音楽理論において、最も重要な「インターバル」について解説します。
インターバルは、音楽理論の中でも理解するのが最も難しい用語のひとつですが、音楽理論を理解して使いこなすために、最も重要な知識でもあります。
そこで、DTM歴7年の現役トラックメイカーが、全く音楽知識のない初心者の人でも理解できるように、インターバルについて、分かりやすく解説します。
- インターバルとは?
- 度数とは?
Contents
はじめに
スケールとは、1オクターブ内における、音の並び方のルールのことでした。
スケールでは、1つ1つの音の位置に注目しましたが、皆さんがよく耳にする音楽では、ほとんどの場合で、いくつかの音が同時に鳴っていますよね。
2つの音を組み合わせた時の、音の響きのルールを定めたのが、インターバルです。
そのため、インターバルはコード(和音)を理解する上でとても重要になります。
なお、スケールがまだイマイチ理解できていない人は、こちらの記事から先に読んで頂くと、スムーズに理解が進むのでおすすめです。
音程とは?
本題に入る前に、まず「音程」という用語の定義を知っておきましょう。
ややこしいことに、「音程」という用語は、以下の2つの意味で使われています。
- ピッチ(音の高さ)
- インターバル(2つの音の距離)
① ピッチ(音の高さ)
1つ目は、「音程(ピッチ)」としての意味で、単純な音の高さ(音高)のことです。
カラオケで、「この曲、めっちゃ音程が高い~」とか言いますが、アレのことです。
② インターバル(2つの音の距離)
2つ目は、「音程(インターバル)」としての意味で、2つの音の距離のことです。
「インターバル」とは、2つの音がどれくらい離れているかを表しており、音楽理論的には、こちらの意味で使われることが多いです。
それでは、「インターバル」について、より詳しく解説していきます。
インターバルとは?
「インターバル」とは、2つの音の距離のことで、「度数(どすう)」という単位を使って表現します。
たとえば、Cメジャースケールを例にして説明します。
Cメジャースケールのトニック(主音)である「C」を基準として、「C」と他の音との音程(距離)が度数になります。
基本的に、トニック(主音)と同じ音は1度と数え、白鍵上で隣接する音は2度、その隣の音は3度・・という風に順番に数えます。

- CとCの音程(距離)・・・1度
- CとDの音程(距離)・・・2度
- CとEの音程(距離)・・・3度
- CとFの音程(距離)・・・4度
- CとGの音程(距離)・・・5度
- CとAの音程(距離)・・・6度
- CとBの音程(距離)・・・7度
- Cと次のCの音程(距離)・・・8度
と思われるかもしれませんが、スケールの度数では、同じ音は1度と呼ぶことになっているので、そういうものと覚えてください。

これら8パターンの「2つの音の組み合わせ」によって、音の響きの特徴が変わります。
インターバルの種類は?
各度数における2つの音の組み合わせを、響き方が似たものどうしを集めて、2つのグループに分けると、以下の通りになります。
- 完全系(1度・4度・5度・8度)
- 長短系(2度・3度・6度・7度)
① 完全系(1度・4度・5度・8度)
「完全系」とは、よく協和して響き合うということで、重ねた音が濁りなくハッキリと聞こえるのが特徴です。
2つの音が完全に共鳴し合い、澄み切ったような響きになるということから、完全系(パーフェクト)と呼ばれています。
1度・4度・5度・8度
② 長短系(2度・3度・6度・7度)
完全系以外の音の組み合わせが、「長短系」になります。
長調と短調で響きが異なり、その響きはそれなりにハッキリしているものから、不協和音っぽいものまで様々な種類があります。
基本的には、長調だと明るい印象の響きに、短調だと暗い印象の響きになります。
2度・3度・6度・7度
インターバルの記号は?
インターバル(音程)の記号は、以下のような種類があります。
- 完全音程(P)
- 長音程(Maj)
- 短音程(min)
- 増音程(aug)、重増音程
- 減音程(dim)、重減音程
① 完全音程(P)
「完全音程」とは、よく協和して響き合う音程のことで、重ねた音が濁りなくハッキリと聞こえるのが特徴です。
2つの音が完全に共鳴し合い、澄み切ったような響きになるということから、完全音程と呼ばれています。
② 長音程(Maj)
長音程とは、明るい印象の響きの音程です。
「Major(メジャー)」を略して「Maj」あるいは単純に「M」と表記されます。
③ 短音程(min)
短音程とは、暗い印象の響きの音程です。
「Minor(マイナー)」を略して「min」あるいは単純に「m」と表記されます。
④ 増音程(aug)
増音程とは、完全音程から、インターバル(2つの音の距離)が遠くなった(広がった)音です。不安定な感じに聴こえるのが特徴です。
「Augumented(オーギュメント)」を略して「aug」あるいは単純に「+」と表記されます。
また、あまり使われることはないので、ここではさらっと紹介だけしますが、重増音程(ダブルオーギュメント)というものも存在します。
⑤ 減音程(dim)
減音程とは、完全音程から、インターバル(2つの音の距離)が近くなった(狭くなった)音です。不安定な感じに聴こえるのが特徴です。
「Diminished(ディミニッシュ)」を略して「dim」あるいは単純に「O」と表記されます。
また、あまり使われることはないので、ここではさらっと紹介だけしますが、重増音程(ダブルディミニッシュ)というものも存在します。
メジャースケールとマイナースケールのインターバル
それでは、メジャースケールとマイナースケールのインターバルを解説していきます。
先ほど説明した、ピアノロール上のインターバル(Cメジャースケール)を見ながら読んで頂くと、分かりやすいかと思います。
- 完全1度(PU)
- 長短2度(M2nd、m2nd)
- 長短3度(M3rd、m3rd)
- 完全4度(P4th)
- 完全5度(P5th)
- 長短6度(M6th、m6th)
- 長短7度(M7th、m7th)
- 完全8度(PO)

