1982年にRolandから発売された伝説の名機「TB-303」は、アシッドサウンドと呼ばれるウネウネとした独特なサウンドで、テクノを初めとするダンスミュージックには欠かせない存在になりました。
実機はすでに生産中止となっていますが、今でもこのシンセを入手したいという人が多く、中古市場では10万円単位で取引されており、メーカー各社が競ってクローンモデルを開発しています。
世の中にあるTB-303クローンのハード機材およびソフト音源をまとめて比較してみました。
これからクローンを入手しようとされている方は参考にしてみてください。
- TB-303のクローン機はどんなものがある?
- おすすめはどのクローン?
Contents
TB-303とは?
TB-303とは、アシッドサウンドと呼ばれるウネウネとしたサウンドが特徴的なベース音色のシンセサイザーです。
Roland社が1982年に発売・製造しており、現在では生産中止となっています。
元々、ジャズベースを再現する用途で発売されましたが、再現性が低いということであまり人気になりませんでした。
しかし、DJピエールが、全く違う操作方法で、「テクノ」として、あのウネウネサウンドを発表したことから、瞬く間に世界中で有名になりました。
まずは実機のサウンドを確認してみましょう。
やはり本物の実機の音はとても良いですね。
この音の太さと音が暴れる感じは、アナログシンセならではの良さです。
それでは、クローン機を紹介していきますね。
- ハード機材編
- ソフト音源(プラグイン)編
TB-303クローン ハード機材編
Roland TB-03
Rolandが2016年9月に復刻版のBoutiqueシリーズとして発売したTB-03です。
さすがは本家のメーカー。TB-303の音が忠実に再現されており、粒の揃ったキレイな出音です。
ただし、逆に出音がキレイ過ぎるがゆえに、本家の荒々しさとはちょっと違う感じもあります。
一方、パラメータ操作に関しては、デジタル表示器や外部機器との接続機能などが追加されており、実機を上回る高機能なマシンとなっています。
気になる価格は4万円代ということで、なかなかのお値段になっております。
本家との音の類似度 | |
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パラメータ充実度 | |
コストパフォーマンス |
Behringer TD-3
ドイツのBehringerが2019年11月に発売したばかりのTB-303のクローンモデルで、2019年11月現在、世界最新のTB-303クローンマシンです。
このクローンの注目ポイントはとにかく安いこと。
2万円弱となんともリーズナブルな価格で、アナログシンセが手に入るのは非常に大きなアドバンテージです。
肝心のサウンドはというと、出音自体はなかなか良い感じですが、フィルターが本家と結構違う印象を受けます。特にローパスフィルターの掛かり具合が、実機の温かみのある独特のアナログ感にはかなわない感じがします。
ただ、フィルターを別途接続すれば全然対応出来るので、とても「買い」なマシンだと思います。
本家との音の類似度 | |
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コストパフォーマンス |
Acid Lab Bass line 3
こちらもドイツのAcid Labが2011年に発売したBassline 3です。当初、Basslineからアップデートを重ねてきたTB-303クローンモデルのバージョン3です。
2019年現在、日本国内で手に入る機材の中では、1番出音の再現性が高いと思います。
私も実際に実機を触ったことがあるのですが、フィルターのかかり具合がとても気持ち良くて癖になります。
パラメータについても、付属のシーケンスプログラミング機能がとても便利で、簡単に新しいアイディアを生み出すことが出来ます。
ただし、唯一、難点なのが価格が9万円代とかなり高額なことです。
本家との音の類似度 | |
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コストパフォーマンス |
Ladyada x0xb0x
ドイツのLadyadaが開発しているクローンモデルx0xb0xです。こちらは「ゾックスボックス」と読みます。
TB-303実機の音にかなり近いということで、世界的に評価の高いマシンです。動画を確認すると分かるのですが、とにかく出音が太いです!
