Rolandのクラウドサービス「Roland Cloud」が、2020年5月にいよいよ、日本国内で正式にサービスをスタートさせました。
そこで、今回新しく始まったサービス内容のレビューや、30日間無料トライアルを試して、ソフトシンセを動かしてみた感想をシェアしたいと思います。
また、「動作が重い」というウワサもあるようなので、どの程度の負荷になるかについても、実際に検証してみました。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- 新しくなったRoland Cloudってどんな感じ?
- 動作が重いというウワサは本当?検証してみた結果は?
Contents
Roland Cloudとは?
「Roland Cloud」とは、月額料金を支払うことによってRolandのソフトシンセが使い放題になるサービスのことです。
いわゆるサブスクリプションサービスと呼ばれるもので、JUNOシリーズやTB303などの伝説的なシンセを含む、約60種類以上のプラグインから好きなものを選んで使うことができます。
一般的なプラグインのサブスクは有料のものがほとんどですが、Roland Cloudには、なんと「Freeプラン」なるものが存在しており、ZENOLOGY Lite software synthというシンセが無料で使える、とても太っ腹なサービスなのです。
これまでは、海外向けがメインのサービスであり、国内向けページは準備されてませんでしたが、2020年5月から、国内でも正式にサービスが始まりました。
Roland Cloudの料金プランは?
Roland Cloudの料金プランは、以下の4種類があります。
プラン | 利用料金 |
---|---|
Free | 無料 |
Core | 月額:2.99ドル(約321円) 年額:29.99ドル(約3,223円) |
Pro | 月額:9.99ドル(約1,074円) 年額:99ドル(約10,639円) |
Ultimate | 月額:19.99ドル(約2,148円) 年額:199ドル(約21,386円) |
① Freeプラン
Rolandのユーザー登録(無料)をすると利用することができる、完全無料のプランです。
Freeプランでできることは、以下の通りです。
- ZENOLOGY Liteが使える。
- Lifetime Key(ライフタイムキー)の購入
- Ultimateプランの30日無料トライアル
Lifetime Key(ライフタイムキー)というのは、気に入ったソフト音源の永久ライセンス版として購入する仕組みのことです。
② Coreプラン
Coreプランでできることは、以下の通りです。
- ZENOLOGY(標準版)が使える。
- Lifetime Key(ライフタイムキー)の購入
- ZEN-Core Sound Packsが使える。
③ Proプラン
Proプランでできることは、Coreプランの内容に以下が追加されます。
- ZENOLOGY Proが使える。
- TR-808 and D-50
- All Anthology, Tera, Flavr, Drum Studio
③ Ultimateプラン
Ultimateプランは、Rolandの全プラグインが使えるコンプリートプランです。
利用可能なプラグインの一覧は、以下の通りです。
<参考ページ>
・Roland Cloud Membership
Roland Cloudのメリットは?
サービスの概要が分かったところで、私が感じた「Roland Cloud」を利用するメリットについて、解説していきます。
- 本家のソフトシンセが使い放題
- プラグインの永久ライセンスが買える
- ZENOLOGYが使える
① 本家のソフトシンセが使い放題
言わずもがな、Rolandのシンセには、JUNO、JUPITER、TR-808、SH101など、世界中の楽曲で良く使われている素晴らしいコレクションの数々が揃っています。
実際、プラグイン版のシンセも、多くのメーカーがクローンを開発するくらい人気なのですが、本家のRoland社が開発しているので、クオリティには信頼がもてます。
② Lifetime Key(ライフタイムキー)が使える
これまでRolandのソフトシンセは普通に購入することはできず、月額か年額のサブスクリプションでの利用しかできませんでした。
しかし、今回から、「Lifetime Key(ライフタイムキー)」という永久ライセンスの買い切りシステムが追加されました。
「Rolandのソフトシンセ欲しいけど、サブスクなら要らないな~」という人も多かったと思いますが、個別にシンセが購入できるようになったのは、大きな魅力です。
③ ZENOLOGYが使える
Roland Cloudで利用できるソフトシンセの中でも目玉となる製品が、「ZONOLOGY」です。
Rolandのこれまでの歴史を結集したプラグインで、数千種類以上のサウンド・プリセットが搭載されています。
Roland Cloudの注意点は?
次に、Roland Cloudを実際に使ってみて感じた、「ここはちょっとな~」という点や、利用する上で注意しておきたい点について説明します。
- Legendaryが使えるのはUltimateプランのみ
- Webサイトが少し分かりにくいので注意
① Legendaryが使えるのはUltimateプランのみ
Roland Cloudには、Freeプランに加えて、3つの有料プランがありますが、TR-808などのLegendaryシリーズが使えるのは、最も値段の高い「Ultimateプラン」のみになります。
そのため、人によっては、Lifetime Keyを使って個別に永久ライセンスを購入する方がお得になる場合もあるかと思います。
② Webサイトが少し分かりにくいので注意
これは、国内サービスが始まったばかりなので(2020年5月)で、今後は改善されていくかもしれませんが、Webサイトが少し分かりづらかったです。
というのも、Roland Cloudの紹介ページは国内サイトにあるのですが、Roland Cloudのアカウント作成画面から本部サイトに切り替わるので、混乱しがちです。
国内サイト:https://www.roland.com/jp/promos/about_roland_cloud/
本部サイト:https://www.rolandcloud.com/
Roland Cloudの評判は?
実際にRoland Cloudを利用している日本のDTMerたちの反応も気になりますよね。
そこで、Twitterから利用者たちの声を拾ってみました。
Roland CloudプラグインのCPU負荷は?
