DTMerなら誰もが一度は聞いたことのある超定番シンセ「Sylenth1」。
新しいシンセが次々と登場している2020年の今でもまだ購入する価値があるのかどうかについて、そのメリット・デメリットや、どういう人に向いているのかなどをレビューしてみました。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Sylenth1のメリット・デメリットは?
- どんな人におすすめ?
Contents
Sylenth1とは?
「Sylenth1(サイレンス・ワン)」とは、オランダのLennar Digital(レナ―デジタル)社の開発するアナログシンセをモデリングした減算方式のソフトシンセです。
豊富なプリセットと、出音の良さ、操作性、安定した軽さなどから、多くのファンに愛され続けています。
2006年に最初にリリースされてから10年以上が経過した今でも、多くのアーティストに使われ続けている超定番シンセで、メーカーサポートやアップデートも現役対応中です。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 139ユーロ(約16,400円) |
音源方式 | VA(減算方式) |
プリセット音色 | 3,000以上 |
オシレータ | 4個 VA波形:8以上 |
フィルター | 3以上 |
エフェクト | 8以上 |
Sylenth1の価格は?
Sylenth1には、通常購入する方法と、月額利用する2つの買い方があります。
それぞれの価格は、以下の通りです。
購入方法 | 価格 |
---|---|
通常購入 | 139ユーロ(約16,400円) |
月額利用(Rent-To-Own) | 9.95ユーロ(約1,200円) ※14ヵ月払い |
月額利用の場合は、いわゆる「Rent-To-Own」という方式で、いつでも途中で利用を止めることができ、Lennar Digitalのユーザーアカウントを削除しない限り、また再び途中から支払いを再開することができます。
また、支払い期間が完了したら、Sylenth1の永久ライセンスを手に入れることができます。
ちなみに、月額でプラグインが利用できるサービスは、他にもたくさんあるので、気になる人は、以下の記事を参考にしてみてください。
Sylenth1を使うメリットは?
それでは、このソフトシンセのメリットについて、より詳しく説明していきますね。
- 出音が良い
- プリセットが豊富
- シンプルなUIで操作が分かりやすい
- 負荷が軽く動作が安定している
① 出音が良い
メリットの一つ目は、その出音の良さです。
Sylenth1は、アナログシンセの電子回路をソフトウェアのプログラムで再現した、いわゆるVA(バーチャルアナログ)シンセですが、その再現度合がとても高いです。
特に重要なオシレーター、フィルターのクオリティが高く、これが多くのアーティストに支持されてきた理由です。
② プリセットが豊富
2つ目のメリットは、プリセットが豊富なことです。
ファクトリープリセットだけでも3,000種類が搭載されており、さらに世の中にはSylenth1のプリセットパックがたくさん販売されています。
たとえば、LoopmastersのFree Sylenth1 Presetsは、無料なので、とりあえずもらっておきましょう。
ちなみに、Loopmastersの使い方は、以下の記事を参考にしてください。
③ シンプルなUIで操作が分かりやすい
新しく発売されたソフトシンセほど、付加価値として機能が色々と搭載されている複雑なものが多いです。
一方、Sylenth1は、アナログシンセサイザーの最も基本的な減算方式を忠実に再現しており、余計な機能はほとんどありません。
そのため、操作がとても分かりやすく、初心者がシンセの基本を勉強しながら使い方を覚えるのにも最適なソフトシンセといえます。
④ 負荷が軽く動作が安定している
4つ目のメリットは、プラグイン自体の負荷が軽いことです。
まず、何よりも起動がとても軽いです。Ableton liveの付属シンセも軽いですが、それと同じくらい軽いです。
実際に、1台を起動して演奏させたときのCPU負荷は、ほとんどが2%以下で、重いプリセットでも3%程度でした。
なので、複数個同時に立ち上げても全然平気ですし、これはDTMにおいて重要なポイントだと思います。
Sylenth1を利用する上での注意点は?
次に、これから購入することを検討している人のために、「ここはちょっと注意した方が良い」というポイントについて解説します。
- ワブルベースなど動きのある音は作りづらい
- プリセット音色が他の人と被りやすい
① ワブルベースなど動きのある音は作りづらい
Sylenth1だけに限った話ではなく、減算方式のシンプルなVAシンセの全てに当てはまる話ですが、ワブルベースなどの動きのある音は、作るのが難しいです。
そのため、動きのある音を作りたい場合は、それを得意としているウェーブテーブル方式のシンセを使った方が早いです。
② プリセット音色が他の人と被りやすい
10年間ベストセラーシンセとして愛されてきたということは、それだけ多くの楽曲で使われてきたということです。
そのため、3,000種類近くあるとはいえ、特にプリセット音色をデフォルトのまま使うと、既存の曲と被りやすくなります。
Sylenth1のお試し方法は?
