これからDTMを始めようとされている人にとって、最初に浮かぶ疑問のひとつが「DTMに必要な機材って何?」ですね。
また、機材を購入するにしても、優先順位の高いものから揃えていくことで無駄な出費を抑えたいですよね。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のある現役トラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、DTMに必要な機材の優先順位や予算について解説します。
- DTMに必要な機材とその優先順位は?
- DTMに必要な機材の構成や配置は?
- DTMに必要な機材の予算相場はどのくらい?
Contents
DTMに必要な機材は3つだけ!
まずは、DTMを始めるために、最低限、揃えなければならない必須の機材から紹介します。
DTMに必要な機材の中でも、特に優先順位が高いものは以下の3つです。
- DAWソフト
- パソコンかモバイル端末
- ヘッドフォンかモニタースピーカー
この3つを揃えたスタイルが、最小限の機材構成になります。
これらが揃ってない状態で、楽曲(音源)を作ることはまず不可能です。
機材構成例① ノートパソコン+DAW+ヘッドホン
良くあるのは、こんな感じの構成ですね。
いたってシンプルですが、この構成だけで曲をリリースしているアーティストもたくさんいますし、十分、音楽制作はできます。
機材構成例② デスクトップパソコン+DAW+スピーカー
また、自宅では、こんな感じのスタイルもオーソドックスです。
ヘッドホンとスピーカーでは、音の定位が異なるので、聴こえ方が変わります。
それなりに音が出せる環境があれば、スピーカーで音楽制作したいところです。
機材構成例③ iPad+モバイル用DAW+スピーカー
モバイル用のDAWの普及に従い、コンパクトな機材構成のDTMerも増えてきています。
iPadなどのモバイル端末は、パソコンと比べて価格が安いので、比較的、気軽にDTMを始めることができます。
ちなみに、ここまで紹介した機材構成例①~③の中では、最安の構成です。
非常にコンパクトなため、電車の中に持ち運んで作業することもできるのが大きなメリットです。
ただし、パソコンのモニターのように複数のウィンドウを立ち上げて、作業することはできないため、操作性については少し我慢が必要です。
DTMに必要な機材の予算相場はどのくらい?
これらの機材構成を揃えようと思った場合の、予算相場はこんな感じです。
DAW | 1~9万円 |
---|---|
パソコン | 10~20万円 |
iPad | 4~10万円 |
ヘッドホン/イヤホン | 5000円~2万円 |
合計 | 10~30万円 |
各機材のスペックにより、値段は大きく変わってきますが、平均相場としては、20万円くらいあれば、揃う感じだと思います。
なお、予算のほとんどを占めるのはパソコンなので、すでにそれなりのスペックのパソコンを持っている人はそれ以外の費用だけを考えれば良いです。
ということが気になった人は、DTMに必要なパソコンのスペックについて、以下の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。
後は何をしたいかによって、他に必要な機材の構成が決まる
先ほどの機材構成例を見て、
と思った人もいるかもしれません。
ネット上には「DTMにはオーディオインターフェイスが必要!」みたいな記事がたくさんありますが、実際のところ、「絶対に必要!」ということはないんです。
実際には、やりたいことによって、必要かどうかが決まります。
そのため、人によってDTMの機材構成も、大きく変わってきます。
- 録音や再生環境を充実させたい
- キーボードを演奏してフレーズを作りたい
- パッドを叩いてリズムを作りたい
- マウス・キーボードじゃなくて専用のコントローラが欲しい
- DAW付属の音源だと物足りない
① 録音や再生環境を充実させたい
現時点で、明確に以下のような要望はありますでしょうか?
