ドラムセットの音を録音してみたいけど、「どうしたら良いのかわからない」、「何を買ったらいいのかわからない」という人へ。
ドラムはパーツごとに適切な機材を選定する必要があります。
そこで、DTM歴7年の現役トラックメイカーが、ドラムのレコーディングに必要な機材のおすすめと選び方について解説します。
- ドラムのレコーディングに必要な機材は?
- 良く使われている、おすすめの機材は?
ドラムのレコーディング方法は?
ドラムのレコーディング方法には、主に以下の3パターンがあります。
- まとめて空間録り。
- パーツ毎にマイクをセットする。
- マイク1本でパーツ毎に録音する。
① まとめて空間録り。
マイク1本、あるいは複数のマイクを使って、ドラムセット全体の音を録音するという方法です。いわゆる、「空間録り」というやつです。
まとめ録りは、1本のマイクで広い範囲の音を拾う必要があるため、環境によって録り音が大きく変わります。
そのため、少し難易度が高くなりますが、比較的少ない機材で実現できるというメリットもあります。
「オーバーヘッドマイク」と呼ばれる空間録り用のマイクを使えば、かなりキレイにレコーディングすることができます。
② パーツ毎にマイクをセットする。
バスドラム、スネア、タム、ハイハットと、それぞれのパーツに対して1台ずつ、マイクをセッティングする方法です。
全てのパーツがマイクに近い距離でレコーディングできるため、一番キレイに録れますが、セッティングがとても大変で、機材もかなり多くなるため、初心者にはあまりおすすめできません。
③ マイク1本でパーツ毎に録音する。
マイク1本を使って、それぞれのパーツを1回ずつ録音していくという方法です。マイク1本、2本程度の最小限の機材を揃えるだけで済みますが、パーツの数だけレコーディング回数を重ねる必要があります。
また、個別録音になるので、基本的には、ワンショット(一発だけ鳴らした音)を録音して、後でDAW上でリズムを組み立てることになります。
ネット上には、ドラムのサンプリング音源がたくさん転がっていますので、「どうしても納得のいく音が見つからない」という場合以外は、そこまでこだわる必要はないと思います。
ドラムのレコーディングに必要な機材は?
という人のために、そもそもドラムの音を録音するためには、どんな機材が必要になるかについて説明します。
- マイク
- マイクスタンド
① マイク
ドラムのレコーディングには、楽器の録音に特化したマイクを使うのがおすすめです。
バスドラムとハイハットの音の高さが全然違うように、ドラムのパーツによって、周波数特性が違います。
そのため、パーツに合わせてマイクを選ぶのが理想ですが、必要なマイク数も増えていくので、初心者の場合は、そこまでこだわらなくても良いと思います。
おすすめのマイクについては、以下の記事で詳しくまとめています。
② マイクスタンド
マイクスタンドは、タッチノイズを防ぐために重要な機材です。
「タッチノイズ」とは、マイクを手に持ってレコーディングしたときに生じる、「カサカサ」「コツコツ」とマイク表面を擦った様なノイズのことです。
そのため、ドラムに限らず、マイクを使ったレコーディングでは、一般的にスタンドを使うのが基本です。
スタンドは、安いものでも大丈夫ですが、可動部が緩んで倒れたりする可能性もあるので、足やブーム部分がしっかりしたものを選ぶのがおすすめです。
ドラムパーツごとに必要な機材は?
ドラムのレコーディングを行うために必要な機材を、ドラムパーツ毎に紹介していきます。
基本は、先ほど紹介した、マイクとスタンドのセットになりますが、その中でもパーツに適した機材があるので、紹介します。
- バスドラム
- スネアドラム、タム
- シンバル
- 空間録り(ドラムセット全体)
① バスドラムのレコーディングに必要な機材
バスドラムをレコーディングするためのマイクは、単一指向性or超単一指向性で、SPL値が高いものがおすすめです。
「SPL値」とは、マイクがどれだけ大きい音に耐えられるかという値で、SPL値を超える爆音を拾うと、音が割れたり(クリップノイズ)、最悪の場合はマイクが故障してしまうため、注意が必要です。
バスドラムはドラムセットの中でも、最も音量・音圧が大きいため、特に注意が必要です。
バスドラム用マイクのおすすめ
Audio technica(オーディオテクニカ) | ATM25
SPL値が高く、近距離で爆音を録音しても、割れることがありません。
多くのアーティストが使っている、バスドラム用マイクの超定番なので安心のクオリティです。
バスドラム用スタンドのおすすめ
バスドラム用に使えるスタンドは、大きく分けて以下の2種類です。
- クランプ
- ショートブームスタンド
「クランプ」は、バスドラム本体に直接取り付けて使うタイプのマイクホルダーです。
クランプを使うメリットとしては、しっかり位置を固定できて、ライブ中などでも邪魔にもならないことです。
K&M(ケーアンドエム) | 24035B
一方、「ショートブームスタンド」は、一般的なマイクスタンドですが、高さが低い位置にマイクを固定できます。
一般的な、マイクスタンドの場合、スタンドを短くしても、地面から近い位置にマイクを固定することはできませんが、ショートブームスタンドは、バスドラムのレコーディングに最適な位置でマイキングできます。
