これからDTMを始めようとしている人へ。
DTMはパソコンだけでなく、iPad/iPhoneなどのモバイル端末を使ってもできる時代になりました。
ですが、実際にどちらが良いのか気になりますよね。
そこで、両者のメリット、デメリットをまとめてみました。
- パソコンとiPad/iPhoneどちらがDTMに適している?
- それぞれのメリット・デメリットは?
Contents
DTMやるならパソコンとiPad/iPhoneどちらが良い?
以下の5つの項目ごとに、パソコンとモバイルのどちらが優れているかを比較していきます。
- ソフトやハード機材の対応状況は?
- 安いのは?
- 動作が快適なのは?
- 操作性が良いのは?
- 外出先や現場で使えるのは?
ソフトやハード機材の対応状況は?
主な機材である、以下の3つについて、対応状況を比較していきます。
- 対応DAWソフト
- 対応プラグイン
- 対応オーディオインターフェイス
① 対応DAWソフト
対応しているDAWソフトについて、数だけで言えば、パソコン用のDAWの方が数が多いです。
しかし、需要の高まりに応じて、モバイル対応のDAWもどんどん増えてきています。
DAWソフトの種類はたくさんありますが、その中でも音楽制作に使える評価の高いものだけを一覧にしました。
代表的なパソコン用のDAWソフト | 代表的なモバイル用のDAWアプリ |
---|---|
・Cubase ・Ableton Live ・FL Studio ・Studio one ・Pro Tools ・Logic Pro ・Digital Performer | ・Cubasis ・FL Studio mobile ・GarageBand ・Auria pro ・Zenbeats |
パソコン用のDAWソフトの方が選択肢は多いですが、モバイル用のDAWアプリも、十分な選択肢があります(2020年1月時点の調査結果)。
② 対応プラグイン
対応プラグインに関しては、2020年1月時点では、数で言えば圧倒的にパソコン用のプラグインの方が多いです。
なかでも、無料のプラグインに関しては、WindowsやMacに対応したものは、クオリティの高いものがたくさん存在していますが、モバイル版は、まだまだそういうものは少ないです。
プラグインのクオリティは、DTMにおいて非常に重要な役割を担ってきます。ので、
モバイルプラグインの強い味方
とはいえ、モバイル対応のプラグインにも、「ソフト音源はこれだけあれば十分かも」と思えてしまうような頼もしいプラグインアプリが登場しています。
「KORG gadget 2」がそのひとつです。
数々の伝説的なシンセサイザーを開発してきたKORG社によるプラグインが40種類以上付属しており、音質・機能ともに、iOS/iPadOSのプラグインアプリの中では、トップクラスのクオリティです。
こういうアプリを使うことで、iPad/iPhoneでも、十分、DTMが行うことができます。
③ 対応オーディオインターフェイス
モバイルDTMで使えるオーディオインターフェイスも、色々なものが登場しています。
しかし、パソコン・モバイル環境において、オーディオインターフェイスの比較ポイントとしては、音質にこだわりたいかどうかです。
というのも、ハイエンドモデルになると、モバイル用は、選択肢が少なくなります。
総合判定
機材の対応状況の比較結果をまとめると、以下の通りです。
- 対応DAWソフト:
どちらでも十分制作可能。 - 対応プラグイン:
パソコンが優勢。 - 対応オーディオインターフェイス:
ハイエンドモデルになるとパソコンが優勢。
総合的に判断すると、機材の対応状況としては、やはりまだパソコンの方が優勢と言えます。
安いのは?
パソコンとモバイルそれぞれの環境で、DTMを始めるにあたって、初期投資とその後の維持費用では、どんな違いがあるかについて、解説していきます。
- 初期投資はどう違う?
- 維持費用はどう違う?
① 初期投資はどう違う?
