「音の太いソフトシンセが欲しい」、「1台で幅広い音作りができるシンセがほしい」という人へ。
そんな人におすすめなVengeance Soundのソフトシンセ「Avenger」について、他のシンセとは違う特徴や、出音が太いと言われる理由、負荷が重いかどうか検証してみた結果などを紹介します。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーDTM部長(@dtmbu)が書いています。
- Avengerの他のシンセとは違う特徴とは?
- Avengerの出音が太い理由とは?
- Avengerの負荷は重い?実際のところは?
Contents
Vengeance Sound「VPS Avenger」とは?
Vengeance Sound Suite「Avenger(アベンジャー)」とは、ドイツの「Vengeance Sound(ベンジャンス・サウンド)」社の開発する複合型のソフトシンセです。
日本国内では、そこまでメジャーになっていませんが、その太い出音と、機能の多さから、プロ・アマ問わず、多くのアーティストから高い評価を得ています。
プリセット音色やオシレータの波形の種類が豊富なのに加えて、ドラムシーケンスを組めるなど、他のシンセにはない機能が盛りだくさんのシンセです。
スペック | 内容 |
---|---|
価格 | 23,568円 |
音源方式 | 複合型(減算、FM、ウェーブテーブル) |
プリセット音色 | 930以上 |
オシレータ | 波形:154以上 ウェーブテーブル:596以上 |
フィルター | 47以上 |
エフェクト | 30以上 |
複合型のシンセとは、減算・加算などのシンセの音源合成機能をひとつではなく、複数持っているシンセのことです。
そのあたりについて、より詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
Avengerを使うメリットは?
実際にAvengerを使ってみて感じた、ココが良いね!と思ったポイントについて、解説します。
- オシレーターの出音が太い
- オシレータの波形が豊富すぎる
- ドラムシーケンスが組める
① オシレーターの出音が太い
Avengerを使ってみて、まず最初に感じたのが「音が太い!」という感想でした。
アナログモデリング波形を搭載したオシレータを最大8台同時に鳴らして、デチューンできるので、それだけ厚みのある音が作れるんだと思います。
そのため、シンセの音がメインとなる、EDMなどのダンスミュージックやゲーム音楽などには、とても相性の良いシンセだと思いました。
② オシレータの波形が豊富すぎる
他の類似シンセに無くて、Avengerにある特徴として、オシレータの波形の数がとても豊富なことが挙げられます。
波形とウェーブテーブルが合わせて合計700種類以上と、とんでもなく多く、アナログモデリング系の音から、ウネるベースサウンドまで何でも作ることができます。
③ ドラムのシーケンスが組める
Avengerの面白い特徴として、DAWのようなドラムシーケンス機能があります。
シンセのフレーズ作りだけでなく、キックやハイハットなどのパーツを鍵盤にアサインしてビートを演奏したり、シーケンスを組んで曲全体の形を作ることができます。
そのため、極端な話、Avengerだけで曲を完結させることができてしまいます。
Avengerの利用上の注意点は?
次に、Avengerを使ってみて、「ココはちょっとな〜」と思ったポイントについて紹介します。
- 多機能過ぎて初心者には難易度が高いかも
- サードパーティーのプリセットがあまりない
① 多機能過ぎて初心者には難易度が高いかも
本当に出音が太く、何でも作れるシンセなので、とてもおすすめではありますが、初心者にもおすすめできるかといえば、そこは少し悩むところです。
というのも、操作パラメータが多すぎるので、最初の1台として選んでしまうと、使いこなす前に挫折してしまうかもしれないからです。
そのため、そこら辺を踏まえた上で、購入するか検討するようにしましょう。
② サードパーティーのプリセットがあまりない
初心者が最初の1台として選ぶには、ちょっとハードルが高いシンセであることもあり、Vengeance Sound社が公式で販売しているプリセット以外の、他メーカーのプリセットはそんなに多くないです。
そのため、プリセットファイルを購入して音色を増やしたい人には、ちょっと悩みところです。
Avengerの評価は?
実際にAvengerを使っている人の評価も気になりますよね。
そこで、Twitterから利用者の声を拾ってみました。
Avengerは重い?
Twitterで利用者の意見を探していた時に、「Avengerは重い」という声が気になったので、実際に確かめてみました。
検証に使用したパソコンのスペックは、以下の通りです。
OS | Windows 10 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-6700K(4.20GHz) |
メモリ | 32GB DDR4 SDRAM (16GBx2) |
実際にAvengerを1台だけ起動して、プリセット音色を変えながら演奏してみた時のCPU負荷は、以下の通りでした。
CPU負荷:おおむね10%以下
※プリセットによって15%を超えるものあり。
これだけ多機能なので、やはり、それなりに重いだろうと思っていましたが、処理内容から考えると、普通だと感じました。
Avenger デモ版の機能制限は?
Avengerのデモ版では、無料でお試しできる代わりに、以下のような機能制限があります。
- ファクトリープリセットの数が少ない。
- 5分に1回、10秒間のホワイトノイズが入る。
- 30分に1回、プラグインの再起動が必要。
Avenger デモの使い方は?
