オーディオインターフェイスとミキサーをどのように接続すれば良いか分からない!というのは、DTM初心者にとって良くある悩みのひとつです。
接続を間違えると、簡単にハウリングを起こしてしまうのですが、これは初心者DTMerがやってしまいがちな、代表的なミスのひとつです。
そこで、オーディオインターフェイスとミキサーの接続はどうするのがベストなのか、その解決方法や、やりたいことを実現するための接続構成例について解説します。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)がまとめています。
- オーディオインターフェイスとミキサーはどう接続する?
- 良くある使い方と接続構成例は?
- 自分がやりたいことを実現するためにはどんな機材が必要?
Contents
オーディオインターフェイスとミキサーの接続
皆さんが、オーディオインターフェイスとミキサーを使ってやりたいことは何でしょうか。
良くある使い方としては、こんな感じではないでしょうか。
- バンドの練習やジャムセッションを録音
- ニコ生やツイキャスなどの配信
- マイクやギターなどの楽器やDAWを使ったライブセット
- DAWでマイクや楽器をオーバーダブ録音(重ね録り)
このとき、オーディオインターフェイスとミキサーをどのように接続すれば良いか迷う人は多いと思います。
ほとんどの場合、音声信号の流れは、以下の3パターンに分けられます。
- ミキサーからオーディオインターフェイスへの出力(単方向)
- オーディオインターフェイスからミキサーへの入力(単方向)
- オーディオインターフェイスとミキサーで入出力(双方向)
それでは、それぞれの接続構成例と知っておくべきポイントについて解説していきます。
ちなみに、この記事はオーディオインターフェイスという機材を知っている人向けに記載していますので、知らない人は、まずこちらの記事から読んで頂くことをおすすめします。
ミキサーからオーディオインターフェイスへの出力
バンドの練習やジャムセッションを録音したいという人、または、ニコ生などでストリーム配信をしたい人は多いと思います。
この場合の接続構成は、比較的簡単です。
- バンドの練習やジャムセッションを録音
- ニコ生やツイキャスなどの配信
① バンドの練習やジャムセッションを録音
マイクや楽器をミキサーの入力チャンネルに接続し、MAIN OUTをオーディオインターフェイスに接続すれば、パソコンやiPad/iPhoneにインストールしたDAWでバンドの演奏音を録音することが出来ます。
MAIN OUT(メインアウト)とは、ミキサーのマスター出力のことで、ミキサーに入力されている全ての機材の音を1つにまとめて出力する音の出口のことです。
実際の接続構成の例はこんな感じになります。
市販されているほとんどのミキサーで、この接続構成が可能ですので、入力チャンネル数だけちゃんと見ておけば、どんなものを選んでも問題ありません。
② ニコ生やツイキャスなどの配信
ニコ生やツイキャス、YouTubeなどでストリーム配信をする場合も、同様の構成で実現出来ます。
パソコン側でDAWソフトを使う代わりに、OBS Studioのようなストリーム配信ソフトを利用すれば良いだけです。
また、いかにも放送室に置いてありそうな、配信に特化したミキサーもあります。
YAMAHAのAGシリーズは、オーディオインターフェイスが内蔵されているため、パソコンとUSBで直接接続することが出来ます。
BGMとマイク1~2本だけで配信するような場合は、USBマイクやスマホだけでも十分かもしれませんが、音量を手元で手軽に調節したい人は、こちらの選択肢もアリかもしれませんね。
オーディオインターフェイスからミキサーへの入力
実際のライブで、パソコンをミキサー経由でメインスピーカーに接続してDAWの音を出したいという人は多いと思います。
- マイクやギターなどの楽器やDAWを使ったライブセット
オーディオインターフェイスからミキサーの入力チャンネルに接続すれば、ミキサーのMAIN OUTから、パソコンの音を出すことが出来ます。
同じようにマイクや楽器などを入力チャンネルに接続すれば、パソコンと他の楽器の音がミキサー内部でミックスされた音をスピーカーから出すことが出来ます。
例えば、ドラムパターンはDAWで打ち込んだものを再生して、それ以外のパートは本物の楽器で演奏するというスタイルのバンドであれば、このような構成になります。
また、楽器を弾いているフリをして、実際はDAWの音を流しているだけという、いわゆる「当て振り」のパフォーマンスをする場合も、この接続構成で実現出来ますね。
実際の接続構成の例はこんな感じになります。
こちらも、市販されているほとんどのミキサーで実現可能なので、入力チャンネル数だけちゃんと見ておけば、どんなものを選んでも問題ありません。
YAMAHA MG06X MACKIE MIX5 CLASSIC PRO MX-EZ4など
オーディオインターフェイスとミキサーで入出力
DAWでトラックを再生しながら、上から重ねるように他の楽器をリアルタイムで録音していくオーバーダブ録音。
DTMerにとっては、この使い方をしたいという人が一番多いと思います。
- DAWでマイクや楽器をオーバーダブ録音(重ね録り)
このケースでは、接続に注意する必要があります。
というのも、オーディオインターフェイスをミキサーの入力チャンネルに接続した状態で、ミキサーのMAIN OUTあるいはSUB OUTをオーディオインターフェイスに接続してはいけません。
