EDMなどのエレクトロニックミュージックシーンを始めとして、多くの支持を得ているXfer Recordsのウェーブテーブルシンセ「Serum」。
「Serumって良く聞くけど、何がそんなに良いの?」という人のために、このプラグインのメリット・デメリットをまとめてみました。
この記事は、DTM歴7年で楽曲のリリース経験もある現役トラックメイカーが書いています。
- Serumとは?人気がある理由とは?
- 使っているアーティストは?
- 一番お得に購入する方法は?
- 使い方や無料でお試しする方法は?
Contents
Serumとは?
「Serum」とは、ロサンゼルスの「Xfer Records(エックスファーレコーズ)」社が開発・販売しているソフトシンセで、DAW上で起動して使えるプラグインです。
定価189ドル(2万円ちょっと)で販売されています。
ウェーブテーブル(サンプリング)方式を採用しており、波形の組み合わせを変えるだけで幅広い音作りができるのがメリットです。
という人は、以下の記事を参考にしてみてください。
Serumを使うメリットは?
このソフトシンセのどこがそんなに良いのかについて、解説していきます。
実際に使ってみて感じた、メリットは以下の通りです。
- サンプリング波形の種類が多い
- プリセットが多い
- 視覚的に分かりやすい
① サンプリング波形の種類が多い
ウェーブテーブル(サンプリング)方式のシンセサイザーのメリットは、オシレーターで扱える波形の種類が多いことです。
一般的な減算方式のシンセの波形が4種類であるのに対して、Serumは100種類以上の波形から音の組み合わせをつくることができます。
- 一般的な減算方式のシンセ:波形は4種類。
- Serum:波形は100種類以上!
② プリセットが多い
このシンセには、約500種類もの豊富なプリセット音色が揃っています。
さらに、ネット上には、追加プリセットデータがたくさん販売されています。
たとえば、有名なのはサンプル音源配布サイト「Loopmasters」のFree Serum Presetsなどです。
③ 視覚的に分かりやすい
オシレーターの波形イメージが3Dグラフィックで表示されているので、パラメータを操作したときに、どのように音が変化するのかイメージしやすいです。
狙った音を作り込むためには、ある程度、シンセサイザーの仕組みを理解しておく必要がありますが、それでもグラフィックがあるのと無いのでは、シンセ自体の扱いやすさが大きく変わってきます。
Serumを使う上での注意点は?
次に、実際に使ってみて感じた、注意点すべき点やデメリットについて解説します。
- 負荷が重いのでパソコンのスペックに注意
- みんな使っているので音が被るかも
① 負荷が重いのでパソコンのスペックに注意
機能的には申し分のない素晴らしいソフトシンセなのですが、そのぶんCPU負荷が大きいです。
実際に、DAW上でプラグイン1台を演奏させたときの負荷を、他のシンセと比較すると、こんな感じでした。
ソフトシンセ | CPU負荷 |
---|---|
Native Instruments | Massive | 5% |
KORG | Monopoly | 5% |
Xfer Records | Serum | 7% |
トラック数が増えてくると、重くなりやすいので、トラックフリーズを活用しましょう。
また、パソコンのスペックを見直すというのもひとつの手です。
② みんな使っているので音が被るかも
Serumはとても人気のあるソフトシンセです。ということは、逆に言えば他の人と音が被りやすいということでもあります。
実際に私も、新譜をチェックしているときに、
みたいなことが多々ありました。
といってもメロディーが違えば雰囲気はガラっと変わりますし、同じシンセを使っているからパクりということは全然ないので安心してくださいね。
Serumを使っているアーティストは?