「Rolandのプラグインは重い」みたいなウワサもあるようなので、実際にRolandの主要なプラグインを起動して、負荷を検証してみました。
検証に使用したパソコンのスペックは、以下の通りです。
OS | Windows 10 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-6700K(4.20GHz) |
メモリ | 32GB DDR4 SDRAM (16GBx2) |
プラグインを1台だけ起動して演奏させたときのCPU負荷は、以下の通りでした(2020年5月時点)。
プラグイン | CPU負荷 |
---|---|
TR-909 | 8% |
TR-808 | 8% |
TB-303 | 6% |
SH-101 | 7% |
JUPITER-8 | 13% |
JUNO-106 | 10% |
JUPITER-8、JUNO-106は確かにちょっと重く感じましたので、パソコンのスペックはそれなりに必要かもしれません。
Roland Cloud無料トライアルの始め方は?
「さっそく、Roland Cloudを試してみたい!」という人のために、無料トライアルの始め方について、手順を追って説明します。
- Rolandアカウントの作成
- Roland Coloud Managerの導入
- 無料トライアルのお試し
① Rolandアカウントの作成
最初に、Roland Cloudのサインアップページにアクセスします。
メールアドレスを入力して[送信]をクリックします。
次に、アカウント情報を入力します。ここは日本語なので特に問題ないかと思います。
入力内容に誤りがなければ、以下の画面が表示されるので、メールを確認します。
メール本文にある[アカウント認証]をクリックします。
クリックすると、画面右下に「アクティベーションが完了しました」と表示されるので、そのまま作成したアカウントでログインします。
これで、アカウントの作成が完了してマイページにログインできましたので、[トップページへ移動]をクリックします。
② Roland Coloud Managerの導入
Roland Cloudのトップページ画面上部にある[Roland Cloud Manager]をクリックします。
Roland Cloud Managerのページで、少しスクロールしたところにある[DOWNLOADS]をクリックします。
お使いのOSを選んで、Roland Cloud Managerのインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードした.exeファイルを実行してインストールします。
インストールしたら、アプリが自動で立ち上がりますので、先ほど作成したRolandのアカウントでログインします。
※アプリが起動しない場合は、スタートメニューから起動してください。
ログインに成功すると、Cloud Managerが起動します。
※このとき、インターネットに接続している必要があります。
ここで、たとえば[ライブラリ]をクリックしてみます。
Cloud Managerにログインした時点で、Freeプランが開始していますので、ZENOLOGY liteを含むコンテンツがダウンロードできるようになっています。
③ 無料トライアルのお試し
続いて無料トライアルを開始するために、[Membership]をクリックします。
すると、プラン一覧が表示されるので、無料トライアルを試したい月額プランを選択します。
※無料トライアルは、Core、Pro、Ultimateいずれのプランでもお試しすることができます。
プラン詳細画面に移動しますので、画面右上の[今すぐ入手]をクリックします。
すると、ブラウザが立ち上がり、購入画面が開きますので、[続ける]をクリックします。
続いて、支払い方法(クレジットカード/PayPal)を選択します。
※なぜかVISAを選ぶと上手くいかない場合があるので、クレジットカードの場合は[クレジットカード]を選択します。
クレジットカードの場合は、支払い情報を入力して、[保存]をクリックします。
クレジットカードの支払いが完了したら、「サブスクリプションが有効化されました!」と表示されます。
この状態で、再びCloud Managerを開くと、「購入が完了しました」と表示されています。
[ライブラリ]をクリックすると、Ultimateプランのコンテンツが増えています。
試しに、ドラムマシンの「TR-909」をインストールしてみます。
インストールが完了したら、DAWを起動します。
すると、先ほどインストールしたTR-909が使えるようになっています。
Roland Cloudのプランの解約や変更方法は?
Roland Cloudの無料トライアルを無料のまま終了したい場合や、利用中のプランを解約したい場合の方法についても、参考までに解説しておきます。
- プラン解約
- プラン変更
① プラン解約
利用中のプランを解約するには、Cloud Managerの左下のアカウントマークをクリックして、[アカウント管理]をクリックするか、アカウントページに直接アクセスします。
現在のプラン情報が表示されているので、[キャンセル]をクリックします。
キャンセル理由(日本語でもOK)を入力して、[CANCEL SUBSCRIPTION]をクリックすると、解約完了です。
② プラン変更
トライアル中にプラン変更することはできないので、先ほどの手順で、利用中のプランをキャンセルしてから、別のプランを申し込みます。
※無料トライアルは1回しかお試しできませんので、次からは有料になります。
本プラン利用中であれば、Cloud Managerの[Membership]からプランを変更できます。
※プラン変更の適用は、たとえば月額プランなら翌月以降になります。
まとめ
新しく日本でサービスが始まったRoland Cloudについて、その内容のレビューから、無料トライアルの始め方まで、なるべく分かりやすく解説しました。
この記事の内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Roland Cloudは、月額でソフトシンセが利用できるサブスクリプションサービス。
- 無料のFreeプランが存在し、ZENOLOGYが使える。
- Lifetime Keyで個別に永久ライセンスが購入できる。
- プラグインの種類によって負荷に差がある。
今回、Roland Cloudを使ってみて、本当に良いサービスになったと素直に感じました。
なかでも、Lifetime Keyで普通にRolandのソフトシンセが購入できるようになったことが一番大きなメリットではないかと思います。
ぜひ、皆さんも無料トライアルから初めてみてください。
また、他のサブスクも気になる人は、以下の記事もチェックしてみてください。