発売されてから10年近く経つのに、多くの海外メディアで常にランキング上位に入っているu-heのアナログモデリングシンセ「Diva」。
なぜ、ここまで高い評価を受け続けているのか、2020年時点で再度レビューを行い、今でも購入する価値があるのかを判断してみました。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Divaはなぜ今でも人気なの?何が優れているの?
- Divaはどんな人が使うのに向いている?
Contents
u-he Divaとは?
「Diva(ディーバ)」とは、u-he(ユーヒー)社の開発するアナログモデリングの減算方式のソフトシンセです。
本物に近いアナログサウンドが出せるソフトシンセとして、リリースから10年近くたった今でも世界中のアーティストから高い評価を得ています。
2020年現在でも、Divaを超えるアナログサウンドを出せるソフトシンセはそうそう無いです。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 22,000円 |
発売時期 | 2011年 |
音源方式 | VA(減算方式) |
プリセット音色 | 1,200以上 |
オシレータ | 搭載数:4 種類:5 |
フィルター | 搭載数:1 種類:5 |
エフェクト | 搭載数:2 種類:6 |
また、リリース当初は、負荷が重いことでも有名でしたが、いくたび繰り返されてきたアップデートにより、2020年の現在では、かなり改善されています。
u-he Divaを使うメリットは?
それでは、Divaのどこがスゴイのかについて、もう少し詳しく解説していきますね。
- 出音が素晴らしい
- 幅広い音作りができる
- オシロスコープで波形が見える
- 日本ではそこまで有名じゃない
① 出音が素晴らしい
上記は、伝説のアナログシンセ「Obrheim OB8」とDivaの出音を比べた動画です(ちなみにこれは別メーカーが作ったプリセット)。
正解はSynth:Aです。
おそらくプロでも分からないレベルじゃないか思いますが、それほど、Divaのアナログ感の再現精度が高いということです。
この、他のシンセを圧倒する出音のアナログ感が、今でもDivaが支持され続けている1番の理由です。
② 幅広い音作りができる

Divaは、アナログシンセと同様の減算方式の設計になっていますが、オシレータとフィルターをそれぞれ5種類から切り替えることができます。
オシレータ波形ではなく、音源を生成するオシレータ自体を、モデリングされたタイプ別にパラメータごと変えられるというのは、他のシンセには無い最大の特徴です。
これらの、こだわりのオシレーターとフィルターにより、Divaは、たった1台で、以下の伝説のアナログシンセのサウンドを忠実に再現できるのです。
- Moog Minimoog Model D
- Roland Jupiter-6, Jupiter-8
- Roland Alpha Juno, Juno-60
- Korg MS-20
- Roland JP-8000
③ オシロスコープで波形が見える

Divaには、オシロスコープが付いており、リアルタイムで波形を確認することができます。
これが意外と便利で、パラメータを操作したときの音の変化が視覚的に分かるので、とても勉強になります。
VAシンセでスコープ機能が付いているものは意外に少ないので貴重な機能です。
④ 日本ではそこまで有名じゃない

Divaは日本国内では、特に初心者DTMerにはそこまで人気がありません(プロの間では普通に有名ですが)。
というのも、国内のソフトシンセ市場としては、メディアによる宣伝効果もあり、もっと後発のSerum(2016年)や、Massive X(2018年)などのシンセの方が有名なためです。
ということは、逆に他の人と音が被りづらいというメリットがあります。
u-he Divaを使う上での注意点は?
次に、Divaをこれから購入しようとしている人のために、注意しておきたいポイントも説明します。
- 負荷がやや重い
- 動きのある音を作るのは苦手
① 負荷がやや重い
ここまで精度の高い表現力をもたせようとすると、ソフトウェアの処理が重くなるのは仕方がないのか、CPU負荷が軽いとはいえません。
実際に、1台を起動したときのCPU負荷は以下の通りでした(思っていたより軽いと感じました)。
モード | CPU負荷(平均) | 重いプリセット |
---|---|---|
MulticoreがOFF | 10%前後 | 30%超える |
MulticoreがON | 8%前後 | 20%超えない |
MulticoreというモードをONにすると、負荷をある程度抑えられますが、複数個同時に立ち上げると、DAWの動きが重くなってきます。
そのため、低スペックなパソコンで使う場合は、トラックフリーズが必要になるでしょう。
② 動きのある音を作るのは苦手

