オーディオミキサーは安いものから高いものまで、色々な種類があって、どれを選んだら良いのか分からないですよね。
また、買った後に「思ってたのと違う!」と後悔するのも避けたいですよね。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のあるトラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、あなたにピッタリのミキサー選びをサポートします。
- ミキサーとは?どんな種類がある?
- ミキサーの選び方は?
ミキサーとは?
「ミキサー(mixer)」、「ミキシングコンソール(mixing console)」とは、入力されたいくつかの音をミックス(混ぜる)してひとつにするための機材です。
主な役割は、以下の通りです。
- 複数の楽器の音をひとつにまとめて、スピーカーに接続する。
- ミックスされた楽器の音量・音質のバランスを整える。
ミキサーには、主に以下の2種類があります。
- アナログミキサー
- デジタルミキサー
① アナログミキサー
「アナログミキサー」とは、入力されたアナログ音声信号の音量、音質を調整するミキサーです。
主な特徴は、以下の通りです。
- 価格が安い(1万円~)。
- 接続が分かりやすく、使いやすい。
アナログミキサーは、比較的安く手に入り、ケーブルの接続も分かりやすいため、初心者にはこちらがおすすめです。
② デジタルミキサー
「デジタルミキサー」とは、入力された音声信号をデジタル信号に変換して、音量、音質を調整するミキサーです。
入力したアナログ音声を、一度デジタル変換してから処理するので、ノイズの影響を受けにくいというメリットがあります。
その他の特徴は、以下の通りです。
- 価格が高い(5万円~)。
- パラメータを保存しておいてワンタッチで呼び出せる。
- パソコンやiPadと連携して操作できる。
- 手軽に複数チャンネルの同時録音ができる。
- 内蔵エフェクトが多い。
などなど、機能が多く、とても便利に使うことができますが、安いものでも5万程度はするので、初心者にとって簡単に手が出しずらいです。
ミキサーの選び方
という人のために、選定ガイドを作りました。
こちらを順番に読んでいくだけで、自分にあったミキサーの候補が絞り込めるようになっています。
- ミキサーを使う目的は?
- 何を接続したい?
- 入力チャンネル数は?
- 音質が良いのはどれ?
① ミキサーを使う目的は?
ミキサーの選び方としては、ミキサーを使う目的によって決まります。
この中で、あなたがやりたいことはどれでしょうか?
- ライブで使いたい。
- バンドの練習やジャムセッションを録音したい。
- 宅録するために使いたい。
- Youtubeなどでネット配信をやりたい。
ライブで使いたい。
![ミキサーをライブで使いたい。](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/want-to-use-mixer-for-gigs.jpg)
ライブでミキサーを使う場合は、マイクや楽器などの音をミキサーに接続して、まとめてMAIN OUTからメインスピーカーに接続して音を出します。
「MAIN OUT(メインアウト)」とは、ミキサーのマスター出力のことで、ミキサーに入力されている全ての機材の音を1つにまとめて出力する音の出口のことです。
また、同じようにパソコンを入力チャンネルに接続すれば、パソコンと他の楽器の音がミキサー内部でミックスされた音をスピーカーから出すことも出来ます。
バンドの練習やジャムセッションを録音したい。
![バンドの練習やジャムセッションを録音したい。](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/want-to-record-a-band-practice-or-jam-session.jpg)
マイクや楽器をミキサーの入力チャンネルに接続し、MAIN OUTをパソコンやiPadに接続すれば、バンドの演奏音を録音することが出来ます。
市販されているほとんどのミキサーで、この接続構成が可能ですので、入力チャンネル数だけちゃんと見ておけば、どんなものを選んでも問題ありません。
宅録するために使いたい。
宅録するために使う場合も、基本的には先ほどと同じ構成になります。
ただし、オーディインターフェイスを経由してパソコンやiPadと接続する場合は、注意が必要です。
それについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Youtubeなどでネット配信をやりたい。
![Youtubeなどでネット配信をやりたい。](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/want-to-do-online-distribution-on-youtube-and-other-site.jpg)
Youtubeやニコ生、ツイキャスなどで、歌ってみたなどの配信をやってみたい人も、基本的には先ほどと同じ構成で実現可能です。
また、配信に特化したミキサーもあります。
② 何を接続したい?
