UVIの複合型ソフトシンセ「Falcon 2」についてレビューを行った結果をシェアします。
他のシンセにはない機能を中心に、そのメリット・デメリットから、使い方までを、なるべく分かりやすく解説します。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Falcon 2ってどんなシンセ?他のシンセとの違いは?
- Falconの音質の特徴や、CPU負荷は?
Falcon 2とは?
「Falcon 2(ファルコン 2)」とは、プラグインで有名なフランスのUVI(ユーブイアイ)社が開発しているソフトシンセです。
VA(バーチャルアナログ)、加算、FM、ノイズ、ウェーブテーブルの音源方式に加えて、7種類のサンプラーを搭載した、多機能な複合型のソフトシンセです。
さらには、80種類以上の高品位なエフェクトや、アルペジエイターなども搭載されているため、これ1台で曲作りが完結してしまうほど万能なシンセになっています。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 38,500円 ※2020年5月時点(サウンドハウスで最新価格を確認) |
発売時期 | 2019年(Ver1は2015年) |
音源方式 | 複合型(VA、加算、FM、ノイズ、ウェーブテーブル) |
プリセット音色 | 1,000以上 |
オシレータ | 無制限(PC性能による) サンプリングオシレーター:7以上 シンセシスオシレーター:8以上 |
フィルター | 18以上 |
エフェクト | 80以上(フィルター含む) |
なお、「シンセの方式の違いって何?」という人は、以下の記事を参考にしてみてください。
それでは、このシンセをレビューした結果について解説していきます。
Falcon 2を使うメリットは?
基本的な概要が分かったところで、このソフトシンセの魅力を解説します。
- 多彩なオシレーターで幅広い音作りができる
- シンセだけでなく強力なサンプラーとしても使える
- GUIが見やすくてオシャレ
① 多彩なオシレーターで幅広い音作りができる
複合型のソフトシンセであるFalcon 2は、1台で一般的な音源方式のほとんどをカバーしています。
VA(バーチャルアナログ)、加算、FM、ウェーブテーブルに加えて、ドラムやオルガン、プラック(弦振動)の音作りに特化したオシレーターエンジンまで搭載しているので、もはや作れない音が無いほどに多機能です。
さらに、これらのオシレーターは、同時に起動できる数に制限はありません(PCの性能次第)。
② シンセだけでなく強力なサンプラーとしても使える
Fancon 2の目玉機能は、オシレーターだけではありません。
サンプリングオシレーターという名称のサンプラーが7種類搭載されており、DAWのようにサンプル音源をストレッチしたり、グラニュラーシンセとして使えます。
そのため、1台でシンセサイザー兼サンプラーとして使えてしまうのです。
③ GUIが見やすくてオシャレ
本製品は、2019年にVer2にグレードアップしたばかりということもあり、見た目のデザインがとてもキレイで見やすいです。
特にウェーブテーブルオシレーターの波形や、各エフェクトなどのインターフェイスが見やすくて、つい操作したくなる感じです。
ソフトシンセのルックスや操作性は、音楽制作のモチベーションに影響するので、意外と重要なポイントです。
Falcon 2を購入する前の注意事項は?
購入前に注意しておきたいポイントを解説します。
- 他の複合型シンセより値段が高い
- デモ版をお試しすることができない
- 使い方によっては負荷が高くなる
① 他の複合型シンセより値段が高い
ここまで多機能なFalcon 2ですが、その分、値段が高くなっています。
複合型のソフトシンセの価格相場が2万円前後であるのに対して、4万円弱と、高額な価格設定になっています。
そのため、なかなか購入を即決できる人は少ないでしょう。
② デモ版をお試しすることができない
Falcon 2は、残念ながら、今のところデモ版でお試しすることはできません(2020年5月時点の情報)。
そのため、冒頭のデモ動画で雰囲気を知ってもらうか、この記事の後半で解説する使い方を見てイメージしてもらうしかありません。
③ 使い方によっては負荷が高くなる
Falcon 2で起動できるオシレーターの数は無制限となっていますが、たくさん起動すれば、当然重くなります。
なお、実際の負荷については検証できていません。
そのため、あくまで憶測でしかないですが、オシレーターの起動数(特にウェーブテーブル)を増やすと負荷が高くなるのは間違いないでしょう。
Falcon 2の購入方法は?
