DTMにおいて、最も重要な機能である「打ち込み」。
打ち込みは無限大の可能性を秘めており、最近では、打ち込みだけでメジャーデビューしているアーティストも増えてきました。
そこで、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現状トラックメイカーが、DTMの打ち込みのやり方について、初心者にも分かりやすく解説します。
- DTMの打ち込みとは?
- 打ち込みのやり方は?打ち込みするには何が必要?
Contents
打ち込みとは?
打ち込み(うちこみ)とは、DAWソフトを使って、MIDIデータと呼ばれる演奏データを入力することで、ソフト音源と呼ばれるプラグインで音楽を演奏させることです。
「MIDIって何?」という人は、まず以下の記事から読んでいただくことをおすすめします。
打ち込みを行うためには、以下について理解しておく必要があります。
- 最低限の音楽理論
- DAWで事前準備をする
- ピアノロールを理解する
- MIDIの打ち込み方法を知る
それぞれについて、解説していきます。
最低限の音楽理論を理解する。
MIDIの打ち込みを行うためには、あらかじめ、多少なりとも音楽理論を理解しておく必要があります。
というのも、演奏データというのは、結局「ドレミファソラシド」を入力していく訳です。
そのため、最低限、メロディーやコード進行などについて理解しておかなければ、「打ち込み方が分からない!」ということになるからです。
以下の記事で、DTMに最低限必要な音楽理論について解説していますので、チェックしてみてください。
DAWで事前準備をする。
DAWでの打ち込みをするためには、DAWでの事前準備が必要になります。
そのために、以下について理解していきましょう。
- MIDIトラックの挿入
- プラグインの挿入
① MIDIトラックの挿入
MIDIの打ち込みをするためには、DAWでトラックを立ち上げる必要があります。
「トラック(track)」とは、ボーカル、ギター、ベースなどの各パート毎の音楽情報をタイムラインに沿って記録するために使われる入れ物のことです。
ここで言う音楽情報とは、具体的には音声波形データやMIDI演奏データのことで、DAWのトラックには、以下の2種類があります。
- オーディオトラック
- MIDIトラック(インストゥルメントトラック)
オーディオトラックは、録音した音源(音声波形データ)を記録するための入れ物です。
レコーディングした音声を、このトラックに記録することができます。
一方、MIDIトラック(インストゥルメントトラック)は、MIDIの演奏データを記録する入れ物です。
MIDIで打ち込んだ演奏データは、このMIDIトラックに記録していきます。
ですので、まずはMIDIトラックを挿入しましょう。
これで、MIDIの演奏データを記録するための入れ物ができました。
② プラグインの挿入
MIDIトラックを挿入したら、次にMIDIトラックにプラグインをリンクさせます。
これにより、プラグインがMIDIデータを受信して音を出せる状態になります。
プラグイン一覧の表示場所については、DAWによっても異なりますが、ビューに表示されている「Instrument(インストルメント)」か「Plugin(プラグイン)」などのメニューから選択します。
Ableton Liveの場合、ビューで「Plug-ins(プラグイン)」をクリックすると、プラグインの一覧が表示されます。
好きなプラグインを、先ほど作成したMIDIトラックにドラッグ&ドロップします。
これで、MIDIトラックにプラグインが挿入され、MIDIデータとプラグインがリンクして、演奏可能な状態になりました。
ピアノロールを理解する
MIDIデータの打ち込みは、DAWのピアノロールと呼ばれる画面を使って行います。
ピアノロールの使い方について解説します。
- ピアノロールの見方
- MIDIノートの入力
- 拍子の設定
① ピアノロールの見方
ピアノロールとは、楽譜をグラフィカルに表したものです。
その見た目は、ピアノの鍵盤を横向きに見たような見た目になっています。
ただし、ピアノの場合は、黒鍵が白鍵と白鍵の間に位置していますが、DAWのピアノロールは、白鍵・黒鍵を含めた全ての音が独立した1行として並んでいます。
縦軸は音の高さ(ドレミファソラシド)を表し、横軸はタイムライン(時間の流れ)を表しています。
そのため、楽譜と同じように、ピアノロールを見れば、どんなメロディーなのか分かるようになっています。
② MIDIノートの入力
ピアノロールに入力する線は、「MIDIノート」または単純に「ノート」と呼ばれます。