デモ版には、以下の機能制限があります。
- 60秒に1回「Thank you for trying this demo」という音声が流れる。
- モジュレーション機能が1個づつしか使えない。
- プリセットの保存とエクスポートができない。
- プリセットは256種類だけ試聴できる。
- スキンは変更できない。
また、デモ版は、ユーザー登録やアクティベーションが必要なく、ダウンロードするだけですぐにお試しできます。
- デモのダウンロードとインストール
- DAW上でプラグインを起動
① デモのダウンロードとインストール
まず、Lennar DigitalのSylenth1デモ版ダウンロードページにアクセスします。
お使いのOSに合わせてインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルを解凍して、.exeファイルを実行します。
② DAW上でプラグインを起動
インストールが完了したら、お使いのDAWを起動して、プラグインを起動します。
このとき、プラグインが選択肢になかったり、起動しない場合は、以下の記事を参考にして設定を見直してみてください。
Sylenth1の使い方は?
Sylenth1はアナログシンセサイザーの基本形である減算方式を忠実に再現しており、余計な機能は全くありません。
そのため、とても使いやすいです。
- プリセットの選択
- スキンの変更
- オシレーターの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- モジュレーションの使い方
① プリセットの選択
プリセットの選択は、真ん中のウィンドウで行います。
プリセット名をクリックすると、一覧が表示されます。また、プリセット名の右横にある[◀▶]で前後のプリセットに切り替えられます。
左横の[1、2、3、4]は、バンク(1バンクに128種類のプリセット)を切り替えます。
ちなみに、イニシャライズ(デフォルトの音に戻す)したい場合は、[Preset]→[Clear | Init]を選択します。
② スキンの変更
スキンの変更は、[MENU]→[Skin]で設定できます。
なお、製品版だとデフォルトで8種類のスキンが選べます。
③ オシレーターの使い方
オシレーターは、A1/A2、B1/B2の計4個搭載されています。
[WAVE]をクリックすると、8種類のアナログモデリング波形から好きなものを選択することができます。
このVAオシレーターは、倍音をたくさん含んでいて、リッチな音がします。
- サイン波
- ノコギリ波
- 三角波
- 矩形波(パルス幅3段階)
- ノコギリ+三角
- ノイズ
④ フィルターの使い方
フィルターは、オシレーターA/B用のフィルターが1個づつと、マスターにかかる[FILTER CONTROL]があります。
- バイパス(フィルター無し)
- ローパス(高域カット)
- バンドパス(高域・低域カット)
- ハイパス(低域カット)
⑤ エフェクトの使い方
エフェクトは全部で8種類です。
基本的に必要なものは全て揃っており、機能的にも申し分ありません。
- アルペジエイター
- ディストーション
- フェイザー
- コーラス
- イコライザー
- ディレイ
- リバーブ
- コンプレッサー
⑥ モジュレーションの使い方
モジュレーションは、エンベロープ×2個、LFO×2個が搭載されています。
それぞれ、2つのパラメータにアサインすることができます(合計8アサイン)。
アナログシンセに搭載されている、基本的なモジュレーション機能を兼ね揃えています。
まとめ
Lennar Digitalのソフトシンセ「Sylenth1」について、2020年の今でも多くの人に支持される理由について改めて考察してみました。
この記事の内容をまとめると、以下の通りです。
- Sylenth1は、アナログシンセをモデリングした減算方式のVAシンセ。
- 出音が良く、負荷も軽いため、多くのアーティストから10年以上愛され続けている。
- プリセットが豊富で、操作も分かりやすいので、初心者の最初の1台としてもおすすめ。
- 通常購入する方法の他に、月額利用するプランもある。
改めてレビューし直してみましたが、Sylenth1は、VAシンセのお手本となる、良いソフトシンセなので、愛され続けている理由も納得できます。
もし、これから最初の1台を購入しようとしている初心者の人で、音作りもちゃんとしたい派の人にとって、とても良い選択肢だと思います。
逆に、音作りにこだわるより、プリセットを使ってどんどん曲作りをしたい人は、「Nexus 3」の方がおすすめかもしれません。
なお、他にもおすすめが知りたい人は、以下の記事もご覧になってみてください。