買い方は、以下の通り、色々あります。
- UVIの公式サイト
- サウンドハウス
- Beatcloud
- Amazon、楽天、Yahooショッピング
① UVIの公式サイト
まずは、UVIの公式サイトから購入する方法です。
購入ページは日本語になっていますので、そこまで困らないでしょう。
② サウンドハウス
多くのDTMerに人気の販売サイト「サウンドハウス」でも購入できます。
ポイント10倍になっており、10%(3,850円分)が貰えますので、お得です。
③ Beatcloud
Beatcloudはプラグインの販売代理店です。
こちらもサウンドハウス同様に、10%(3,850円分)のポイントが貰えます。
④ Amazon、楽天、Yahooショッピング
どこも値段は同じで、38,500円(2020年5月時点)です。
ポイント還元率は特別高くはないようですが、いつも使っているサイトであれば、ポイントを使いやすいですね。
Falcon 2の使い方は?
それでは、このシンセの各機能について、使い方がイメージできる程度で簡単に解説していきます。
より詳しく知りたい人は、Falcon 2の公式マニュアルを参照してください。
- プリセットの選択
- 画面サイズの変更
- オシレーターの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- モジュレーションの使い方
① プリセットの選択
プリセットを選ぶには、画面左側の[Empty]をダブルクリックします。
するとファイルブラウザが開いてプリセットを選ぶことができます。
② 画面サイズの変更
画面上部のスパナマークをクリックして、メニューからサイズ(3段階)を選択します。
なお、スキンはデフォルトで1種類のみで変更はできないようです。
③ オシレーターの使い方
Falcon 2には、通常の音源方式のシンセシスオシレーターと、サンプリングオシレーターの2つのタイプが搭載されています。
それぞれのユニットの種類は、以下の通りです。
シンセシスオシレーター | サンプリングオシレーター |
---|---|
加算合成 | サンプル |
アナログ | スライス |
アナログスタック | ストレッチ |
ドラム | IRCAMグラニュラー |
FM | IRCAMマルチグラニュラー |
ノイズ | スクラブ |
オルガン | IRCAMストレッチ |
プラック | |
ウェーブテーブル |
④ フィルターの使い方
Falcon 2のフィルターは、エフェクトの一部として、18種類が搭載されています。
⑤ エフェクトの使い方
内蔵エフェクトは、全部で80種類を使うことができます。
⑥ モジュレーションの使い方
ソースは、AHD、Analog ADSR、Attack Decay、DAHDSR、Drunk、LFO、Multi Envelope、Step Envelopeの8種類を使うことができます。
また、「Mapper Editor(マッパーエディタ)」と呼ばれる画面で、モジュレーションの適用割合を時間変化させることもできます。
まとめ
UVIのソフトシンセ「Falcon 2」について、その機能の中身をメインにレビューしてみました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Falcon 2は、フランスのUVIが開発する複合型ソフトシンセ。
- 8種類の音源方式によるオシレーターと7種類のサンプラーを兼ね揃えている。
- オシレーターの同時起動数に制限はなく、とことん音を作り込める。
- 複合型ソフトシンセの中でもかなり値段が高い。
- デモがないので、購入する覚悟を決めづらい。
Falcon 2は、オシレーターの種類がとても多く、幅広い音作りをカバーすることができることは間違いありません。
その分、それなりの予算が必要になりますが、「とにかく1台のソフトシンセを徹底的に使いこなしたい!」という人には、おすすめするのに申し分のないシンセだと思いました。
なお、他にもおすすめが知りたいという人には、以下の記事もご覧になってください。