これからDTMを始めようとされている方へ。
MIDIキーボードは安いものから高いものまで、色々な種類があって、どれを選んだら良いのか分からないですよね。
また、買った後に「思ってたのと違う!」と後悔するのも避けたいですよね。
そこで、DTM歴7年で国内外から楽曲リリース経験のあるトラックメイカーが、これまでの経験を踏まえて、あなたにピッタリのMIDIキーボード選び方とおすすめについて解説します。
- 自分に合ったMIDIキーボードの選び方
- 現役トラックメイカーがおすすめするMIDIキーボード
Contents
MIDIキーボードとは?
MIDIキーボードとは、ピアノ鍵盤型のコントローラで、実際に演奏した記録を、リアルタイムでコンピュータに取り込んで記録することができる機材です。
これ1台あるだけで、パソコンのマウスやキーボードを使うよりも、スムーズに音楽制作ができます。
ちなみに、「そもそもMIDIって何?」という人は、以下の記事を参考にしてみてください。
MIDIキーボードの選び方は?
という人のために、選定ガイドを作りました。
こちらを順番に読んでいくだけで、自分にあったMIDIキーボードの候補が絞り込めるようになっています。
- そもそも買う目的は?
- 自分のスタイルに合ったキーボードは?
- 予算はどのくらい?
- 付属DAWソフトは?
- iPad/iPhoneで使えるMIDIキーボードは?
① そもそも買う目的は?
まずは、MIDIキーボードを使って何をしたいかを明確にしましょう。
あなたにとって、MIDIキーボードを購入する価値があるかどうかを判定するチャートを作りました。
まずは、今、本当に必要なのかどうかを見極めてください。
Aになった人は・・
すでにピアノが弾けたり、鍵盤を演奏してフレーズを作りたいと思っているAの人は、MIDIキーボードを購入する価値が十分にあります。
さっそく、②自分の演奏レベルに合ったキーボードは?を読んで、オーディオインターフェイス側で必要となる機能を決めていきましょう。
Bになった人は・・
鍵盤は使う予定がないけど、パッドを叩いてリズムを作りたいというBの人は、MIDIパッドコントローラという選択肢が良いでしょう。
また、鍵盤とパッド両方の機能を兼ね揃えたMIDIコントローラーもありますので、将来的にキーボードも使いたいという人は、そちらを検討されるのも良いでしょう。
Cになった人は・・
鍵盤やパッドは使う気がないけど、音楽制作がはかどるコントローラがあったらうれしいというCの人は、フェーダーや操作ボタンのあるMIDIコントローラが良いかもしれません。
Dになった人は・・
Dになった人は、そもそもMIDIキーボードなんて必要ないかもしれません。
確かに、パソコン(あるいはiPadなどのモバイル端末)とDAWソフトさえあれば、音楽制作は可能です。
もう一度、よく検討して他にもっと必要なものを買った方が良いかもしれません。
② 自分のスタイルに合ったキーボードは?
MIDIキーボードにおいて、チェックすべき、主なスペックは以下の通りです。
鍵盤数 | 25鍵~88鍵まで |
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鍵盤サイズ | ・フルキー:ピアノと同じフル鍵盤サイズ ・ミニキー:ピアノより小さいミニ鍵盤サイズ |
キータッチ | ・ライトウェイト:軽いタッチ ・ナチュラル:少し重めの打感 ・セミウェイト:やや重めの打感 ・ピアノウェイト:ピアノと同等の打感 |
ペダル端子 | あり/なし |
鍵盤数
MIDIキーボードには、25~88鍵までの種類があります。
グランドピアノのように88鍵あると、両手でも弾けるなど、演奏できる人にとってはメリットが大きいですが、卓上に乗らないので、スペースが必要になります。
鍵盤サイズ
MIDIキーボードには「フルキー」と「ミニキー」の2種類の鍵盤の大きさがあります。
フルキーはピアノの鍵盤と同じ大きさのため、演奏できる人はこちらが使いやすいでしょう。
フルキーよりも小さいものがミニキーと呼ばれ、コンパクトなので卓上にも収まり、持ち運びもできるので便利です。
キータッチ
キータッチとは、鍵盤を叩いたときの重さで、「ライトウェイト」「ナチュラル」「セミウェイト」「ピアノタッチ」の順に重くなっていきます。
ペダル端子
ペダル端子とは、サスティンペダルを接続するための端子です。
サスティンペダルとは、踏むと音を伸ばす効果を持つものであり、演奏ができる人にとっては必須ともいえるものです。
サスティンペダルを使いたいという場合は、ペダル端子があるかどうかチェックしておきましょう。
- ミニキーの中にも、色々なサイズがある。
- ピアノタッチのMIDIキーボードはほとんどない(高い)。