まずは、DTMを始める時にかかる導入コストについて、説明していきます。
パソコンDTMの初期費用
パソコンでDTMを始める場合、初期費用がそれなりにかかります。
というのも、パソコンとDAWソフトの値段が高いからです。
パソコンは安いものでも、10万円程度しますし、快適にDTMができるスペックを選べば、もっと価格は高くなります。
DAWソフトについても、最も安い価格帯のDAWソフトであるPresonusのStudio oneシリーズでも、1万円程度します。
また、付属のプラグインが充実したDAWソフトを選ぶと、3万~5万円くらいは必要になってきます。
モバイルDTMの初期費用
モバイルなら、お手軽にDTMを始めることができます。
iPadやiPhoneなどの端末自体がパソコンに比べると、かなり安く手に入るからです。
また、iPhoneなどの携帯端末であれば、多くの人がすでに持っているため、新たに端末を新調する必要がありません。
さらに、モバイル用のDAWアプリが、数千円でダウンロードできるため、パソコンに比べると、比較的、気軽にDTMを始めることができます。
② 維持費用はどう違う?
次に、DTMを始めた後に、追加で必要となるコストについて、説明していきます。
パソコンDTMの維持費用
パソコン用のDAWソフトの場合、初期投資がかかる代わりに、最初から必要な機能やプラグインが一通り揃っているものが多いです。
そのため、基本的には、追加コストはかかりません。
ただし、付属されているプラグインの数は、DAWソフトのエディションによって変わり、値段の高い上位エディションであるほど、付属プラグインの数は多くなります。
モバイルDTMの維持費用
モバイルDTMの特徴は、以下の通りです。
- デフォルトだと、最小限の機能だけしか使えないものが多い。
- 必要な機能やプラグインは、別途アプリ内課金して追加する。
モバイルの場合、最初にDAWアプリをインストールした状態では、ほとんどプラグインが付属されていないため、必要なものをアプリ内課金して追加していくことになります。
そのため、パソコンと同じくらいの種類のプラグインを揃えようと思うと、結局、それなりに追加費用がかかってしまいます。
初期投資が安く、必要な機能だけ買い足していけるモバイル用の方が、コストメリットが大きいです。
動作が快適なのは?
それでは、実際の音楽制作を行う場合に、動作が快適なのは、どちらの環境でしょうか。
① パソコンDTMの動作
パソコンの場合、必要なだけメモリを搭載できることがメリットです。
DTMに必要なスペックのパソコンを用意すれば、音楽制作をしていく中で、トラック数が増えても、ストレスを感じることなく、快適に作業することができます。
また、パソコンの動作が遅くなってきたら、後からメモリを追加してスペックアップすることもできます。
※メモリ増築できないタイプもあるので、購入前に仕様を確認しましょう。
② モバイルDTMの動作
モバイル環境の場合、iPadのメモリが基本3GBで、最大でも、iPad Proの6GBですので、トラック数が増えてくると、若干ストレスを感じるかもしれません。
iPadのシリーズのメモリ容量は、以下の通りです。
iPadシリーズ | メモリ容量 |
---|---|
iPad | 3GB |
iPad Air | 3GB |
iPad Pro | 4GB(1Tモデルは6GB) |
パソコンの方が、ハイスペックな環境を整えやすいです。
操作性は?
操作性を考えたときに、それぞれの環境でどんな感じになるのかについて、解説します。
パソコンDTMの操作性
パソコン環境の最大のメリットは、大きなモニターで、複数のウィンドウを同時に表示しながら作業できるところです。
DAWソフトでは、主に、以下のようなビューを見ながら作業を行います。
- アレンジメントビュー
- ピアノロール
- プラグイン
これらの画面を同時に表示しながら作業できるのは、とても快適です。
また、そもそもマウス・キーボードを使って操作するため、何をするにしても、ストレス無く快適に作業できます。
モバイルDTMの操作性
モバイルDTMの操作性についての特徴は、以下の通りです。
- 1画面に1台のプラグインしか表示できないので画面切り替えが少し面倒。
- タッチパネル操作なので慣れるまでしんどい。
モバイル環境の場合は、基本的に同時に1つのビューしか立ち上げることができません。
そのため、画面を切り替えながら作業をすることになりますが、これが人によっては結構ストレスになります。
また、モバイル端末はそもそもタッチパネル操作なので、マウス・キーボードに比べると、慣れるまでは、操作しづらさを感じるかもしれません。
モニターに複数のウィンドウを同時に表示して、作業できるパソコンの方が操作性は良いです。
モバイルDTMの操作性を向上させるには?