では、具体的にどんなアーティストが使っているのか、その傾向も気になりますよね。
参考までに有名な人をいくつか紹介します。
- Deadmau5
- Marshmello
- Martin Garrix
- Flume
使用アーティスト①:Deadmau5
Deadmau5(デッドマウス)がSerum愛用者であることは有名ですよね。
これは、SerumをディスしたKanye West(カニエ・ウエスト)に対して喧嘩を売っているツイートですね。
使用アーティスト②:Marshmello
Future BassアーティストのMarshmello(マシュメロ)も使っているようです。
実際にSerumを使って、そっくりのサウンドを作る方法が紹介されています。
使用アーティスト③:Martin Garrix
EDM界で知らない人はいないほど有名な、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)も使用しているようです。
使用アーティスト④:Flume
Sam Smith(サム・スミス)とのコラボで有名になり、2019年にはSummer Sonic(サマーソニック)にも出演したFlume(フルーム)も使っているようです。
Serumのお得な買い方は?
できればセールで買いたい!と思っている人は多いと思います。
しかし、残念ながらSerumは人気商品のため、めったにセールをしません。
それでも、お得に購入する方法が、2つあります。
- Presetファイルのおまけ付きで購入する
- Serumを月額で利用する
① Presetファイルのおまけ付きで購入する
セールによる値引きをめったにしないSerumですが、販売代理店によっては、価格はそのままで、Presetファイルをおまけで付けてくれるものもあります。
通常、購入すると数千円するSerumのPreset(プリセット)が無料になるので、公式サイトから普通に買うよりも、とてもお得です。
「PluginBoutique」の「Serum+FREE Dark Serum Presets」がセット販売している唯一の商品です。
なお、ポイントを貯めるために日本の販売代理店で購入したい場合は、以下からどうぞ。
② Serumを月額で利用する
まとまったお金がない人には朗報ですが、月額で利用する方法もあります。
Splice PluginsというWebサイトで、毎月1,000円程度を払うことでSerumを利用でき、最終的には自分のものにできるというサービスを行っています。
興味のある人は、以下の記事をチェックしてみてください。
Serumの使い方は?
ここからは、実際にSerumを使って音作りをする方法について紹介します。
シンセの使い方を知らなくても、なんとなく触れるようになる感じで、なるべく分かりやすく説明したいと思います。
- プリセットの選択
- オシレーターの使い方
- エンベロープの使い方
- LFOの使い方
- フィルターの使い方
- エフェクトの使い方
- プリセットの保存
- プリセットの追加
① プリセットの選択
Serumには約500種類ものプリセットが収録されています。さっそくプリセットを選択する方法について説明します。
画面上部にある枠をクリックして、好きなプリセット音色を選んでいきます。
また、枠の隣にある[< >]ボタンを押すことで前後のプリセットに変更できます。
② オシレーターの使い方
気に入ったプリセットが決まったら、必要に応じてサウンドにカスタマイズを加えていきましょう。
まずはオシレーター(OSC)ですが、それぞれ青いボタンでON/OFFを切り替えられます。また、[LEVEL]ツマミで音量のブレンド具合を調整することができます。
[OSC A]と[OSC B]の波形(Wavetable)は、それぞれの波形名をクリックすることで変更できます。
③ エンベロープの使い方
パラメータに変化を与えたい場合は、エンベロープ(ENV)を操作します。
たとえば、シンセの発声タイミングを変えたい場合は、音量のエンベロープを操作します。
たとえば、「パアアアアー」と鳴る音を、「パアッ」という感じで、早く音が消える感じにしたいとかですね。
Serumでは、[ENV1]が音量のエンベロープで、[ENV2]、[ENV3]は他のパラメータへのアサイン用です。
エンベロープの調整方法は、波形上の点をドラッグ&ドロップで動かすか、[Attack]、[Decay]、[Sustain]、[Release]のノブを操作します。
このエンベロープの変化を他のパラメータにアサインするのは[ENV1]から好きなパラメータにドラッグ&ドロップするだけです。
良くやるのは、[WT POS(波形の再生開始位置)]にアサインする方法で、効果が分かりやすいです。
④ LFOの使い方
LFOもエンベロープと同じ要領で操作します。ただし、エンベロープより激しい音の変化を得られます。
まず、LFO波形のプリセットを選びます。