やりたいことが決まったら、次にどんな機材をミキサーに接続したいのかを整理しましょう。
- エレキギターやベース
- マイク
- デジタルシンセ
- アナログシンセ
エレキギターやベース
![エレキギターやベース](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/electric-guitar-and-bass-guitar.jpg)
エレキギターやベースをミキサーに接続するためには、Hi-Zに対応したミキサーを選ぶ必要があります。
実はこのHi-Zですが、オーディオインターフェイスにはほとんどデフォルトで搭載されていますが、Hi-Zに対応したミキサーは種類が多くありません。
そのため、以下の中から、自分にとって一番やりやすいな方法で接続することをおすすめします。
- ギターアンプにマイキング
- Hi-Z対応のミキサーを選ぶ。
- DI(ダイレクトボックス)を使う。
- オーディオインターフェイスを使う。
DI(ダイレクトボックス)とは、エレキギター、ベースなどの楽器を、Hi-Z対応していないミキサーにも直接接続できるようにする為の機材です。
なかでも、CLASSIC PROの「CDI-2P」は、業界最安値で購入できるDIで、入門者におすすめです。
なお、ギターとミキサーの接続については、以下の記事で詳しくまとめています。
マイク
![マイク](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/mic.jpg)
マイクには、以下の2種類があります。
- ダイナミックマイク
- コンデンサーマイク
そのうち、コンデンサーマイクをミキサーに接続する場合は、ミキサー側にファンタム電源と呼ばれる機能が必要になります。
ダイナミックマイクの場合は、ファンタム電源は必要ありません。
詳しくは、以下の記事でまとめていますので、チェックしてみてください。
デジタルシンセ
![デジタルシンセ](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/digital-synthesizer.jpg)
デジタルシンセの多くは、ステレオ出力になっています。そのため、ミキサーのステレオ入力端子に接続します。
ミキサーでステレオ入力する場合、通常のステレオ入力端子を使ってもよいですし、マイク入力用のコンボジャックを2チャンネル分使って接続しても良いです。
アナログシンセ
![アナログシンセ](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/analog-synthesizer.jpg)
アナログシンセの多くは、モノラル出力になっています。そのため、ミキサーのモノラル入力端子に接続します。
ミキサーでモノラル入力する場合、通常のモノラル入力端子を使ってもよいですし、マイク入力用のコンボジャックや、ステレオ入力端子を使っても良いです。
③ 入力チャンネル数は?
単純に、チャンネル数が増えるほど、ミキサーの値段は高くなります。
そのため、接続したい機材が決まったら、次に、必要な入力チャンネルの数を整理しましょう。
ミキサーのチャンネル数の数え方については、少しややこしいのですが、入力チャンネルによって、他の種類の機材も接続できるものがあります。
例えば、コンボジャックには、マイク入力の他に、モノラル入力としても使うことができます。
![コンボジャックは2種類の使い方ができる。](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/the-combo-jack-can-be-used-in-two-ways.jpg)
入力端子に対して、入力できる機器は以下の通りです。
入力端子 | 通常の使い方 | 他の使い方 |
---|---|---|
コンボジャック×1 | マイク入力×1 | モノラル入力×1 |
コンボジャック×2 | ステレオ入力×1 | モノラル入力×2 |
ギター入力×1 | ギター入力×1 | モノラル入力×1 |
ギター入力×2 | ギター入力×2 | ステレオ入力×1 モノラル入力×2 |
ステレオ入力×1 | ステレオ入力×1 | モノラル入力×2 |
モノラル入力×1 | モノラル入力×1 | – |
そのため、まずはギターやマイクの必要な接続本数を数え、余った端子にステレオ・モノラル入力を当てはめて、数が足りるかを確認していきましょう。
④ 音質が良いのはどれ?