モバイルDTMの操作性を向上させる方法としては、iPadOSを使うことです。
iPadOSであれば、マルチタスク機能により、2つまで同時に画面を立ち上げることができます。
また、Bluetoothのマウス・キーボードの接続にも対応していますので、タッチパネル操作と併用して快適に操作することができます。
<参考URL>
・Apple:iPadでマルチタスク機能を使う
・サンワサプライ:iPadOSでのマウスの接続方法
外出先や現場でも使える?
外出先や、ライブスタジオ、クラブなどでも使うことを考えた場合に、どちらを選んだ方が良いかについて解説します。
パソコンの携帯性
パソコン環境の場合、ノートパソコンであれば、持ち運びはできますが、電車の中で立ち上げて作業するのはちょっと難しいかもしれません。
ただし、ライブスタジオでバンド演奏を録音・編集したり、クラブでライブセットやDJなどを行うことを考えると、パソコンとしての十分なスペックを持っているノートパソコンであれば、安心できますね。
モバイルの携帯性
モバイル端末の最大のメリットは、どこでも持ち運んで使うことができることですよね。
ノートパソコンと比較しても、圧倒的に薄くて軽いので、移動中や電車の中でも違和感なく使うことができます。
電車でも使えて、ライブにも使えるモバイル端末がとても便利。
それでも決められない人におすすめの提案
両方のメリット・デメリットを理解すると、逆にどちらか一方に決められないかもしれません。
- デスクトップパソコン&iPad両刀使い
- ノートパソコン
① デスクトップパソコン&iPad両刀使い
自宅ではデスクトップパソコンを使って音楽制作を行い、出先ではiPadを使って、自宅で作ったトラックの調整など、補助的な作業をするというのが、最も快適でおすすめなスタイルです。
CubaseというDAWソフトの場合、モバイル用のDAWアプリCubasisをiPad/iPhoneで使うと、相互にプロジェクトファイルを同期できます。
これにより、どこにいても、好きな時に音楽制作を再開することができて、かなり便利です。
確かに、これらを両方揃えるとなると、かなりの初期費用が必要になります。
しかし、WindowsOSのデスクトップパソコンの場合、DTMに必要な部分だけに絞ってスペックを選べば、意外と安く購入することができます。
デスクトップパソコンの選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。
② ノートパソコン
ノートパソコンは、パソコンの多機能さと、モバイルの携帯性を両方兼ねそろえたオールラウンダーな端末です。
Windows/MacOSを使うことができるため、プラグインをたくさん使えるなど、高機能なパソコン環境のメリットを活かすことができます。
また、ライブセットにも使えるため、将来的にライブをすることを考える人のファーストチョイスにもおすすめです。
まとめ
DTMをやるならパソコンとモバイルどちらが良いかについて、5つの観点で比較評価しました。
比較結果をまとめると、以下の通りです。
- ソフトやハード機材の対応状況はパソコンが優勢。
- コストパフォーマンスはモバイルが優勢。
- 動作が快適なのはパソコン。
- 操作性が良いのはパソコン。
- 外出先や現場で使えるのはモバイル。
- どちらか決めきれない人は、ハイブリッド型がおすすめ。
音楽制作をすることだけを考えれば、やはりパソコン環境の方が快適なのは間違いないです。
ただし、手軽に始められるコストメリットや、出先やライブでも使える便利さなど、幅広い用途で活用できるモバイル環境も魅力は大きいですよね。
なお、DTM用のパソコンの選び方については、以下の記事でくわしく解説しています。