「シンセサイザーっていろんな種類あるけど何が違うの?」という人から、「シンセの操作って難しそう!」という人へ。
DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現状トラックメイカーが、シンセの基本的な機能や種類、操作方法について、初心者向けに分かりやすく解説します。
- シンセって色々あるけど何が違う?
- シンセの操作って簡単に覚えられないの?
Contents
シンセサイザーとは?
シンセサイザーとは、多種多様な音が作成・編集できる電子楽器のことです。
ピアノやギターなどの実在する楽器の音から、自然界には存在しない音まで、自由自在な音作りができるため、無限の可能性を秘めています。
パソコンで曲作りを行うDTMには欠かせない楽器であり、DTMerの多くは、DAWという音楽制作専用のソフトで使えるプラグインタイプのシンセサイザーを使って音作りをしています。
シンセサイザーの種類は?
シンセの種類はたくさんありますが、その違いは「音色の作り方」です。
具体的には、以下のような種類があります。
- 減算方式
- 加算方式
- FM方式
- サンプリング(PCM、ウェーブテーブル)方式
- 複合型
① 減算方式
「減算方式」とは、倍音を含んだ基本波形の原音から、任意の倍音成分を削ることで音を作り出す方式のことです。
「オシレーター(OSC)」と呼ばれる、波形を作る装置でつくった波形を、「フィルター(VCF)」と呼ばれる、音をろ過する装置でろ過することで音色をつくります。
他の方式と比べて音作りが比較的簡単で、荒々しい音を作りだすことができることが特徴です。
ただし、オシレーターで最初に作った波形の音で、おおよその音の特徴は決まってしまいます。
アナログシンセの多くは、この方式になっています。
- MS-20 | Korg
- SH1 | Roland
- Sylenth1 | LennarDigital
② 加算方式
「加算方式」とは、サイン波をいくつも重ねることで、新しい音色をつくり出す方式のことです。
サイン波とは、倍音成分をまったく含まない、最もシンプルな波形で、世の中の全ての音は、すべてサイン波が重なり合って出来ています。
そのため、加算方式では、理論上、どんな音でも作り出すことができます。
ただし、その音の重ね方を理解するのは難易度が高く、初心者には扱いが難しいですが、重ねる音の少ない、キレイめな音であれば、比較的作りやすいです。
- Operator | Ableton live
- Razor | Native Instruments
③ FM方式
「FM方式」とは、オシレーターが音を作り出すときに、複数のオシレーター同士を反応させることで倍音成分を発生させて、音色を作る方式です。
加算方式のように波形を重ねるのではなく、波形の作り方自体を工夫しています。
ベルのようなデジタル音や、金属的な音をつくり出すことができるのが特徴です。
FM合成のパラメータ操作を理解するのは難しいので、プリセットを使うのがおすすめです。
- FM8 | Native Instruments
- DX7 | Yamaha
④ サンプリング方式
「サンプリング方式」とは、あらかじめ録音した本物の楽器の音声波形を使って音を作り出す方式です。
「サンプリング」、「PCM」、「ウェーブテーブル」、「グラニュラー」など、色々な呼び方がありますが、仕組みは全て同じです。
本物の音声波形を使うので、グランドピアノやアコースティックギター、オーケストラ楽器などの生楽器の音をリアルに再現できます。
また、サンプリング方式は、元となる音声波形の種類が無限大なので、波形選びだけで比較的簡単に音作りができます。
ただし、最初に使う音声波形によってほとんど音色が決まってしまうため、音作りのカスタマイズ性は低いです。
また、大容量の音声波形データを使用するため、動作が重いタイプが多いというデメリットがあります。
- Serum | Xfer
- Massive | Native Instruments
⑤ 複合型
「複合型」とは、ここまで説明した方式をいくつか組み合わせたシンセのことです。
1つだけでも色々な音作りができる方式を、複数組み合わせた贅沢な仕様になっているため、音作りの幅は無限にあります。
ただし、高機能なので動作が重たく、パソコンのスペックが必要になるのと、パラメータの操作に慣れるまで大変というデメリットがあります。
- Synthmaster | KV331 Audio
- Falcon 2 | UVI
- Avenger | Vengeance Sound
- Pigments 2 | Arturia
- Spire | Reveal Sound
シンセサイザーのパラメーターは?
紹介した通り、色々な種類のシンセサイザーがありますが、その基本構造はほとんど同じです。
そのため、たった数個のパラメータの使い方を覚えておくだけで、多くのシンセサイザーを操作することができます。
- オシレーター(波形を決める)
- フィルター(波形を加工して音色を決める)
- アンプ(音量変化を付ける)
① オシレーター(OSC)
「オシレーター(OSC)」とは、波形を作る装置のことです。
波形を選ぶことで、音作りのベースとなる音色を決めていきます。
オシレーターで作られる波形の種類は、主に以下の4種類です。
- サイン波(正弦波)
- 三角波
- ノコギリ波
- パルス波(矩形波)
基本的な操作は、「4つの種類から好きな波形を選ぶ」だけです。
ただし、FM方式のシンセでは、これらの波形同士を反応させることによって、さらに新たな波形を作り出すので、少しパラメータが増えます。
具体的な操作の方法については、以下の記事で紹介しています。
② フィルター(VCF)
「フィルター(VCF)」とは、波形の一定部分の音域をカットしたり、弱めたりするものです。
オシレーターが作る波形から、指定した周波数の音を削ることで、音色を変化させます。
ちなみに、「オシレーターで作った波形そのままの音で良い!」ということであれば、必ずしもフィルターを使う必要はありません。
ただし、キレイめな音をつくりたい場合は、フィルターで整形してあげることが必須です。
- ローパスフィルター
- ハイパスフィルター
- バンドパスフィルター
基本的な操作は、「カットオフ(Cut Off)」と、「レゾナンス(Resonanse)」の2つだけです。
高音を削ると音がこもります。また、低音を削ると、スカスカの音になります。基本的には、それだけの話です。
詳しくは、以下の記事で紹介します。
③ アンプ(EG)
「アンプ(EG)」とは、音量変化をコントロールする装置です。
同じ音色でも、音量変化によって「ぱぁあああん」と長く伸びるように鳴ったり、「ぱんっ」と一瞬だけ鳴ったりという違いがあります。
アンプでは、その動きをコントロールします。
- アタック(Attack)
- ディケイ(Decay)
- サスティン(Sustain)
- リリース(Release)
音量変化をコントロールするために、「アタック」、「ディケイ」、「サスティン」、「リリース」の4つのパラメータを操作します。
詳しくは、以下の記事で紹介します。
まとめ
シンセサイザーの概要や、種類、操作パラメータについて解説しました。
この記事で紹介した内容のポイントは、以下の通りです。
- シンセサイザーとは、1台で自由自在な音作りができる電子楽器。
- シンセサイザーの種類は主に5種類。
- シンセサイザーで操作するパラメータは、3セクションだけ。
1台でどんな音でもつくることができることから、DTMの可能性を高めたシンセサイザーは、今後も多くのアーティストにとっての強い見方として支持されていくことは間違いありません。
操作に慣れるまで最初は大変ですが、DTMerの強力な武器になるシンセサイザーをマスターして、レベルアップしてください。
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