MIDIノートは、以下の演奏情報を持っています。
- 音の高さ(音高)
- 音の長さ(音価)
- 音の強弱(ベロシティ)
音の高さ(音高)
ピアノロールの縦軸は、音の高さ(音高)を表しています。いわゆる、ドレミファソラシドのことです。
鍵盤には、C1、C2、C3・・・という記号表記がありますが、これは「オクターブ」を表しています。
ピアノでいう、基準となる真ん中の「中央ド(C)」は、C3のド(C)になります。
基準のC3に対して、1オクターブ上がC4、1オクターブ下がC2になります。
音の長さ(音価)
MIDIノートの長さは、音の長さ(音価)を表しています。
ノートの長さが2倍になると、音の長さも2倍になります。これは見たまんまなので分かりやすいですね。
楽譜でいえば、4分音符のノートの長さを2倍にすると、2分音符になります。
ちなみに、音符の話は、ピアノロールというより、音楽理論の話になります。
音の強弱(ベロシティ)
MIDIノートは、ベロシティと呼ばれる、音の強弱情報を持っています。
DAWでは、ベロシティの強弱を、ピアノロールの下部に表示されている縦線を上下にドラッグすることで編集することができます。
ベロシティの強弱をつけることで、サウンドに抑揚をつけることができます。
ベロシティの値は「0~127」の間で設定を行っていきます。
なお、「Ableton Live」では、ノートの色の濃さでベロシティが表現されていますが、「Studio One」では、ノートがメータ表示になっていて、ベロシティが分かるようになっています。
② ピアノロールの拍子設定
ピアノロールには、小節や拍のタイミングの区切りとして、グリッド線が表示されており、これを任意の間隔に設定変更することができます。
ピアノロール上部に表示されている数字で、「1」から「2」までが1小節分の長さになります。
さらに、1小節が4つに分割されていますが、その1つ分の長さの拍を「4分音符」と呼びます。
1小節の中に、4分音符が4つ並んでいるので、このリズムは「4/4拍子」となります。
MIDIの打ち込み方法
打ち込みの方法としては、以下の2つがあります。
- パソコンで打ち込み
- MIDIキーボードを使って打ち込み
① パソコンで打ち込み
パソコンのマウス・キーボードを使って、MIDIノートを打ち込んでいく方法です。これが「打ち込み」と呼ばれる由来になっています。
特別な機材が必要なく、パソコン1台あれば、どこでもMIDI演奏データの作成ができることがメリットです。
ただし、エクセルなどで作業するのと同様に、地道な作業になるので、パソコンの操作に慣れていない人にとっては大変です。
また、長時間マウスで打ち込み作業をすると、当然疲れてきます。
② MIDIキーボードを使って打ち込み
MIDIキーボードを使って、実際に鍵盤を演奏することでMIDIノートを打ち込むこともできます。
DAWでは、MIDIキーボードの演奏記録をリアルタイムでレコーディングすることができます。
そして、その結果はMIDIノートとして自動的にMIDIトラックに記録されるため、後で簡単に修正することができます。
また、手作業で打ち込みをする場合、タイミングやベロシティが揃い過ぎるため、どうしてもパソコン音楽独特の、無機質なサウンドになりがちです。
そこで、MIDIキーボードを使って打ち込むことで、人間らしい微妙なズレが生まれ、自然なリズムをつくることができます。
最近では、本当に安くて高性能なMIDIキーボードが登場していますので、1台持っておくと便利です。
KORG社のmicroKEY2は、値段の割にとても弾きやすく、入門用にピッタリです。
実際、使っている人も多いです。
他にも、おすすめのMIDIキーボードについては、以下の記事でランキング形式で詳しく紹介しています。
まとめ
DAWを使ってMIDIの打ち込みをするために必要なことについて解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 打ち込みだけでもメジャーデビューできるレベルの曲は作れる。
- 打ち込みには、音楽理論が必要。
- 打ち込みには、DAWの機能を知る必要がある。
- 「ピアノロールにMIDIを打ち込むこと」=「楽譜を書くこと」
- MIDIの打ち込みにはMIDIキーボードがおすすめ。
DTMにおける醍醐味ともいえる、打ち込みは、自宅警備員をメディアで引っ張りだこの売れっ子アーティストにできるくらいの無限大の可能性を秘めています。
皆さんも打ち込みをマスターすることで、夢に向かって一歩前進してみてください。