ミキサーを音楽で使う用途のうち、特にレコーディングをする場合には、その音質が気になりますよね。
ミキサーを使ってレコーディングを行う場合、機材構成をどうするかによって、レコーディング音質が変わってきます。
機材構成としては、主に以下の2パターンがあります。
- オーディオインターフェイス内蔵ミキサーからパソコンに直接接続
- オーディオインターフェイス経由でパソコンに接続
オーディオインターフェイス内蔵ミキサーからパソコンに直接接続
![オーディオインターフェイス内蔵ミキサーからパソコンに直接接続](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/connect-from-the-mixer-with-built-in-audio-interface-to-the-pc.jpg)
オーディオインターフェイスの機能を搭載しているミキサーから、直接パソコンに接続する構成です。
配線がシンプルなので、初心者にも分かりやすいですが、音質は、ミキサーに内蔵されているオーディオインターフェイスの性能に依存します。
オーディオインターフェイス経由でパソコンに接続
![オーディオインターフェイス経由でパソコンに接続](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/connect-to-the-pc-via-audio-interface.jpg)
ミキサーから、オーディオインターフェイスを経由してパソコンに接続する構成です。
この場合は、別途、単体のオーディオインターフェイスが必要になりますので、合計予算が高くなる場合が多いです。
ただし、高性能のオーディオインターフェイスを選定すれば、プロレベルのハイクオリティなレコーディングが実現できます。
ミキサーを購入する前に注意すべきことは?
ミキサーを購入する前に、注意しておきたいことは、以下の通りです。
- DAWでマイクや楽器をオーバーダブ録音(重ね録り)する場合
- EQやエフェクトを使いたい場合
① DAWでマイクや楽器をオーバーダブ録音(重ね録り)する場合
DAWでトラックを再生しながら、上から重ねるように他の楽器をリアルタイムで録音していくオーバーダブ録音。
この使い方をしたい場合、接続をミスすると、音が無限ループしてハウリングが発生してしまうので、接続に注意する必要があります。
対策方法としては、以下の通りです。
- GROUP OUT(グループアウト)搭載ミキサーを使う
- TAPE IN/TAPE OUT(テープイン/テープアウト)搭載ミキサーを使う
- オーディオインターフェイス搭載ミキサーを使う
詳しくは、以下の記事で詳しくまとめています。
② EQやエフェクトを使いたい場合
![ミキサーのEQとFX](https://dtmbu.com/wp-content/uploads/2020/03/eq-and-fx-of-the-mixer.jpg)
ミキサーを使う上では、入力チャンネルの音量調整さえ出来れば、通常使用で困ることはあまりありません。
ただし、EQ(イコライザー)やFX(エフェクト)の処理をしたい場合は、その機能が搭載されたミキサーを選びましょう。
特に、チャンネル数の少ないミキサーでは、ボリューム調整のみ可能なタイプが多いので、注意が必要です。
おすすめのミキサーは?
それでは、ここまでの情報を踏まえて、DTMについてそれなりの知識がある私が、皆さんの立場だったらどれを買うか、おすすめのマイクをコスパ重視のランキング形式で紹介します。
- 初心者におすすめの格安アナログミキサー
- 音質・機能性に優れた高コスパのミキサー
- 比較的安く買える高性能デジタルミキサー
① 初心者におすすめの格安アナログミキサー
まず最初に、これからDTMを始める初心者におすすめの格安なのに、とても使えるアナログミキサーを紹介します。
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank01.png)
MACKIE(マッキー) | MIX5
DAWでマイクや楽器のオーバーダブ録音が可能な格安ミキサー!
1万円以下で買える格安のミキサーながら、TAPE IN、TAPE OUTの機能をもっており、DAWで楽曲を再生させながら、リアルタイムにマイクや楽器の音の重ね録りができます。
TAPE機能をもっているミキサーはあまりないので、DTM入門者にはとてもおすすめな1台です。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | マイク・モノラル1、ステレオ2 |
EQ | 2バンド(1chのみ) |
ファンタム電源 | 対応 |
Hi-Z | – |
オーディオインターフェイス機能 | – |
エフェクト | – |
その他 | TAPE機能 |
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank02.png)
YAMAHA(ヤマハ)| MG06X
エフェクト機能付きで充実したライブ・レコーディングが可能なミキサー!
日本が誇る音響メーカーのYAMAHAが開発しており、音質にも信頼のおけるミキサーです。
必要最低限のチャンネル数にもかかわらず、7種類もの充実したエフェクト機能をもっているため、バンド演奏や録音などに最適なミキサーです。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | コンボ2、ステレオ2 |
EQ | 2バンド |
ファンタム電源 | あり |
Hi-Z | – |
オーディオインターフェイス機能 | – |
エフェクト | あり |
その他 | – |
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank03.png)
BEHRINGER(ベリンガー) | XENYX 502
スタジオでのライブ練習などに最適なコンパクトミキサー!
