言わずと知れたreFXの超有名ソフトシンセ「Nexus 3」について、なぜ人気があるのか、何が得意で、何が苦手なのかなどをまとめました。
その上で、どんなタイプの人が購入するべきなのかを、改めて考察してみました。購入検討中の人は要チェックです。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Nexus 3ってなぜ人気なの?どこが優れているの?
- Nexus 3はどんな人に向いている?
Contents
Nexus 3とは?
「Nexus 3(ネクサス・スリー)」とは、2019年にリリースされた、カナダのreFX(リーエフエックス)社が開発するソフトシンセ「Nexus」の最新バージョンです。
膨大なプリセットとエフェクトが魅力で、膨大なプリセットから好きなものを選ぶだけで立派な曲ができてしまうのが特徴です。
操作できるパラメータも少なくシンプルなので、シンセの操作を知らない初心者でも簡単に扱えるソフトシンセといえます。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 250ドル |
音源方式 | PCM(サンプリング)方式 |
プリセット音色 | 2,750以上 |
オシレータ | 2個 マルチサンプル波形:2,238以上 |
フィルター | 12以上 |
エフェクト | 19以上 |
「PCM方式ってなに?」というところに引っかかった人は、以下の記事も参考にしてみてください。
Nexus 3の価格は?
Nexus3には、3つの価格プランがあります。
これらの価格プランの違いは、Expansionパックという、プリセットやサンプル音源のセットが付属しているかどうかです。
各プランに付属しているExpansionパックの数は、以下の通りです。
Starter | Value | Complete | |
---|---|---|---|
価格 | 250ドル (約2万7千円) | 1,999ドル (約22万円) | 3,869ドル (約42万円) |
プリセット音色 | 2,750 | 8,500 | 16,000 |
サンプル音源 | 18GB | 50GB | 130GB |
Expansionの数 | – | +50 | +143 |
新しいExpansionは1個60ドルするので、ValueプランだとExpansionだけで60×50=3,000ドルするところを、半額近い価格で購入できるのでお得です。
Nexus 3を使うメリットは?
Nexus3の購入を検討している人のために、その魅力や、どういう人におすすめなのかについて、もう少し詳しく説明していきます。
- プリセットが豊富なので欲しい音が見つかる
- 音楽制作の時間短縮になる
- 商業用音楽におすすめ
① プリセットが豊富なので欲しい音が見つかる

まずNexusがここまで有名になったのは、とにかくプリセットの数が膨大なため、音色を選ぶだけで音楽制作が出来てしまうからです。
ファクトリープリセットだけで2,750種類が搭載されており、さらに、ジャンルに特化したExpansionを買い足すことで何万種類ものプリセットを揃えることができます。
② 音楽制作の時間短縮になる