さっそくAvengerを試してみたい!という人のために、無料のデモ版をお試しする方法について解説していきます。
- デモのダウンロードとインストール
- プラグインの起動とFactory Libraryの読み込み
① デモ版のダウンロードとインストール
まず、Vengeance SoundのWebサイトにアクセスします。
画面上部のメニューから[PLUGINS]→[VPS Avenger]の順にクリックします。
[TRY DEMO]をクリックすると、デモプラグインのダウンロードページにリンクしますので、以下の2つのファイルをダウンロードします。
- WindowsかOSXのinstaller(お使いのOSに合ったもの)
- CONTENT file(プリセットファイル)
ダウンロードしたら、.exeファイルを実行してインストールします。
② プラグインの起動とFactory Libraryの読み込み
インストールが完了したら、DAW上でAvengerを起動します。
すると、初めに「ファクトリーライブラリ」が無いと表示されるので、[Next]をクリックします。
次に、先ほどインストーラーと一緒にダウンロードしたCONTENTファイルをドラッグ&ドロップ(かファイルのパス指定)で設定したら、[Next]をクリックします。
CONTENTファイルが正しく読み込まれると、ライブラリデータ(プリセット音色)の保存先を聞かれますので、ディレクトリを設定します。
データ用のドライブを分けている人は、ここで設定します。
あとは、[START]をクリックすると、Avengerが使えるようになります。
Avengerの使い方は?
ここからは、実際にAvengerを使って音作りをする方法について紹介します。
シンセの使い方を知らなくても、なんとなく触れるようになる感じで、なるべく分かりやすく説明したいと思います。
- 画面サイズの変更
- スキンの変更
- プリセットの選択
- オシレーターの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- ドラムシーケンサーの使い方
① 画面サイズの変更
まずは、見た目からということで、AvengerのUIを調整していきます。
Avengerは、デフォルトの画面サイズがとても大きいので、サイズを調整します。
変更したサイズの設定は保存されるので、次から起動したときも、設定したサイズで立ち上がります。
② スキンの変更
Avengerの中央下部にあるディスプレイの[SYS]をクリックすると、Skin(スキン)を変更することができます。
ソフトシンセは、見た目も大事ですよね。モチベーションが変わってきます。
③ プリセットの選択
プリセットを選ぶには、画面左上のビューで[Content]をクリックして開いたメニューから[Factory]をクリックします。
プリセットのジャンルごとにカテゴライズされており、好きなものを選ぶことができます。
また、プリセット名の右横にある[< >]をクリックすることで、前後のプリセットに変更することも可能です。
④ オシレーターの使い方
オシレーター(OSC)の波形名をクリックすると、オシレータの波形を変更することができます。
たとえば、「VA-Shapes」ならアナログモデリング波形で、アナログシンセの一般的な波形(ノコギリ波、三角波、矩形波など)を選ぶことができます。
[+]をクリックすると、オシレーターを追加でき、最大8台まで増やして同時に鳴らすことができます。
⑤ フィルターの使い方
まず、[TYPE]をクリックして、フィルターのタイプを選択します。
あとは、一般的なフィルターと使い方は同じで、CutoffとResonanceをいじっていく感じです。
なお、フィルターは、マスター用と合わせて、最大5台まで同時に使うことができます。
⑥ エフェクトの使い方
エフェクトを追加したいスロット上にカーソルを合わせて、「右クリック」すると、エフェクトを選択してインサートすることができます。
スロットにエフェクトを追加した後でも、[< >]のボタンでエフェクトの種類を変更できます。
また、プリセット名をクリックすると、エフェクトパラメータのプリセットを変更できます。
⑦ ドラムシーケンサーの使い方
Avengerならではの機能、ドラムシーケンサーも使ってみましょう。
Drumsを開いて、[Factory]をクリックすると、ドラムサンプラーのセットを選んで開くことができます。
なお、画面下部の[ZONES]を開くと、キーボード上でのドラム音がアサインされている場所を確認できます。
プリセットを選ぶと、自動的に、鍵盤に対してドラムパーツの音源がアサインされます。
これで、キーボードをドラムのように叩いて演奏することができます。
まとめ
Avengerの概要や機能のレビューから、デモを無料でお試しする方法や具体的な操作方法まで、なるべく分かりやすく解説しました。
この記事の内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Avengerは、複合型(減算、FM、ウェーブテーブル)のソフトシンセ。
- オシレーターの波形が多く、幅広い音作りができるのが特徴。
- 最大8台同時演奏できるオシレーターによって太い音が作れる。
- ドラムシーケンスまで組める、DAW並みの多機能さ。
- プリセットだけでもかなり使えるが、初心者の最初の1台としては難易度が高い。
Avengerは、幅広い音が作れて、機能も多いプラグインなので、使いこなせれば、もう他のシンセは不要になるかもしれません。
購入する際は、アクティベーション管理が楽チンなPlugin Boutiqueで購入することをおすすめします。
購入を検討するにあたって、この記事が参考になれば幸いです。
なお、他にもおすすめが知りたい人は、こちらの記事もご覧になってみてください。