- ボーカルやギターやピアノなどの楽器を録音したい
- 良い音で録音したい
- 良い音で楽曲をモニター(リスニング)したい
これらのいずれかの状況になって初めて、オーディオインターフェイスが必要になります。
録音について
ギターやシンセサイザーなどの楽器を良い音で録音したい場合には、オーディオインターフェイスが活躍します。
ギターなどを直接パソコンに接続するのは、電圧等の問題により、故障する可能性があるため、推奨されていません。
そのため、オーディオインターフェイスを経由してパソコンに取り込むのが無難な方法です。
マイクに関しては、USBで直接パソコンに接続できるマイクを使っても、録音が可能です。
USBマイクとは、内部にオーディオインターフェイス(ADC)の機能が含まれた一体型の機材になります。
- 構成例① マイク+オーディオインターフェイス
- 構成例② USBマイク
オーディオインターフェイスもUSBマイクも、スペックによって音質に差があります。
再生について
制作中の楽曲を、良い音でモニターしたい場合には、以下の2通りの機材構成が考えられます。
- 構成例① ヘッドホン+DAC(デジタルアナログ変換)
- 構成例② モニタースピーカー+オーディオインターフェイス
まずは、「ヘッドホン+DAC(デジタルアナログ変換)」の構成です。
制作中の楽曲を、より正確な音でモニターしたいという人は、「DAC」と呼ばれる機材を使うことで、高額なオーディオインターフェイスを使った時と同じような、スタジオクオリティの音質を得ることができます。
例えば、Apogee社の「Groove」はとてもおすすめなDACです。
Apogee社のオーディオインターフェイスは全体的に高額なのですが、このApogee Grooveは、そのうちのモニター(DAC)機能だけを抜き出した機材のため、比較的お手軽な価格で、Apogeeサウンドの恩恵に浸ることができます。
次に、「モニタースピーカー+オーディオインターフェイス」の構成です。
多くのモニタースピーカーは、パソコンのステレオミニジャックから直接接続することを想定した設計になっていません。
そのため、変換ケーブルなどを使って直接接続できたとしても、ちゃんとした音が出るかは保証がありません。
そのため、オーディオインターフェイス経由で接続するのが無難です。
録音・再生のどちらも音質にこだわりたい!という人は、USBマイクやDACを個別に揃えるよりは、オーディオインターフェイスを買った方がよいでしょう。
② キーボードを演奏してフレーズを作りたい
ピアノが弾ける、あるいはキーボードを使って打ち込みをしたいという人は、MIDIキーボードを使うことで、とても効率良くフレーズがつくれます。
MIDIキーボードは、USBでパソコンと直接続できるタイプのものが多いので、基本的には信号を変換する必要はありません。
ただし、ビンテージのシンセサイザーなど、USB端子が付いていないものを使いたい場合は、MIDIインターフェイスやオーディオインターフェイスを経由して接続する必要があります。
キーボードを演奏してフレーズを作りたいなら、MIDIキーボードを使おう!
③ パッドを叩いてリズムを作りたい
MPCと呼ばれるパッド型のサンプラーを使って演奏するパフォーマンスを見ると、「自分もやってみたい!」ってなりますよね。
「MIDIパッドコントローラー」があれば、そのパフォーマンスを簡単に実現できます。
また、多くのMIDIパッドコントローラーは、USBでパソコンに直接接続できます。
ただし、MPC60などのビンテージ物は、USB接続できない場合が多いため、MIDIインターフェイスやオーディオインターフェイスを経由して接続する必要があります。
パッドを叩いてリズムを作りたいなら、MIDIパッドコントローラーを使おう!
④ マウス・キーボードじゃなくて専用のコントローラが欲しい
マウスやキーボードだけでも音楽制作は可能ですが、MIDIコントローラーを使うと、作業がとてもスムーズになります。
例えば、NOVATION(ノベーション)社の「Launchpad X」では、DAWソフトのAbleton liveに最適化されたコントローラーなので、ライブ感覚で簡単にMIDIクリップを操作してフレーズを作ることができます。
また、ICON DIGITAL ( アイコンデジタル )社の「PLATFORM M+」は、まるでスタジオの現場でミキサーコンソールを操作しているような感覚でミックス作業ができます。
ここでは分かりやすいFL Studioのミキサー画面を例にしていますが、もちろんどのDAWソフトともシンクロ可能です。
⑥ DAW付属の音源だと物足りない
多くのDAWソフトには、最初からソフト音源やエフェクトなどのプラグインが付属しています。
そのため、基本的には、付属のプラグインだけでも、十分に楽曲制作は行えます。
しかし、もっと違う音色のソフトシンセが欲しいとか、現状の環境だけでは思い通りの音が作れないという状況になることもあるでしょう。
そんな時は、プラグインを別途買い足せば良いです。
プラグインを使ってできることや種類については、以下の記事で詳しく解説しています。
おすすめの入門セット
早く音楽制作をしたいのに、機材選定で時間を使い過ぎるのも、もったいないという考え方もありますよね。
とりあえず何を使いたくなるか分からないし、「ひと通り主要な機材を揃えておきたい!」という人のために、おすすめの入門セットを紹介します。
まとめ
これからDTMを始める人のために、必要な機材について、解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- DTMを始めるために必要な機材は3つだけ。
- 後は何をしたいかによって追加で必要な機材が決まる。
- どんなスタイルでDTMをしたいかを最初に検討すべき。
パソコンやiPadなどはどうしても高額になってしまいますが、それ以外の機材については必要最低限のものだけを揃えることで、予算を抑えることができます。
ミニマム構成でDTMを始め、慣れてきてから機材を買い足していくのもオススメなスタイルです。
お財布と相談しながら、ぜひ良い買い物をしてくださいね。