K&M(ケーアンドエム) | 25950 RIEN
② スネアドラム、タムのレコーディングに必要な機材
スネアドラムやタムをレコーディングするためのマイクも、同じく単一指向性のマイクで、SPL値の高いものがおすすめなのは変わらないです。
ただし、スネアドラムやタムの周波数特性として、中低域の成分が一番多いため、そのあたりの周波数がしっかり拾えるマイクが望ましいです。
スネアドラム、タム用マイクのおすすめ
SHURE ( シュアー ) | SM57
世界的に一番有名なマイクメーカー、SHUREのSM57は、1万円以下で手に入る、ベストセラーのハイクオリティな楽器用マイクです。
ドラムだけでなく、ギターなどの楽器のレコーディングにも使える万能なマイクです。
AUDIX(オーディックス) | i5
SHUREのSM57と人気を分けるマイクです。中低域が若干強めの音質で、スネアやタムのレコーディングに最適です。
スネア、タム専用のマイクとして使うなら、コチラを選ぶのがおすすめです。
スネアドラム、タム用スタンドのおすすめ
スネアドラム、タム用スタンドも、バスドラムと同様に以下の2パターンがあります。
- クランプ
- ブームマイクスタンド
AUDIX ( オーディックス ) | D-VICE
先ほど紹介した、マイクメーカー「AUDIX(オーディックス)」のマイククランプです。
マイククランプはスネアやタムに直接取り付けるため、位置がほとんど決まってしまいますが、この商品は、角度を任意に変えられるため、録音した音を確認しながら、一番良い音で録れる位置に調整できます。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) | MSB
超高コスパのCLASSIC PROのマイクスタンドです。たったの2千円で手に入るマイクスタンドです。
ブームスタンドを使うメリットは、スネア、タムとの距離や角度などを自由に調整できることです。
また、ボーカルレコーディング用のスタンドとしても兼用できるので一石二鳥です。
③ シンバルのレコーディングに必要な機材
ハイハット、クラッシュシンバル、ライドシンバルなど、金物独特の高音域がしっかり拾えるものが望ましいです。
また、不要な低音域をカットするハイパスフィルターを搭載しているものも、便利です。
シンバル用マイクのおすすめ
AKG ( アーカーゲー ) | C451B
AKGを代表する、スティック型マイクです。
価格は3万円近くしますが、申し分ないクオリティで、音質は多くのアーティストから支持を受けており、特に高音域の表現力は抜群です。
ドラム以外にも、アコギの録音などでも使うことができ、ニッケル・ステンレス弦の鳴りを忠実に収録することができます。
シンバル用スタンドのおすすめ
シンバルは、クランプでマイクを取り付けられないため、ブームスタンドを使ってマイキングします。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) | MSB
先ほども紹介した、超高コスパのCLASSIC PROのマイクスタンドです。たったの2千円で手に入るマイクスタンドです。
④ 空間録り(ドラムセット全体)
ドラムセット全体を空間録りする場合には、「オーバーヘッドマイク」を使います。
オーバーヘッドマイクのおすすめ
BEHRINGER ( ベリンガー ) | C-2 コンデンサーマイク
BEHRINGERの超高コスパマイクです。たったの5千円で手に入るコンデンサーマイクです。
この価格にも関わらず、サウンドハウスなどで、とても評価が高いです。
これからドラム演奏の録音を始めたい人には、ピッタリの機材です。
オーバーヘッドマイク用スタンドのおすすめ
オーバーヘッドマイクは、部屋の中の高い位置から、下に向けてマイキングします。
そのため、天井から吊り下げるか、背の高いスタンドを使う必要があります。
K&M ( ケーアンドエム ) | 21021B
おなじみK&Mのオーバーヘッドマイク用スタンドです。
高さ2m程度まで調節可能なので、オーバーヘッドのマイキングに最適です。
ドラムのマイクセット
ここまで、パーツ毎に適した機材を紹介してきましたが、
という人には、ドラムマイクセットがおすすめです。
AKG ( アーカーゲー ) | DRUMSET SESSION I ドラムマイクセット
信頼できるプロユースのマイクブランドのAKGの、ドラムパーツ毎に適したマイクのセットです。
バスドラム用×2、オーバーヘッド×2、タムスネア×4に、マイクホルダーやクランプ、ハードケースが付属して、たったの3万円です。
セット販売ならではのお値打ち価格なので、これから全部の機材を揃えていく予定の人には、本当におすすめです。
まとめ
ドラムのレコーディングに必要な機材について、解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- ドラムの録音方法は、空間録りかパーツ録り。
- レコーディングに必須の機材はマイクとマイクスタンド。
- 単一指向性で、SPL値の高いマイクがおすすめ。
- 余裕があれば、ドラムパーツによって機材を使い分ける。
ドラムのレコーディングは、機材がたくさん必要になりますが、1台でドラム以外の楽器のレコーディングにも使える機材もありますので、欲しい機材から少しづつ集めていきましょう。