① 完全1度(PU)
完全1度とは、全く同じ音を重ねた音の響きのことで、いわゆる「ユニゾン」です。Cメジャースケールでいえば、CとCの音程(距離)のことです。
「Perfect Unison (パーフェクトユニゾン)」を略して「PU」とも表記されます。
- 完全1度:半音0つ(ピアノロールで0行)
② 長短2度(M2nd、m2nd)
長短2度とは、度数が2度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとDの音程(距離)のことです。
長短2度は、いわゆる「不協和音」となる組み合わせです。この2つだけで鳴らすと違和感が大きいですが、3和音以上のコードとして鳴らすことで、様々な表情をつくることができます。
スケールによって、短2度か、長2度になります。違いは以下の通りです。
- 短2度:半音1つ(ピアノロールで1行)。
- 長2度:半音2つ(ピアノロールで2行)。

③ 長短3度(M3rd、m3rd)
長短3度とは、度数が3度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとEの音程(距離)のことです。
長短3度は、「不完全協和音程」と呼ばれ、少ししんみりとした響きが生まれたりして、音楽にさまざまな変化を与えてくれます。
スケールによって、短3度と、長3度があり、違いは以下の通りです。
- 短3度:半音3つ(ピアノロールで3行)。
- 長3度:半音4つ(ピアノロールで4行)。
④ 完全4度(P4th)
完全4度とは、度数が4度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとFの音程(距離)のことです。
はっきりと響くため、力強い印象を与えます。ロックやパンクなどのギターで使われるパワーコード(2和音)は、ほとんど完全4度か完全5度です。
「Perfect 4th (パーフェクト・フォース)」を略して「P4th」とも表記されます。
完全4度の他に、増4度(aug、オーギュメント)があります。
- 完全4度:半音5つ(ピアノロールで5行)
- 増4度(aug):半音6つ(ピアノロールで6行)
⑤ 完全5度(P5th)
完全5度とは、度数が5度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとGの音程(距離)のことです。
はっきりと響くため、力強い印象を与えます。こちらもパワーコード(2和音)で使われています。
「Perfect 5th (パーフェクト・フィフス)」を略して「P5th」とも表記されます。
完全5度の他に、減5度(dim、ディミニッシュ)と増5度(aug、オーギュメント)があります。
- 減5度(dim):半音6つ(ピアノロールで6行)
- 完全5度:半音7つ(ピアノロールで7行)
- 増5度(aug):半音8つ(ピアノロールで8行)
⑥ 長短6度(M6th、m6th)
長短6度とは、度数が6度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとAの音程(距離)のことです。
長短6度は、「不完全協和音程」と呼ばれ、少ししんみりとした響きが生まれたりして、音楽にさまざまな変化を与えてくれます。
短6度と、長6度の違いは以下の通りです。
- 短6度:半音8つ(ピアノロールで8行)。
- 長6度:半音9つ(ピアノロールで9行)。
⑦ 長短7度(M7th、m7th)
長短7度とは、度数が7度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、CとBの音程(距離)のことです。
長短7度も、「不協和音」となる組み合わせです。この2つだけで鳴らすと違和感が大きいですが、3和音以上のコードとして鳴らすことで、様々な表情をつくることができます。
短7度と、長7度の違いは以下の通りです。
- 短7度:半音10つ(ピアノロールで10行)。
- 長7度:半音11つ(ピアノロールで11行)。
⑧ 完全8度(PO)
長短8度とは、度数が8度の音の組み合わせです。Cメジャースケールでいえば、Cと次のCの音程(距離)のことです。
オクターブ奏法として使われます。
「Perfect Octave(パーフェクトオクターブ)」を略して「PO」とも表記されます。
- 完全8度:半音12つ(ピアノロールで12行)
まとめ
音楽理論において、最も重要な知識であるインターバルについて説明しました。
この記事で説明した内容のポイントは以下の通りです。
- インターバルとは、2つの音の距離のこと。
- インターバルは度数で数える。
- インターバルの記号は5種類。
- 度数1~8のインターバルの特徴を知っておこう。
インターバルは、音楽理論を理解して自分のものにするために必要な知識です。
この記事を1回読んだだけで、すぐに理解できないかもしれませんが、実際にピアノロールに音符を書きながら慣れていきましょう。