MIDIキーボードを使うにあたって、「がっつり弾きたい!」という人と、「打ち込み用として使えれば良い!」という人がいると思います。
そのため、自分の演奏レベルに合わせて、スペックを選定しましょう。
- がっつり弾きたい人
- 打ち込み用として使えれば良い人
がっつり弾きたい人
すでにピアノが弾ける人であれば、鍵盤数やキーサイズ、キータッチの感覚がピアノと近い方が弾きやすいです。
また、ピッチベンドやモジュレーションホイールなどの機能が付属しているかもポイントです。
ただし、ピアノに近いスペックを求めると、MIDIキーボードのサイズも大きくなりますので、スペースに余裕があるのか要確認です。
鍵盤数 | 49鍵以上 |
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鍵盤サイズ | フルキー(フル鍵盤サイズ) |
キータッチ | ナチュラル、セミウェイト、ピアノウェイト |
ペダル端子 | あり |
打ち込み用として使えれば良い人
打ち込み用にとりあえずキーボードを買おうという人は、そこまでこだわる必要はありません。
むしろ、パソコンと合わせて卓上に設置できるくらいコンパクトな方が良かったりします。
ただし、DTMと合わせて、これからピアノの演奏も練習したいという人は、もう少しピアノに近いものを買っても良いかもしれませんね。
鍵盤数 | 25鍵~49鍵くらい |
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鍵盤サイズ | ミニキー(ミニ鍵盤サイズ) |
キータッチ | ライトウェイトかナチュラル |
ペダル端子 | なしで良い |
③ 予算はどのくらい?
MIDIキーボードを選ぶ上で、気になるのがお値段ですよね。
この記事の後半で紹介するMIDIキーボードの価格帯をまとめると、ここまで差があります。
- 最安値:5千円程度~
- 最高値:~7万円程度
どのメーカーも色んなタイプのMIDIキーボードのラインナップを用意しているため、メーカー間による差はそこまで見受けられません。
それよりも、主には、鍵盤数(25~88)やキータッチ、鍵盤以外のコントロール部(ノブ、パッド、フェーダーなど)によって、値段に差がついてきます。
④ 付属DAWソフトは?
付属のDAWソフトをまとめると、以下の通りです。
AKAI | AKAI Professional MPC Essentials |
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Native Instruments | Ableton Live 10 Lite、MASCHINE Essentials |
M-Audio | Pro Tools First M-Audio Edition、Ableton Live Lite |
KORG | KORG Gadget 2 LE |
Roland | Ableton Live Lite |
Novation | Ableton Live Lite |
Arturia | Ableton Live Lite、Bitwig Studio 8-Track |
NEKTAR | Bitwig 8-Track |
IK Multimedia | SampleTank 3 SE |
注目したいのは、KORG社が提供する、自社開発のiPad/iPhone用のソフト「KORG Gadget 2 LE」です。
こちらは、モバイルDTMシーンで最も人気のあるソフトウェアです。
全体的にLE版がほとんどですが、M-AudioのKeystation 88に付属している「Sonivox Eighty Eight Ensemble」など、機種によってはシンセの音色として使えるソフト音源が付属しているものもあり、それはとても使えます。
⑤ iPad/iPhoneで使えるMIDIキーボードは?
MIDIキーボードをiPadやiPhoneで使う場合、Lightningコネクタで接続する必要があります。
通常は、「Lightning-USB3カメラアダプタ」という変換アダプタを別途購入して接続します。
なお、この記事の後半でiPad/iPhone対応が「公式情報なし」となっているMIDIキーボードであっても、実際に動作確認されていないだけで、使える場合があります。
MIDIキーボードのドライバーはだいたい種類が限られており、バスパワー給電のMIDIキーボードに、iPad/iPhoneからこのアダプタを使って電源共有してあげることで、使用できる場合が多いからです。
ちなみに、iPad/iPhoneに対応したオーディオインターフェイスを使って接続すれば、変換アダプタは不要になります。
iPad/iPhoneに対応したオーディインターフェイスについては、以下の記事で紹介しています。
MIDIキーボードのおすすめは?
