と加工・編集がメインの場合]とあまり変わらないため、8GB以上でも十分制作できます。
しかし、バンドサウンドは、ダンスミュージックなどのジャンルに比べてトラック数が多くなる傾向にあるため、打ち込みで作るパートが多くなる場合は、16GB以上はほしいところです。
④ オーケストラやビッグバンド
そもそもクラシックは、曲の途中でテンポがコロコロ変わるので、DTMの打ち込みで作るのはかなり大変ですが、それでも、打ち込みでクラシックを作りたい場合は、かなり高スペックを準備しておくことをおすすめします。
先ほど説明した通り、オーケストラ楽器の音をリアルに再現するサンプリング方式のプラグインは、1台だけでも負荷が高いものが多いです。
また、クラシックは音楽のジャンルの中でも最もパートの数が多いため、トラック数が「50~100くらい」とかなり多くなります。
そのため、16GB以上、出来れば32GB以上ほしいです。また、CPUもベンチマークテストで10,000点以上は欲しいです。
ストレージの選び方
DAWの安定動作を確保するためにも、可能であれば、DAWのアプリケーションとデータ保存先は、別々のドライブに分けておきたいところです。
例えば、以下のような構成です。
ドライブ | ストレージの種類 | 保存するデータ |
---|---|---|
Cドライブ | SSD | ・DAWソフト ・プラグイン |
Dドライブ | HDD | ・プロジェクトファイル ・プラグインのライブラリデータ ・サンプリング音源 ・バウンスした音声データ |
詳しくは、「DAWのインストール誰も教えてくれない重要ポイントを解説。 – データの保存先」の記事で紹介しています。
また、ストレージの容量としては、以下あたりが目安になります。
- SSD:500GB以上×1
- HDD:500GB以上×1
グラフィックボードの選び方
DTM用のグラフィックボードに関しては、標準装備の一番安いもので全然問題ありません。
というのも、DAWソフトにはそこまでグラフィック性能は必要ないからです。
Windowsの場合、「インテルUHDグラフィックス630」が下位ブランドで安く、標準スペックとして搭載されています。
SONYとか富士通など有名メーカのパッケージになったパソコンの場合、CPUやメモリのスペックが上がると、それに合わせてグラフィックボードも高性能なものが選定されていることが多いです。
パソコンの知識が無い人はそれを買ってしまうのですが、必要なスペックだけを選定して価格を安くするためにも、自分でパーツを選定できるBTOパソコンメーカで購入するのがおすすめです。
BTOパソコンのメリットや買い方については、以下の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。
DTMにおすすめのパソコン
それでは、ここまでの条件を踏まえた上で、おすすめのパソコンを紹介していきます。
- Windowsデスクトップ
- Windowsノート
- Macデスクトップ
- Macノート
① Windowsデスクトップ
Windowsパソコンのおすすめランキングは以下の通りです。
ドスパラ | Monarch GE(モナーク GE) 基本モデル
コストパフォーマンス抜群のDTMパソコンの定番!
この記事で解説したスペックの選び方をすべてクリアしているにもかかわらず、10万円以下で購入できる抜群のコストパフォーマンスです。
BTOならではの高スペック・低価格を実現している1台で、ドスパラのデスクトップパソコンの中でも1番人気になっています。
ケースサイズ | デスクトップ・タワー型 |
---|---|
CPU | Core i7-9700(ベンチマーク14,329) |
メモリ | 8GB~ |
ストレージ | SSD 512GB~ |
グラフィック | インテル UHDグラフィックス630 |
ドスパラ | Monarch ZK(モナーク ZK) 基本モデル
高スペックでサクサク快適なDTMパソコンのハイエンドモデル!
同じくドスパラの「モナークGE」からさらにスペックアップしたバージョンです。
ベンチマーク15,000超え、メモリ16GB~と、高スぺックなため、トラック数が増えてきても快適に音楽制作ができる、どうせ買うなら完璧なものが欲しいという人におすすめの1台です。
ケースサイズ | デスクトップ・タワー型 |
---|---|
CPU | Core i7-9700K(ベンチマーク15,003) |
メモリ | 16GB~ |
ストレージ | SSD 512GB~ |
グラフィック | インテル UHDグラフィックス630 |
② Windowsノート
Windowsノートパソコンのおすすめランキングは以下の通りです。
ドスパラ | GALLERIA(ガレリア)GCR1650GF7
スタイリッシュで高コスパなDTM用ノートパソコン!
薄型ベゼルでスタイリッシュなデザインにもかかわらず、DTMに必要なスペックを持ち合わせている、DTMを始めるのにおすすめな1台です。
ブラックで統一されたデザインに、イルミネーションのようにLEDが光るキーボードによって、ライブ会場でも目立つオシャレなノートパソコンです。
サイズ | 15.6 インチ |
---|---|
CPU | Core i7-9750H(ベンチマーク11,647) |
メモリ | 8GB~ |
ストレージ | SSD 500GB~ |
グラフィック | GeForce GTX 1650 4GB |
③ Macデスクトップ
Macデスクトップパソコンのおすすめランキングは以下の通りです。
Apple | Mac mini
オシャレでスペースをとらないスマートなDTM用パソコン!
とてもコンパクトでスペースをとらない、それでいてパワーも十分な、DTMを始めるのにおすすめなデスクトップパソコンです。
iMacのようにモニタと一体型ではない分、10万円前後とかなり安くなっています。Logic Pro Xなどを使ってDTMを始めたい人には、このパソコンがおすすめです。
ケースサイズ | ミニサイズ |
---|---|
CPU | Core i3~i5 |
メモリ | 8GB |
ストレージ | SSD 256GB~512GB |
グラフィック | インテル UHDグラフィックス630 |
④ Macノート
Macノートパソコンのおすすめランキングは以下の通りです。
Apple | MacBook Pro
多くのアーティストが使用するクリエイターパソコンの定番!
MacBookに関しては、細かい説明は不要でしょう。多くのアーティストが使っている安定の機種なので、スペックも問題ありません。
おすすめとして挙げたドスパラのWindowsノートに価格面では勝てませんが、スタイリッシュなデザインや使い心地などを考慮すれば、誰もが満足する1台です。
サイズ | 15インチ |
---|---|
CPU | Core i7 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | SSD 256GB~512GB |
グラフィック | インテル UHDグラフィックス630 |
まとめ
DTMに最適なパソコンの選び方について、スペックごとに解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- OS:コスパ重視ならWindows。デザイン重視ならMac。
- タイプ:自宅のみならデスクトップ。ライブで使うならノート。
- CPU:Core i7(ベンチマーク8,000点)以上
- メモリ:8GB以上
- ストレージ:SSD:500GB以上×1、HDD:500GB以上×1
- グラフィックボード:最安の標準のものでOK!
- Windowsの場合:「BTOパソコン」がおすすめ!
- Macの場合:「Mac mini」がおすすめ!
ただ、全てハイスペックなものだけを選ぶのは難しいという人は、優先順を決めるなら、以下の通りです。
CPU > メモリ > ストレージ >>>> グラフィックボード
ただし、CPUがハイスペックになると、自動的にメモリやストレージも良いものが標準選定されているパターンが多いと思います。
適度にカスタマイズをして、自分のニーズにマッチしたパソコンを入手しましょう。