この記事で紹介するミキサーの中で最安の、たった5千円程度で手に入る格安のミキサーです。
手のひらサイズでコンパクトな設計のため、カバンの中に入れて気軽に持ち運ぶことが可能です。スタジオでのバンド練習の録音などにとてもおすすめです。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | コンボ1、ステレオ2 |
EQ | 2バンド(1chのみ) |
ファンタム電源 | – |
Hi-Z | – |
オーディオインターフェイス機能 | – |
エフェクト | – |
その他 | – |
② 音質・機能性に優れた高コスパのミキサー
次に、音質や機能にこだわる人向けの、コスパの高いミキサーを紹介します。
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank01.png)
ALLEN&HEATH(アレンアンドヒース) | ZED-10
音質に関して、これ以上安くてクオリティの高いものはないくらい、コスパの高いミキサー!
音が良いことで有名なイギリスの老舗音響ブランド、ALLEN&HEATHのホームレコーディング向けのミキサーです。
値段の割に、ノイズが少ない・音質がとても良いというレビューが多く、自信をもっておすすめできる、コスパの高い1台です。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | マイク・モノラル4、ステレオ2 |
EQ | 3バンド |
ファンタム電源 | – |
Hi-Z | あり |
オーディオインターフェイス機能 | あり |
エフェクト | – |
その他 | – |
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank02.png)
ALLEN&HEATH(アレンアンドヒース) | ZED-6
音質と機能を両方兼ね揃えた、DTM入門者におすすめできるミキサー!
こちらも同じくALLEN&HEATHのエントリーモデルですが、ファンタム電源やHi-Zに対応しており、コンデンサーマイクやギターを直接接続できます。
宅録用途で、チャンネル数がそこまで必要ない人に、とてもおすすめな1台です。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | マイク・モノラル2、ステレオ2 |
EQ | 2バンド |
ファンタム電源 | あり |
Hi-Z | あり |
オーディオインターフェイス機能 | – |
エフェクト | – |
その他 | – |
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank03.png)
YAMAHA(ヤマハ) | AG03
必要な機能が全て揃った、何にでも使える高性能ミキサー!
Youtube配信やゲーム実況などで高い人気を誇る、オーディオインターフェイス内蔵ミキサーです。
EQ、エフェクト、ファンタム電源、Hi-Zなど、レコーディングやDTMに必要な機能が一通り揃っていることも、人気のある理由でしょう。
タイプ | アナログミキサー |
---|---|
入力チャンネル | コンボ1、ステレオ1 |
EQ | ON/OFF(専用ソフトで調整) |
ファンタム電源 | あり |
Hi-Z | あり |
オーディオインターフェイス機能 | あり |
エフェクト | あり |
その他 | – |
③ 比較的安く買える高性能デジタルミキサー
最後に、一般的に高額なものが多いデジタルミキサーの中でも、比較的お手頃で、なおかつ高性能な機種のおすすめを紹介します。
![](https://dtmbu.com/wp-content/themes/jin/img/rank01.png)
ZOOM(ズーム) | LiveTrak L-8
高コスパでデジタルミキサーの最初の1台はコレで決まり!
3万円台で購入できてしまう、デジタルミキサーとしては格安のZOOMのデジタルミキサーです。
パラメータ設定を7種類保存でき、24bit/96kHzのハイレゾ音質で、SDカードにレコーディングが可能。デジタルエフェクトも使えるなど、デジタルミキサーの利点を存分に生かせる1台です。
タイプ | デジタルミキサー |
---|---|
入力チャンネル | マイク6、モノラル2 |
EQ | 3バンド |
ファンタム電源 | あり |
Hi-Z | あり |
オーディオインターフェイス機能 | あり |
エフェクト | あり |
その他 | – |
まとめ
オーディオミキサーの選び方や、おすすめの機種について紹介しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- アナログミキサーは安くて、使い方が簡単なので初心者におすすめ。
- デジタルミキサーは高機能で便利だけど、高いものが多い。
- ミキサーを使う目的を整理しておくことでトラブルを防げる。
- ミキサーは用途に合わせてチャンネル数や機能を選定しよう。
ミキサーを使って何をしたいかを整理すれば、どんなミキサーが自分に向いているのかは決まってきます。
使用イメージを想像しながら、自分にピッタリの1台を見つけてみてください。