ローパスフィルタをかけるとまさに本物のTB-303との違いが分からないレベルです。
海外のアーティストでこちらのマシンを使ってライブしている人を何度か見たことがあります。
ただし、こちらはパーツキットのみの販売のため、自分で電子工作をする必要がありますので、未経験者にはハードルが高いです。
欲しい方は中古市場で完成品を漁るか、「gizm0x shop」で購入を検討してみてください。
本家との音の類似度 | |
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コストパフォーマンス |
Avalon Bass line
アメリカはカリフォルニアのAbstrakt Instrumentsが開発しているAvalon Basslineです。
こちらも海外で評価の高いTB-303のクローンモデルです。非常にキレイな出音で、RolandのTB-03と似ていますが、TB-03よりも荒々しさが感じられる素敵なマシンです。
ただし、価格は10万円代で日本では代理店が無さそうなので、見た目が気に入ってどうしても入手したい人は空輸してオンライン購入するしかなさそうです。
本家との音の類似度 | |
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コストパフォーマンス |
Roland AIRA TB-3
Rolandが2014年に発売したAIRAシリーズのひとつ、TB-3です。
こちらはTB-303のクローンというよりは、TB-303をモデルにした新たなコンセプトのシンセという感じです。
価格は3万円代とリーズナブルですが、パラメータが少ないので、そもそも細かい音作りは出来ないですし、出音も他のアナログシンセと比較すると物足りなさがあります。
ただし、タッチパネルで操作しやすいですし、ライブパフォーマンス向けには便利な1台だと思います。
本家との音の類似度 | |
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TB-303クローン ソフト音源編
次に、DAWソフト上で起動して使えるプラグインタイプのクローンを紹介します。
Audiorealism ABL3
スウェーデンのAudiorealismが開発したRoland TB-303クローンソフト音源のABL3です。
海外のDTMフォーラムなどで、一番本物に近いと人気のあるソフトシンセです。
Audiorealismの公式Webサイトで1万円代でダウンロード購入が可能です。
対応OS:Windows/Mac
本家との音の類似度 | |
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D16 Group PHOSCYON bass line
ドイツのD16 Groupが開発しているTB-303のクローンソフト音源です。
ABL3と比べると、本家の再現性は若干劣るものの、パラメータが充実しており、ディストーション系の音作りが細かくできます。
制作向きという点ではこちらをオススメします。
なお、D16 groupは他にもクオリティの高いプラグインをたくさん開発しており、人気があります。私の周りのアーティストはこれを使っている人が多いんですよね。
D16の公式サイトから8千円程度でダウンロード購入が出来るというリーズナブルさも魅力です。
対応OS:Windows/Mac
本家との音の類似度 | |
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Roland Cloud TB-303
Rolandが「Roland Cloud」という月額制のサービスで販売しているソフト音源に含まれるTB-303のクローンです。
さすがに本家の制作元だけあり、サウンドの再現度が1番高いです。ソフトシンセでこのクオリティであれば大満足でしょう。
ただし、ダウンロード販売をしていないので、月額サービスを契約する必要があります。制作に使うツールで月額制はかなりキツイですよね。。なのであまりオススメ出来ないのです。
対応OS:Windows/Mac
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Audio Animals TB-303
1982年に発売されたROLANDの伝説の名機「TB-303」のクローン版ソフトシンセです。
TB303のクローンシンセはハード・ソフト含めてたくさんありますが、こちらはなんと無料のソフトシンセです!
しかも、全然制作に使えるレベルの音質クオリティです。本物の音にそこまでこだわらないのであれば、とてもおすすめです。
Audio Animalsの公式サイトからダウンロードできます。
対応OS:Windows/Mac
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Audiorealism ABL2(おまけ)
スウェーデンのAudiorealismが開発したTB-303クローンソフトウェアABL3のひとつ前のバージョン、ABL2です。
あえて紹介したのには理由がありまして、ABL3にはない機能としてディストーションがついています。
実はこの機能はABL3になって無くなったんですが、TB-303にディストーションは欠かせないエフェクトのひとつなので、それを理由に今でもあえてABL2を使う人も多いようです。
対応OS:Windows/Mac
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まとめ
もともとはオシャレなベース用のシンセとして開発されたTB-303ですが、DJピエールというアーティストによって、テクノミュージックに欠かせないアシッドベースのサウンドを生み出した伝説の機材TB-303。
時代が変わっても、多くのアーティストに愛され続けていることは変わっていません。
皆さんもぜひお気に入りのクローンを入手して、制作レベルを上げてみてください。