ここまでの情報を踏まえて、DTMについてそれなりの知識がある私が、皆さんの立場だったらどれを買うか、おすすめのMIDIキーボードをコスパ重視のランキング形式で紹介します。
- 打ち込み用として使えれば良い人向けのベスト3
- 持ち運びできるモバイルキーボードのベスト3
- がっつり弾きたい人向けのベスト3
① 打ち込み用として使えれば良い人向けのベスト3
まずは、打ち込み用に最適なMIDIキーボードのおすすめを紹介していきます。最安の価格帯で
AKAI(アカイ) | MPK mini MK2
多機能でコスパ抜群のコンパクトモデル!
コンパクトなボディーに、25鍵ミニキーボード、ジョイスティック、8つのパッド、8つのノブと、DTMに必要なコントロール機能が全て搭載されていて1万円以下はとてもお得です。
卓上にはもちろん、持ち運びも可能なサイズですので、最初の1台にはピッタリです。
鍵盤数 | 25 |
---|---|
鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ライトウェイト |
ぺダル端子 | なし |
コントロール機能 | ジョイスティック、パッド、ノブ |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | AKAI Professional MPC Essentials、SONiVOX Wobble、AIR Music Tech Hybrid 3 |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
Korg(コルグ) | microKEY2-25 AIR
抜群の弾きやすさとBluetoothの便利さでコスパ抜群の1台!
microKEY-25は、MIDI規格上の全ての音域をカバーする事ができる高機能のMIDIキーボードです。ドライバーインストールが不要で、Bluetoothに対応しており、どこでもすぐに使用することができます。
専用エディター・ソフト「KORG KONTROL Editor」も使用できるので、様々なカスタマイズが可能。37・49・61鍵モデルもありますので、表現力を求める方には、鍵盤数の多いモデルもおすすめです。
鍵盤数 | 25 |
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鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ナチュラル |
ぺダル端子 | あり |
コントロール機能 | アルペジエーターボタン・サスティン・タップボタン・ジョイスティック |
パソコンとの接続 | Bluetooth(無線) |
付属DAW | KORG Gadget 2 Le |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
Novation(ノベーション) | Launchkey Mini MK3
メロディーとドラムの打ち込みに適した自宅でのDTMに最適なモデル!
MPK mini MK2に比べると、一回りサイズが大きいため、パッドが叩きやすいです。メロディーとドラムの打ち込みを両方やりたい場合におすすめです。
アルペジエーター、Fixed Chordモードなども搭載されており、Ableton liveと連携すれば、より便利に使うことができるので、Ableton使いの人にもおすすめです。
鍵盤数 | 25 |
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鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ライトウェイト |
ぺダル端子 | なし |
コントロール機能 | パッド、ノブ、タッチコントロール |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | Ableton Live Lite |
iPad/iPhone対応 | 公式情報なし |
③ 持ち運びできるモバイルキーボードのベスト3
次に、持ち運びできるモバイル用に最適なMIDIキーボードのおすすめを紹介していきます。
今回紹介するなかで、最安の価格帯です。
Korg(コルグ) | nanoKEY 2
軽くて安い業界最小のコンパクトMIDIキーボード!
MIDIキーボードの中で、業界最小のコンパクトキーボードです。それでも弾きずらいということはなく、ナチュラルタッチで快適に打ち込みができます。
とてもコンパクトかつ軽いので、カバンの中に入れて気軽に持ち運びできるのが大きなメリットです。値段も5千円以下と、とても安いので初心者の入門用にもおすすめです。
鍵盤数 | 25 |
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鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ナチュラル |
ぺダル端子 | なし |
コントロール機能 | ボタンのみ |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | KORG Gadget 2 Le、KORG Module他 |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
Arturia(アートリア) | Microlab
人に自慢したくなるオシャレなMIDIキーボード!