MAIN OUTやSUB OUTは、ミキサーに接続されている全ての入力チャンネルの音が出ます。
つまり、オーディオインターフェイスを接続したチャンネルの音もMAIN OUTから出力されるため、MAIN OUTをオーディオインターフェイスに接続してしまうと、DAWを介して音が無限ループしてしまいます。
そして、その結果、「キュイーン」という、耳をつんざくような、ハウリングが発生してしまうのです。
この問題を解決する接続方法は、以下の通りです。
- GROUP OUT(グループアウト)を使う
- TAPE IN/TAPE OUT(テープイン/テープアウト)を使う
- オーディオインターフェイス搭載ミキサーを使う
- オーディオインターフェイス内部のデジタルミキサーを使う
- DAWのルーティング機能を使う
① GROUP OUT(グループアウト)を使う
GROUP OUT(グループアウト)とは、入力チャンネルの音から、任意に選んだものだけを外部出力できる出力端子のことです。
この機能を使うことで、録音したいパートの音だけをオーディオインターフェイスに送ることが出来ます。
GROUP OUTを搭載したミキサーには、各チャンネルに、GROUP OUTへ音を送るかどうかを切り替えるスイッチがあります。
GROUP OUTをOFFにしたチャンネルの音はMAIN OUTに流れる。
GROUP OUTを搭載したミキサーのおすすめはコチラです。
② TAPE IN/TAPE OUT(テープイン/テープアウト)を使う
TAPE IN/TAPE OUT(テープイン/テープアウト)とは、元々、カセットテープ用の入出力端子です。
この、TAPE IN/TAPE OUTが搭載されているミキサーを使って、ループ問題を解消することが出来ます。
TAPE INの入力音は、MAIN OUTかCR/PHONES(スピーカー/ヘッドホン)のどちらから出力するかを切り替えるスイッチがあります。
CR/PHONESを選択すれば、MAIN OUTには音が送られないので、MAIN OUTからオーディオインターフェイスに接続してもループが発生しません。
MAIN OUTを選択すると、音がループしてしまうので注意しましょう。
GROUP OUTはそれなりに高額なミキサーにしか搭載されていないのですが、TAPE IN/TAPE OUTは安価なミキサーにも搭載されているので、予算をおさえたい初心者はこちらを選ぶのが良いでしょう。
TAPE IN/TAPE OUT内蔵ミキサーのおすすめはコチラです。
③ オーディオインターフェイス内蔵ミキサーを使う
オーディオインターフェイスの機能が含まれた一体型のタイプのミキサーも存在します。
オーディオインターフェイスとミキサー接続がやこしくて嫌だ!という人は、このタイプのミキサーを使うことで、煩わしい配線を考える必要がなくなり、配線をスッキリさせることが出来ます。
ただし、オーディオインターフェイス内蔵ミキサーの場合、オーディオインターフェイス単体で購入する場合と比較して、ハイエンドなDAC/ADCが搭載されているものが少ないです。
もちろん、音が悪いという訳ではありませんが、音質にこだわりたい派の人は個別に購入した方が無難だと思います。
オーディインターフェイス内蔵ミキサーのおすすめはコチラです。
④ オーディオインターフェイスの内部ミキサーを使う
それなりのチャンネル数のあるハイスペックなオーディオインターフェイスになると、標準でミキサー機能が搭載されているものがあります。
パソコンで専用のソフトウェアを立ち上げて、内部のルーティング(音の流れ)を設定出来ます。
ソフトでルーティング設定が出来るので、ケーブル接続の数が減り、見た目にもスッキリした構成になります。
内部ミキサーが使いやすい、おすすめのオーディインターフェイスはコチラです。
⑤ DAWのルーティング機能を使う
特定のDAWソフトでは、ルーティング機能を使うことで、無限ループを避ける方法があります。
例えば、Ableton Liveは、ルーティング機能で、トラックの出力に「Sends Only」を選択すると、入力した音声をマスターには出力しないという設定が可能です。
この機能を使えば、MAIN OUTから出力された音を、DAWから再度オーディオインターフェイスに送ってループが発生するのを避けられます。
Ableton Liveは本当におすすめなDAW
まとめ
オーディオインターフェイスとミキサーの接続について、やりたいことを実現するための接続構成について解説しました。
音声信号の流れをまとめると、以下のようになります。
使い方 | 音声信号の流れ |
---|---|
①バンドの練習やジャムセッションを録音 | オーディオインターフェイス⇐ミキサー (単方向) |
②ニコ生やツイキャスなどの配信 | |
③マイクやギターなどの楽器やDAWを使ったライブセット | オーディオインターフェイス⇒ミキサー (単方向) |
④DAWでマイクや楽器をオーバーダブ録音(重ね録り) | オーディオインターフェイス⇔ミキサー (双方向) |
①~③は流れが単方向なので簡単ですが、④は双方向なのでややこしくなり、接続には注意が必要になります。
そして、④の接続でハウリングを起こさないための解決方法について、5パターンの方法を解説しました。
皆さんもこの記事を参考にして、正しい接続構成でDTM環境を構築してみてください。