Divaだけに限った話ではなく、減算方式のシンプルなVAシンセの全てに当てはまる話ですが、ワブルベースなどの動きのある音は、作るのが難しいです。
そのため、動きのある音を作りたい場合は、それを得意としているウェーブテーブル方式のシンセを使った方が早いです。
u-he Divaのお試し方法は?
Divaのデモ版は、u-he社の公式サイトと、日本国内の代理店であるDirigent社のサイトのどちらからでもダウンロードできます。
デモ版では、不規則なタイミングでクラックノイズが入るという以外に機能制限はなく、プリセットも1,200以上の全てを試聴することができます。
- デモのダウンロードとインストール
- DAW上でプラグインを起動
① デモのダウンロードとインストール
まず、DirigentのDivaのページにアクセスします。

ダウンロードした.zipファイルを解凍して、.exeファイルを実行します。

② DAW上でプラグインを起動
インストールが完了したら、お使いのDAWを立ち上げて、インストゥルメントトラック(MIDIトラック)で、Divaを起動します。

このとき、もしプラグインフォルダにDivaが表示されていなかったり、上手く起動できない場合は、以下の記事を参考に設定を見直してみてください。
u-he Divaの使い方は?
それでは、Divaを使う感覚がよりイメージしやすいように、基本的な使い方を説明していきます。
- プリセットの選択
- 画面サイズとスキンの変更
- オシレーターの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- モジュレーションの使い方
⓪ Multicoreモード

使い方の説明をする前に、まずは[Multicore]をONにして点灯状態にしておきましょう。
これにより、CPUを並列化処理できるので、2Core以上のCPUをお使いの場合に負荷を軽くすることができます。
① プリセットの選択
画面下部の[PRESETS]をクリックすると、プリセットライブラリ画面が開きます。
左側のディレクトリからバンクを選択したり、キーワード検索することができます。

また、音の種類・特徴・雰囲気などを、タグを使ってフィルターする(絞り込む)こともできます。

② 画面サイズとスキンの変更
画面サイズは、右上の[歯車マーク]をクリックして開いた[Preferences]メニューの[Default Size]から変更できます。
スキンは大幅には変更できず、[Gamma]でノブの色が変えられるくらいです。

③ オシレーターの使い方
Divaの最大の特徴であるオシレータは、オシレータのタイプを5種類の中から選ぶことができます。
[▼TRIPLE VCO]の部分をクリックするか、マウスのホイールで切り替えができます。

最初に説明しましたが、波形の種類ではなく、オシレータそのものが切り替えられるんですよ。
- Triple VCO
- Dual VCO
- DCO
- Dual VCO Eco
- Digital
④ フィルターの使い方

オシレーターと同様に、フィルターも5種類から切り替えることができます。
触ってみると分かるのですが、このフィルターがDivaのキモであり、超リアルなアナログ感を生み出すカギになっています。
- Ladder
- Cascade
- Multimode
- BITE
- UhbieOberhiem
⑤ エフェクトの使い方

Divaには、5種類のエフェクトが搭載されており、この中から2種類を同時に使うことができます。
- Chorus
- Phaser
- Plate
- Delay
- Rotary
⑥ モジュレーションの使い方
Divaには、LFOが2つ搭載されています。

エンベロープも2つ搭載されており、それぞれ3種類のタイプ(ADS、analogue、digital)から選ぶことができます。

[MODIFICATIONS]をクリックすると、アサイン画面が表示されます。
ここで、モジュレーションソースを指定してパラメータに対してLFO、エンベロープなどをアサインします。

この辺りは、一般的なVAシンセと同様の作りになっています。
まとめ
最高品質のバーチャルアナログシンセ「Diva」について、その魅力について具体的にまとめてみました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Divaは、減算方式のアナログモデリングシンセ。
- 出音のアナログ感の再現精度が最大の魅力。
- Obrheimなど、数々の伝説アナログシンセのサウンドを再現できる。
- 発売当時は超高負荷だったが、今はかなり改善されている。
2020年現在でも、Divaほどリアルなアナログサウンドが作れるソフトシンセはそうそうありません。
問題とされていた負荷も改善されてきていることから、ガッツリおすすめできるプラグインだと思いました。
なお、それでもやはり「サクサク動く軽さが欲しい」という人には、Sylenth1もおすすめします。
また、他にもおすすめが知りたい人は、こちらの記事もご覧になってみてください。