LFOのツマミが並んでいるところにある、[フォルダマーク]を押すことで、LFO波形のプリセットを選択することができます。
それから、好きなパラメータにドラッグ&ドロップでアサインします。
あとは音の変化を確認しながら、[Rate(変化の速さ)]や[BPM(曲の再生速度とリンク)]などのパラメータを適当にいじっていきましょう。
もちろん、波形上の点をドラッグ&ドロップしてもOKです。
⑤ フィルターの使い方
左に並んだ[A]、[B]、[S]、[N]のボタンのON/OFFによって、どのオシレーター波形にフィルター(FLT)をかけるかを設定します。
[A]、[B]、[S]、[N]は、それぞれ以下のオシレーターを表します。
- [A]:OSC A
- [B]:OSC B
- [S]:SUB
- [N]:NOISE
あとは、[CUTOFF(カットオフ)]、[RES(レゾナンス)]を操作してお好きなサウンドに仕上げてください。
⑥ エフェクトの使い方
エフェクト(FX)は効果が分かりやすいので、DTM初心者でも比較的、抵抗なく操作できると思います。
まずは、画面上部のメニューから[FX(エフェクト)]をクリックします。
左の列をクリックすることで、各エフェクトをON/OFFでき、ドラッグ&ドロップでエフェクトをかける順番を変更することができます。
あとは好きなエフェクトを選んで、適当にパラメータ調整すればOKです。
エフェクトは、[HYPER/DIMENSION]、[DISTORTION]、[FLANGER]、[PHASER]、[DELAY]、[CHORUS]、[COMPRESSOR]、[REVERB]、[EQ]、[FILTER]の10種類です。
⑦ プリセットの保存
適用にパラメータをいじって、気に入ったサウンドが出来たら、プリセットとして保存しておきましょう。
保存ボタンをクリックして、保存先を指定します(保存先は、Userで良いと思います)。
これで、保存したプリセットを開いて使うことができるようになります。
⑧ プリセットの追加
Plugin Boutiqueのプリセット付きのセットで購入した場合や、「Loopmasters」のFree Serum Presetsで無料のプリセットを入手したときは、プリセットファイル(.fxp)を読み込ませて、使える音色を増やしましょう。
まず、画面右上のMenuから[Show Serum Presets Folder]をクリックして、プリセット保存先のディレクトリを開きます。
このPresetsディレクトリに.fxpファイルを直接保存するか、.fxpファイルが入ったフォルダを保存すれば、プリセットを読み込むことができます。
※Serumでは、このPresetsディレクトリと、一階層下のディレクトリに保存されている.fxpファイルしかスキャンできないので、むやみにフォルダを作らないように注意してください。
Serumはお試しできる?
ここまでの内容を読んで、Serumに興味をもった人のなかには、
という人もいると思いますので、お試しする方法を2パターン紹介します。
- XferRecords公式サイトのデモ版(15分間)
- Splice Pluginsの無料トライアル(3日間)
① XferRecords公式サイトのデモ版(15分間)
公式サイトのデモ版により、15分間だけですが、お試しすることができます。
まずは、XferRecords.comのSerumのページにアクセスします。
「Try it out!(試してみて!)」のところで、自分のパソコンのOS(Windows/Mac)にあった方をクリックします。
② Splice Pluginsの無料トライアル(3日間)
という人は、Splice Pluginsの無料トライアルを利用することで、Serumを3日間お試しできるので、とてもおすすめです。ただし、3日以内にキャンセルするのをお忘れなく。
Splice Pluginsの無料トライアルの始め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
Xfer Recordsのソフトシンセ「Serum」の概要やメリット・デメリット、使用アーティストやSerumの使い方から、お得に購入する方法、無料でお試しする方法まで詳しく解説しました。
この記事で解説した内容のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Serumとは、サンプリング方式で幅広い音作りができる人気のシンセ。
- プリセットは約400種類。オシレーター波形100種類以上。
- 多くのアーティストが使っている。
- セールはないが、お得に購入できる方法がある。
- 公式サイト以外で、3日間お試しできる方法がある。
Serumはやはり「音良し・機能良し・使いやすい」の3拍子が揃った、とてもおすすめできるソフトシンセです。
この記事を読んで頂き興味をもって頂けた人は、ぜひ購入を検討してみてください。