Arturia製品全般にいえることですが、デザインがオシャレです。カラーバリエーションも3色用意されており、持ち運んで人に自慢したくなるオシャレさです。
また、USBケーブルが本体に収容できたり、ラバー仕上げのカラーボディが衝撃を吸収するなど、モバイル使用には欠かせないメリットがたくさんあります。
鍵盤数 | 25 |
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鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ライトウェイト |
ぺダル端子 | なし |
コントロール機能 | ボタン、タッチセンサー |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | Bitwig Studio 8-Track、Analog Lab Lite他 |
iPad/iPhone対応 | 公式情報なし |
Korg(コルグ) | nanoKEY Studio
コンパクトなのにパッドやノブなど充実の機能盛りだくさんのMIDIキーボード!
nanoKEYには、同じシリーズの「NanoPad」や「NanoControl」など、合わせて使えるMIDIコントローラーが揃っていますが、こちらは1台にこれらの機能を集約したお得なモデルです。
A4に収まるコンパクトサイズでここまで機能が多いモデルはこれだけで、値段も1万円そこそこなので、nanoシリーズを3台買うよりもずっとお得になっています。
鍵盤数 | 25 |
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鍵盤サイズ | ミニキー |
キータッチ | ナチュラル |
ぺダル端子 | なし |
コントロール機能 | パッド、ノブ、タッチコントロール(カオスパッド) |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | Bitwig Studio 8-Track、Analog Lab Lite他 |
iPad/iPhone対応 | 対応可能(公式情報なし) |
② がっつり弾きたい人向けのベスト3
最後に、ミニサイズでは満足いかず、がっつり演奏したい人向けのMIDIキーボードのおすすめを紹介していきます。
M-Audio(エムオーディオ) | Keystation88
業界最安値の88鍵セミウェイト本格MIDIキーボード!
88鍵のキーボードはサイズも大きくなるため、通常、5~10万円くらいはしますが、こちらはたったの2万円代で手に入れられてしまう、超激安の1台です。
色々調べましたが、88鍵のキーボードでこれ以上安く手に入る機種は他にありませんでした。パッドなどのオプション機能はないですが、88鍵セミウェイトでこの値段は本当に安いです。
鍵盤数 | 88 |
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鍵盤サイズ | フルキー |
キータッチ | セミウェイト |
ぺダル端子 | あり |
コントロール機能 | ボタン、ホイール |
パソコンとの接続 | USB |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
NEKTAR(ネクター) | IMPACT LX88+
DTMに必要な機能が全て揃った、完璧な88鍵セミウェイト!
フルキーの88鍵セミウェイト、8つのパッド、8つのノブ、9つのフェーダーと、DTMに必要な機能が全て揃った完璧なMIDIキーボードです。
その割にお値段が安いのが魅力です。NEKTAR社は聞いたことがなくて不安かもしれませんが、これまで日本市場にはあまり流通していなかっただけで、2019年頃より流通を開始しており、海外でも人気のカリフォルニア州のブランドです。
鍵盤数 | 88 |
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鍵盤サイズ | フルキー |
キータッチ | セミウェイト |
ぺダル端子 | あり |
コントロール機能 | ボタン、パッド、フェーダー、ロータリー |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | Bitwig Studio 8-Track、UVI Digital Synsations 他 |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
Roland(ローランド) | A-88 MKⅡ
本物のアコースティックピアノさながらの弾き心地で本格的な音楽制作が可能な1台!
88鍵ハンマー・アクション鍵盤を採用した、キーボードというよりピアノに近い、プロ向けの本格的な機材です。
打ち込みに限らず、これから本格的にピアノを練習したい人にもおすすめです。ピアノを買うよりもはるかに安く手に入るおすすめな1台です。
鍵盤数 | 88 |
---|---|
鍵盤サイズ | フルキー |
キータッチ | セミウェイト(ハンマーアクション) |
ぺダル端子 | あり |
コントロール機能 | ボタン、レバー |
パソコンとの接続 | USB |
付属DAW | Ableton Live Lite |
iPad/iPhone対応 | 対応可能 |
まとめ
MIDIキーボードの選び方と、おすすめの機種について紹介しました。
この記事で紹介した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- MIDIキーボードを買う目的を整理しよう。
- 自分の制作スタイルにあったものを選ぼう。
- 付属ソフトは充実しているかを確認しよう。
- 値段と性能・機能のバランスがとれているか確認しよう。
- iPad/iPhoneで使えるかを確認しよう。
MIDIキーボードは、DTMにおける音楽制作には欠かせない機材のひとつです。
しかし、必要のない機能までカバーされている必要はありません。
音楽制作をスムーズにするために、自分のスタイルに合ったものを選びましょう。