DTMに必要な音楽理論の中でも最も基本かつ重要である、「音名」と「階名」の知識。
しかし、この「音名」と「階名」という用語は、ごっちゃになりやすい用語です。
そこで、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役のトラックメイカーが、この2つの用語の違いについて、初心者にも分かるようにていねいに解説します。
- 音名とは?
- 階名とは?
- 音名と階名の違いとは?
Contents
音名と階名の違いは?
音名と階名のそれぞれの意味を、かみ砕いて、ざっくり説明すると、以下の通りです。
- 音名:「絶対的な音の高さ」を表すもの。
- 階名:「スケール内の相対的な音の高さ」を表すもの。
という訳で、まずはそれぞれの用語の意味から解説していきます。
- 「音名」とは?
- 「階名」とは?
- 音名と階名の違いとは?
ただし、階名を理解する前に、スケール(音階)がどういうものか、ある程度イメージが無いと理解が難しいと思います。
という人は、以下の記事を先にチェックしてから、この記事を読むと、とてもスムーズに理解できると思います。
音名とは?
「音名(ピッチネーム)」とは、周波数をもとに決められた音の高さの名前のことで、いわゆる「ドレミファソラシド」のことです。
欧米を始めとして、海外では、「CDEFGABC」とアルファベットで表記します。
そのため、DAWソフトの「ピアノロール」と呼ばれるMIDIを打ち込む画面でも、音符はアルファベット表記となっています。
音名と周波数
ある音名の音を鳴らしたときに、その周波数はいつも同じになるということです。
例えば、DAWのソフトシンセで、「C」、「E」、「G」を鳴らしたときの周波数は、「262Hz」、「330Hz」、「392Hz」になります。
以下の通り、全ての音名において、対応する周波数が決まっています。
音名 | 周波数 |
---|---|
C3 | 262Hzくらい |
D3 | 294Hzくらい |
E3 | 330Hzくらい |
F3 | 349Hzくらい |
G3 | 392Hzくらい |
A3 | 440Hzくらい |
B3 | 494Hzくらい |
C4 | 523Hzくらい |
D4 | 587Hzくらい |
E4 | 659Hzくらい |
F4 | 698Hzくらい |
G4 | 784Hzくらい |
A4 | 880Hzくらい |
B4 | 988Hzくらい |
※音名の後ろの数字(3とか4)は、オクターブを表してます。
このように、音名に対して周波数はいつでも同じになるので、ある音を聞いたときに、その周波数から「これは、F(ファ)の音だ!」と判断できるのです。
音名が聞き分けられる人=絶対音感
階名とは?
階名とは、スケール(音階)の基準になる音(トニック)から順番に、スケール内の音の距離(位置関係)を表したものです。
その位置関係は「度数」で表し、例えばメジャースケールの場合は、「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ」という感じに表記します。
という人は、先にまずインターバルを理解しておく必要がありますので、以下の記事をチェックしてみてください。
Cメジャースケールの階名は、以下のようになります。
また、「スケール(音階)とは」の記事で解説した通り、スケールのトニックはどこから初めても良かったですね。
例えば、Dから始まるメジャースケールを打ち込んでみましょう。
ピアノロールを立ち上げて、Cメジャースケールを打ち込んで、半音2個分だけ全体を上にズラせば、Dメジャースケールになるんでしたね。
Dメジャースケールの階名は、以下のようになります。
そう、メジャースケールであれば、トニックがどこから始まっても、階名は同じになります。
なぜなら、階名はスケール内の音の位置関係を表しているだけなので、スケールがどこから始まっているかは関係ないんですね。
そのため、階名は、スケール内の音だけに対して使われます。
トニックの音を鳴らして、スケール内のどれかの音を鳴らした場合、その音の高低で、「これはⅤの音だ!」と判断できるのです。
階名が聞き分けられる人=相対音感
まとめ
「音名(ピッチネーム)」と「階名(シラブルネーム)」の違いをまとめます。
例えば、適当にどれかひとつの鍵盤を弾いたとき、その「音名」は必ず決まっています。
必ず「CDEFGAB」のうちの、どれかを弾くことになる訳です。
一方、「階名」とは、トニックからの相対的な高さ(音の距離)を表します。
階名は、トニックが「C」であろうが、「D」であろうが、関係なく、トニックからの距離を表します。
階名の表記は「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ」とか「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と表します。
まとめると、音名と音階の違いは、以下の通りです。
用語 | 説明 |
---|---|
音名(ピッチネーム) | ・絶対的な音の高さ ・音名を聞き分けできる人=絶対音感 |
階名(シラブルネーム) | ・スケール内の相対的な音の高さ ・階名を聞き分けできる人=相対音感 |
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 音名とは、「絶対的な音の高さ」を表すもの。
- 階名とは、「スケール内の相対的な音の高さ」を表すもの。
- 絶対音感は1つの音を聴いて音名を当てられる人。
- 相対音感は2つの音を聴いて階名を当てられる人。
音楽理論を勉強中のDTM初心者の人にとって、「音名」と「階名」はごっちゃになりやすいですが、意味さえ分かれば、決して難しいものではないですよね。
この記事の内容が参考になれば幸いです。