ポップスやアニソンなど、音数が多くメロディー重視のジャンルの場合、ひとつひとつのシンセの音作りにそこまでこだわらない場合が多いです。
そうしないと、いつまで経っても全体の曲作りが進まないからです。
Nexus3のプリセットは、プロのデザイナーによって作成されており、即戦力で使えるレベルのものが多いため、曲作りの時間短縮になります。
③ 商業用音楽におすすめ
Nexus 3のプリセット音色は、いわゆる「どこかで一度、耳にしたことがありそうなサウンド」が多い印象があります。
そのため、Nexus 3のプリセットをいくつか適当に選んだ音色のフレーズを並べるだけで、それっぽい曲が出来上がります。
企業に提供するBGMやイメージソングなどを作成する際に、とても有用だと思います。
Nexus 3を使う上での注意点は?
次に、逆にNexus 3では実現するのが難しいことや、どういう人に向いていないのかについて、解説します。
- 細かい音作りができない
- Expansion代がかさむ
- オリジナリティに欠ける
① 細かい音作りができない
Nexus 3は、プリセットの数が豊富な代わりに、一般的なシンセサイザーに搭載されているオシレータやモジュレーションなどのパラメータの機能がかなり簡易になっています。
そのため、波形をいじることができないので、細かく音を作り込むことができません。
そのため、「シンセサイズによる音作り」を期待している人には、物足りないです。
② Expansion代がかさむ
積極的な音作りができないNexus 3の使い方は、基本的に膨大なプリセットから自分の求めるイメージに合う音色を探すことのみです。
そのため、選べるプリセットの数が一番重要ですが、ファクトリープリセットの中に使えるものがなくなってきたら、Expansionを買い足す必要があります。
Expansion自体が1個で30~60ドル(3,000~6,000円)程度するので、それなりの支出になってしまいます。
③ オリジナリティに欠ける
Nexus 3のプリセットのサウンドは、クオリティは高いのですが、音色の雰囲気としては、「良くありそうな音」が多いです。
そういう音色のフレーズを並べて曲を作ると、当然、マジョリティなサウンドになる訳です。
商業音楽であれば全く問題ないのですが、他と違う独創性や発想の新しさが大切なアート作品の場合、使い方が難しいかもしれないです。
Nexus 3の使用アーティストは?
Nexusの使用アーティストについては、公式Webサイトにがっつり紹介が載っていますので、そちらをチェックしてみてください。
以下に、日本でも有名なアーティストについて、抜粋してみました。
KSHMR、Tiësto、Kygo、Steve Aoki、Marshmello、Armin van Buuren、David Guetta、Axwell、Nicky Romero、Zedd、Afrojack、etc
参考ページ:Artists | reFX
Nexus 3の評判は?
Nexusは、最初のバージョンが発売されてから既に10年以上が経過しています。
2020年5月時点で、どんな評判になっているのかについて、最新の動向をTwitterから拾ってみました。
Nexus 3デモ版のお試し方法は?
さっそくNexus 3を試してみたいという人のために、お試し方法を紹介したいところですが、Nexusには過去のバージョンも含めてデモ版はありません。
というのも、そもそもパラメータを操作して細かい音作りが出来ないので、デモ版をお試しする意味がないためだと思います。
そのため、Vengeance Soundが作成している、Expansionパックのサウンドデモを聴いてみてください。
Nexus 3の使い方は?
Nexus3の使い方はとても簡単で、正直、細かく説明するほどでもないです。
そのため、使い方のイメージが分かる程度で、簡単に解説します。
なお、Nexus3の公式マニュアル(英語)は、Web上に公開されています。
- プリセットの選択
- エフェクトの使い方
- アルペジエイターの使い方
- モジュレーションの使い方
① プリセットの選択
画面上部のメニューから、[Librarian]をクリックすると、プリセットライブラリが開きます。
次に、[FOLDERS]→[CATEGORIES]→[PRESET]の順にクリックして、イメージに合う音を絞り込んでいきます。

また、自由入力のキーワードで検索をかけることもできます。

「明るい」・「暗い」など、音のキャラクターのイメージでフィルターをかけることもできます。

膨大なプリセットから、音色を選ぶ必要があるので、この辺りの機能はあると便利ですよね。
② エフェクトの使い方

画面上部のメニューから、[Effects]をクリックすると、エフェクト画面が開きます。
Nexus 3で使えるエフェクトの種類は、インサートエフェクトが14種類、それ以外のEQ Effectなどが5種類あります。
③ アルペジエイターの使い方

アルペジエイターを使って、Nexus 3の中でMIDIシーケンスを書くことができます。
プリセットもあるので、ここから選んで演奏させることで、フレーズ作りのアイディアも得られます。
④ モジュレーションの使い方

Nexus 3の[Modulation]で使えるのは、VIBRATO・PITCH BEND・PORTAMENTO・LFOなど、いずれもMIDIキーボードの演奏に、モジュレーションをかける簡易な機能がメインです。
まとめ
Nexus 3についてレビューを行い、その人気の秘密や、どんな人に相性が良いのかなどについて、まとめてみました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Nexus 3は、PCM方式のソフトシンセ。
- プリセットが豊富なので欲しい音が見つけやすい。
- シンセというよりソフト音源に近く、パラメータが少なく操作が簡単だが、細かい音作りはできない。
- 定番のサウンドが揃っているので、商業音楽を量産したい人におすすめ。
- Sylenth 1と良く比較される。
Nexus3は、BGMや企業向けのイメージソングなどを作りたい人には、作業効率を上げられるのでとてもおすすめなソフトシンセです。
また、シンセを触ったことのない全くの初心者の人が、楽しみながら曲作りを覚えていくのにも良いでしょう。
なお、他にもおすすめが知りたい人は、以下の記事もご覧になってみてください。
はじめまして。
私はスタジオワンを使ってますが、Nexus3はアルペジエイターを使って、Nexus 3の中でMIDIシーケンスが表示できると解説されてましたが、これをスタジオワンのトラックにドラック&ドロップ等して更にコードに追従させれば、他の楽器と一緒に演奏する事は可能ですか?